「福祉の仕事って、もっと面白くできるんじゃないか。」
そんな問いから始まった、TOBIRAの新しい挑戦。
就労継続支援A型事業を軸に、アパレルECやAI活用、自社農園など、利用者さんがさまざまな仕事に挑戦できる場をつくっています。
今回話を聞いたのは、これまで異業種で数々のプロジェクトを立ち上げてきた増田さんと川又さん。クリエイティブや事業開発など、それぞれのフィールドで経験を積んできた二人は、なぜTOBIRAに惹かれたのでしょうか。
「福祉×ビジネス」の現場で感じる面白さや難しさ、そして二人がこれからつくっていきたいものについて、率直に語っていただきました。
増田 大介
時事通信社や小学館プロダクションをはじめ、WEB制作会社や大手FMラジオ局などでクリエイティブディレクターやビジネスプランナーとして数多くのプロジェクトを牽引。カプセルホテルのリブランディングや別府温泉でのフェス企画など、事業立ち上げを多数経験。2026年7月に合同会社TOBIRAへ参画。社内の組織づくりに加え、社外の経営者ネットワークを活かしたアライアンス構築を担っている。
川又 龍人
IAMAS博士前期課程修了。AI、バイオマテリアル、建材、ファッションなど多領域で新規事業を創出。複数企業で代表やディレクターを務め、さまざまなビジネスの「ゼロイチ」を形にしてきた。2026年8月に合同会社TOBIRAへ参画し、現在はバイオ系農園事業やEC商品開発など、新規事業の立ち上げを推進している。
事業をつくる、仲間を巻き込む。二人がこれまで歩んできた道
ーーまずは、お二人のこれまでのキャリアと、現在TOBIRAで担っている役割について簡単に教えてください。
増田:
僕はこれまで、クリエイティブディレクターやビジネスプランナーとして、様々なプロジェクトの立ち上げやリブランディングに関わってきました。
TOBIRAでは、代表の南さんの壁打ち相手となりつつ、アライアンスの構築を担当しています。TOBIRAは就労支援を行っている会社ですが、利用者さんが挑戦できるプロジェクトを増やすために、EC販売や農業、デザインなど、あえて多種多様な事業を進めています。
僕はそうした背景を、社外では「利用者さんのために新規事業を作りまくる面白い会社に参加している」と話しながら、事業の種を外から持ってくる担当ですね。
川又:
僕は少し毛色が違っていて、現在はAI、バイオマテリアル、建材、ファッションなど、全く異なる領域を横断しながら、複数の会社で代表やディレクターとして活動しています。
TOBIRAでは、これまでのゼロイチの経験を活かしながら、新規事業の立ち上げをはじめ、農園やECなどの各種プロジェクトの推進・具現化をメインに担っています。
ーーでは、これまでのキャリアの中で、特に印象に残っているプロジェクトを教えてください。
増田:
一つは、福岡市にあるサウナ&カプセルホテルのリブランディングですね。あえてターゲットを「おじさん向け」に振り切ってコンセプトを作りました。
その結果、過去最高の売上を記録して、テレビなど多くのメディアにも取り上げていただきました。
あとは、別府温泉で企画したフェスもすごく印象に残っていますね。現場の熱量がすごくて、著名なアーティストの方から直接お声がけいただけるほどの盛り上がりを作ることができました。
川又:
僕は新規事業の創出・育成支援として、様々なビジネスの伴走を行ってきました。自分が前に出るのではなく、あくまで「主人公は当人」というスタンスで、裏方としてビジネスの立ち上げを支援してきましたね。
特に印象に残っているプロジェクトとしては、TOBIRAと同じ埼玉県にある、日本最古の鋳造メーカー吉田キャスト工業株式会社のお手伝いです。奈良時代から続く伝統的な技術と、僕たちが持ち込む新しいアイデアを掛け合わせて「ゼロからビジネスを創る」プロセスが刺激的でした。
三代目姉妹に金属の煮干しを見せられたことをきっかけに、「KOROMO STUDIO」というブランドを形にし、ベトナムや各地で展示会を企画するなど、歴史を持つ企業が新しい領域へ踏み出す瞬間に伴走できたのは、大きな経験になりました。
ーーそうした経験を通じて、どのような価値観が形成されていったのでしょうか?
増田:
これまでのプロジェクトを通じて強く感じるのは、「やっている人たち自身が心から楽しんでいるプロジェクトは、自然と人が巻き込まれ、うまく回っていく」ということです。
僕はよく「大人が本気で遊ぶ」と表現しているのですが、自分たちが本気で面白がっている姿勢こそが、事業を駆動させる最大の熱源になると信じています。
川又:
その「大人が本気で遊ぶ」という感覚、すごく分かります。
僕も、ビジネスにおける価値基準を「資本主義的なお金儲け」だけに置きたくないという想いが根底にあるんです。スタートアップが最初の市場選びで8〜9割決まると言われているように、世の中で「儲かるジャンル」というのは大体決まっていますが、そこから外れた「外れ値」のような領域に興味があって。
例えば、美術大学にいた頃から細胞を使ったアートや研究をしてきたのですが、その延長で「亡くなったペットや大切な誰かの細胞をアクセサリーにする」といった事業を手がけたりしていますが、普通に考えたら「それ、ビジネスになるの?」というところに、未来の可能性があったりするんですよ。
▼川又さんのメディア出演はこちらから!
なぜ二人は、「福祉」という新しい領域を選んだのか
ーーそんなお二人が、なぜ「福祉」という領域に興味を持ったのでしょうか?
川又:
実は僕の家系が医療従事者という環境だったということもあり、業界自体はもともと身近ではあったのですが、ビジネスの視点から見ると、見せ方やクリエイティブの面で、まだまだできることがあると感じていました。
障がいのある作家が生み出したアートを活用し、アート・ファッション・空間などの領域で事業展開しているヘラルボニーや渋谷フォントのような素晴らしい事例もありますが、デザインやブランディングの力で価値を最大化できる領域が、まだ山のように眠っていると思っていたんです。
増田:
僕は正直、最初は福祉業界自体に強い興味があったわけでもなかったんです。
ただ、「就労支援」と聞いたときにつきまとうネガティブなイメージや、「補助金ビジネスでしょう」という固定観念は気になっていました。
一方で、TOBIRAがECや農業など多角的なプロジェクトを仕掛けていることはWantedlyの記事で知っていたので、「その取り組みとストーリーデザインの力を掛け合わせれば、この固定観念をひっくり返せるんじゃないか」と。プランナーとして、そこに強く興味を持ちましたね。
▼プロジェクト紹介についてはこちらから!
【事例紹介記事】アパレル立ち上げ・地方創生・EC支援・SNS運用・農業から行政案件まで。福祉の常識を覆すTOBIRAの多角的なプロジェクトを紹介します! | 合同会社TOBIRA
最終的な参画の決め手になったのは、代表の南さんのインタビュー記事です。「利用者さんが働きやすくなるために、率先して新しい案件を獲りにいく」という姿勢や、「働いている人が楽しくなったらいい」というTOBIRAのスタンスに惹かれました。
僕自身、過去に医療事故で3年間ほど寝たきりだった経験があり、「一度つまずいたらやり直せない世の中って、どうなんだろう」と考えるようになりました。福祉でお金儲けだけをするビジネスもある中で、TOBIRAは本気で人の可能性を信じている。そう感じられたことが、ここでやろうと決めた理由です。
▼代表・南さんのインタビューはこちらから!
【創業者インタビュー】「福祉はゴールではなく、通過点だ」型破りな起業家が挑む、社会を"競争"から"共走"へと変革する第二創業期のリアル | 合同会社TOBIRA
ーー川又さんが、TOBIRAへの参画を決めた理由は何だったのでしょうか?
川又:
僕は、消費されるためだけのクリエイティブ領域への向き合い方に少し限界を感じ、身近にあった医療・福祉への興味関心が日に日に強くなっていました。そんな中で出会ったTOBIRAは、就労支援事業所の中でもビジョンが明確で、自分の「ゼロイチ」のスキルがどこまで通用するのか試してみたいと思いました。
それに加えて、代表の南さんの存在も決め手でした。決して口数が多いタイプではないんですが、言葉の節々から「福祉のイメージを変えたい」という強い想いが伝わってきたんです。
増田:
何か問題が起きた時に「あの人はおかしい」と人を感情的にジャッジするのではなく、「その事象に対してどうアプローチするか」を冷静に話せる人なんですよね。
面談のときも、働き方や条件の話で終わるのではなく、お互いの価値観について深く語り合えたことが、参画への大きな後押しになりました。
「数字を伸ばす」と「人を活かす」──その両立に挑む
ーー現在のTOBIRAでの業務内容を教えてください。
増田:
主に2つあります。
1つ目は、外部の経営者ネットワークに向けたアライアンスの開拓です。「新規事業を作り続けている面白い福祉系の会社がある」と知ってもらい、事業の種を持ってくる役割ですね。
2つ目は、その種を社内で形にするために何ができるかを南さんと話しながら、川又さんと具体的な進め方を考えていく役割です。
日々ディスカッションを重ねながら、事業を進める仕組みを整えつつ、外部の協力者や業務委託メンバーが動きやすいように役割を整理して関係者を繋いでいます。
川又:
僕の役割は現場で、アイデアを具体的なビジネスへと着地させることです。増田さんが開拓してくれたネットワークや自身の事業の種を、マネタイズにつなげるための構造を設計しています。
例えばAmazonでの商品開発一つをとっても、ただモノを作るのではなく、主婦層の潜在的なニーズやプラットフォーム上のユーザーインサイトを徹底的に分析した上で仮説を立てていきます。そうして代表の南さんと二人三脚で、アイデアを具体的なビジネスモデルに落とし込んでいくのが僕の実務ですね。
ーー実際にプロジェクトを動かす中で、どのような変化や手応えを感じていますか?
増田:
僕が手応えを感じているのは、メンバーごとのミッションが整理されたことです。業務委託のメンバーが増える中で、以前は面談なども含めてマルチに抱えがちでした。
そこを組織開発のメンバーも参画してくれて、「明確に分担しよう」と構造化できたことで、それぞれが自分の専門領域のクオリティを上げることに集中できる環境ができつつあります。
川又:
僕は現場の事業側として、EC事業などでの「数値の改善」に手応えを感じています。
ただ、ここはTOBIRAならではの難しさでもあって。極論、事業として数字を伸ばすことだけを考えれば、もっと効率よく進める方法もあると思うんです。
増田:
でも、それをやったらTOBIRAでやる意味がなくなってしまう。
川又:
そうなんです。利用者さんにも関わってもらいながら、どうすれば「ここで必要とされている」と感じてもらえるか。そこまで考えて、事業として成果を出していきたいですね。
ーーまさに「ビジネスとして勝つこと」と「福祉として人を活かすこと」の両立ですね。
増田:
川又さんが言うように、経験者だけで進めればスムーズなことも、利用者さんと一緒にやるとなると、急に難しくなりますよね。特に難しいのが、そのバランスです。優しすぎると事業としての質を保てないし、厳しすぎると続けることが難しくなる。
川又:
本当に、そこは難しいですよね。
増田:
でも、だからこそ面白いんですよね。目の前の利益だけではなくて、「どうすれば長く一緒にやっていけるか」を考えながら、組織の形をつくっていく。これまでやってきたリブランディングやフェスの企画とも、どこかつながっている気がします。
川又:
僕も、そういう難しさの中で「どうしたらビジネスとしてうまくいくのか」を考えることに、すごく面白さを感じています。
ただ仕事をお願いするのではなく、利用者さんの強みを活かしながら、どうやって利益につなげていくかを一から考える。そこは、TOBIRAならではの面白さだと思います。
「ここに関わってよかった」と思える場所へ
ーーここまでのお話を聞いていると、お二人とも「人」と「事業」の両方を大事にされていることが伝わります。今後、TOBIRAでどのような事業を立ち上げ、育てていきたいですか?
川又:
まずは、僕たちがやっている事業やブランドを知ってもらうことですね。
そのうえで、人が自然と集まってくるような「場」もつくっていきたいです。そのために、属人的にやるべきことは残しつつ、仕組み化できる部分はできるだけ効率化していきたい。そこで生まれた時間や余力を、人と向き合うことに使えたらと思っています。
増田:
川又さんが事業や仕組みをつくって、僕はその先にいる人たちとの接点を増やしていく。そんなふうに役割を分担しながら、事業だけじゃなくて、人が集まってくる場所もつくっていけたら面白いですよね。
最終的には、TOBIRAに関わってくれた人に「ここに関わってよかった」と思ってもらえるような場所にしていきたいです。
ーー最後に、これからどんな仲間と一緒に事業を創っていきたいですか?
川又:
一言で言うなら、「優しくて、責任感のある人」ですね。
TOBIRAにはこれまで培ってきたノウハウがありますが、それだけを求めるのではなく、一緒に考えながら事業をつくっていける人と働きたいと思っています。
増田:
僕も、相手のことを考えて行動できる人がいいですね。
僕がよく言うのが、「自分の時間を、あと2分だけ誰かのために使えるか」ということ。「伝えたから大丈夫」「分かっているから大丈夫」で終わらせるのではなく、もう一歩だけ相手のことを考えてみる。そういう小さな気遣いが、チームで仕事をするうえでは大事だと思っています。
川又:
結局、事業をつくるのも、人と一緒に何かを進めるのも、「誰とやるか」が大事ですよね。
増田:
せっかく一緒に働くなら、仕事そのものを楽しみながら、関わった人の毎日が少し良くなるような仕事がしたいですね。
これまでビジネスの中で培ってきた経験やスキルを、今度は社会のために活かしてみたい。そんな気持ちを持っている方には、ぜひTOBIRAに来ていただきたいです。
一緒に新しいことを考えながら、まだ見えていない「トビラ」を開いていけたら嬉しいです。
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