みなさん、こんにちは!SI事業部です。 先月、SI事業部では恒例の社内勉強会を開催しました。 今回のテーマは「AI活用」。目玉は、メンバーの一人が趣味で作った「AIとロト6の予想サイトを作ってみた」という発表です。宝くじの番号予想にAIをフル活用するというなかなか意外性のあるテーマで、会場も大いに盛り上がりました。
「AI×宝くじ予想」というインパクトのある切り口に加え、もう1本は現場の開発業務でのAI活用がテーマ。趣味の実験と日々の業務、2つの視点から「AIとどう付き合うか」を考える回になりました。
会場は、SEEPに加盟するテクネス様が展開する[イベントスペース]をお借りしました。 いつもはプロジェクターを使える会場探しに一苦労するのですが、今回はスペースだけ借りて身軽に開催。飲み物は営業陣が買い出しを担当し、食べ物はデリバリーでお寿司と、パーティー用アラカルトを注文するという、みんなで手分けした準備で当日を迎えました。
お寿司やお弁当も並び、軽く食べながら気軽に聞ける雰囲気でスタート。 届いた食材を囲んでわいわい配っているうちに開始時刻、というのがいかにもSI事業部らしいところです。
1本目:AIでロト6の予想サイトを作ってみた
きっかけは「なんとなく」からの脱出、そして「AIで当てられるのでは?」という好奇心
発表はこんな一言から始まりました。 個人の「なんとなく」を、設計のある予想ツールに変えた話。 もともとロト6を買い始めたものの、番号の選び方は完全に勘任せ。 「これを何とかしたい」というごく個人的な動機から、AIとの試行錯誤が始まったそうです。 開発の変遷は大きく4つのフェーズに分かれていました。
Gemini期(2026年初):抽選結果をプロンプトに貼り付けて「傾向を教えて」と相談。ただしチャットが長くなるほど精度がブレて、毎回プロンプトを書き直す手間に限界を感じたとのこと。
Claude Chat期(〜2025年末):「ツールを作ってもらおう」とClaudeに切り替え、チャット上でHTMLを生成してもらう方式に。ただし機能追加を重ねるうちに1ファイルが数千行に膨れ上がり、「ここだけ直して」が効かなくなる、全体を貼り直してコンテキスト超過で崩壊する、というループに陥ったそうです。
Claude Code期(2026年〜):GitHubリポジトリを作成し本格化。単一HTMLからファイル分割 → サーバー化 → TypeScript化 → モジュール設計へと、段階的にアーキテクチャを整備。差分だけを直せて、ドキュメントが残り、セッションをまたいでも文脈が続く、という変化があったといいます。
検証・多様化期(2026年7月):ロト7・ミニロトへの対応を終えたあと、「この補正は本当に的中率を上げているのか」を本気で疑い、ウォークフォワード方式で実データ検証。
現在は36モジュール・約10,650行のTypeScriptプロジェクトとして、ロト6・ロト7・ミニロトの3ゲームに対応。予想・削除球算出・シミュレーション・履歴管理・統計的検証レポートまで備えた、本格的なツールに育っています。
「一般水準」で見直す、という発想
個人的に印象に残ったのは、ある程度形になったタイミングで「趣味プロジェクトとしては上手」ではなく、職業的な基準でClaudeに客観的な評価をしてもらったという話です。 その結果、自動テストが一つもなかったこと、レイヤリングのルールが文書だけで機械的にはチェックされていなかったこと、onclick文字列やwindowグローバルが110箇所以上残っていたことなど、耳が痛くなるような課題が次々と洗い出されたそうです。そこからvitestの導入やdependency-cruiserによるレイヤー順序のコード化を進め、「例外ゼロ」を装うのではなく、例外がある場合はその理由を記録して数え上げられる状態に保つ、という設計方針にたどり着いたとのこと。AIに「甘めのお世辞」ではなく「厳しめの他者視点」を求めることの効果を感じるエピソードでした。
一番刺さったのは「検証カルチャー」の話
勉強会で一番議論になったのが、検証のパートです。
ウォークフォワード方式(各回より前のデータだけでスコアを計算し、実際の結果と突き合わせる、未来の情報を一切使わない検証方法)で、重み付きスコア選択とランダム選択を全履歴2,057回・82万試行×2で比較したところ、統計的な有意差は確認できなかったという結果に。さらに、周期モデルを全履歴でフィットさせると劇的な改善が見えたのに、正しくウォークフォワードで検証し直すとその効果が消えてしまう、というオーバーフィッティングを自分で発見したエピソードも紹介されました。
これは開発あるあるとして参加者から共感の声が上がっていました。「都合の良い結果が出たときほど、検証方法を疑う」という姿勢は、業務のデータ分析やAI活用にもそのまま応用できる視点です。実際、この発表では「効果なし」という結論もそのままドキュメントに残し、同じ検証を繰り返さないための資産にしていました。
持ち帰りは、Claudeとの付き合い方6か条
発表の締めくくりは、この開発を通じて溜まった実践的なコツの共有でした。SI事業部としても、そのまま日々の開発に活かせる内容だったので、そのまま紹介します。
ルールはファイルに書く。 口頭の指示はセッションを跨げない
同じ説明を2回しそうになったらスキル化。1回目では作らない(繰り返すパターンか、まだ判断できない)
訂正だけでなく「それで合ってる」も伝える。否定だけを覚えると、正しかった判断まで過度に慎重になる
静的解析の「動くはず」を信用しない。実際に操作して確認する一手間が、手戻りを減らす
ツールの制約を確認してから自動化を組む。「動きそう」で組むと、後で初めて壊れているのに気づく
曖昧なまま進めさせない。選択肢を出させて自分で決める。ヒアリングのコストより手戻りの方が高い
どれも当たり前のようで、実際にAIと二人三脚で開発を進めた経験があるからこそ出てくる言葉だと感じました。特に「訂正だけでなく肯定も伝える」という点は、日々AIにレビューを頼んでいる私たちにとっても、意外と抜け落ちがちな視点だったと思います。
2本目:現場の開発業務では、AIをどう使い分けているか
続いて登壇したのは、実際の開発現場でAIを日々活用しているメンバー。 1本目が個人開発というある種の実験場だったのに対し、こちらはまさに私たちが日常的に向き合っている「顧客案件」や「社内ツール開発」の現場での話です。
紹介したのは、GitHub Copilot・Claude Code・Geminiという3つのAIツールを、案件の性質に応じて使い分けているという実践でした。社内ツールの開発と顧客向け案件の開発とでは、求められるスピード感やコードの扱い方、確認すべき事項の重さが異なります。その違いに応じて「どのAIツールを使うか」自体を切り替えている、という点が今回のポイントです。
Geminiの活用例として紹介されていたのが、Gemini CLIとGitHub Actionsを組み合わせてPull Requestの自動コードレビュー・セキュリティ分析を行う仕組みです。手元でのやり取りに留まらず、開発フローの中にAIによるチェックを組み込んでおくことで、レビューの抜け漏れを減らすという狙いがある取り組みとして共有されていました。
1本目の発表が「1つのAIとどう深く付き合うか」だったのに対し、2本目は「複数のAIを、現場の状況に応じてどう選び分けるか」という、より業務目線の視点でした。同じ「AI活用」というテーマでも、個人開発と実案件とではAIとの向き合い方そのものが変わってくる、というのは会場でも新鮮な発見として受け止められていました。
発表の後半はホワイトボードを使ったディスカッションタイムに。ツールの使い分け方針を図に整理しながら、参加メンバーからも質問や自分たちの現場での使い方が飛び交い、聞くだけで終わらない実践的な時間になりました。
今月も3本目となる社員blogをお届けしました。
「AIを使ってロト6を予想する」と聞いたときは、正直なところ「そんなことまでやってるの?」という面白さが先に来ました(笑)。
でも記事を読み進めてみると、単なる宝くじ予想の話ではありませんでした。
Geminiから始まり、Claude Chat、Claude Codeへ。最初は個人的な興味から始めたものが、試行錯誤を重ねるうちに1万行を超えるプロジェクトになっていく。こういう「面白そうだからやってみる」が、いつの間にか本格的な技術検証につながっているところは、エンジニアらしくて面白いなと思います。
そして何より印象的だったのが、本気で検証した結果、「AIで予想したからといって統計的に有意な結果は出なかった」こと。
タイトルだけを見ると「AIがロト6を的中させた!」という展開を期待してしまいますが、残念ながらそんな夢のような話ではありませんでした(笑)。
ただ、むしろそこに今回の勉強会の価値があったように感じます。
AIを使ってそれらしい答えが出てくると、つい「これは使える」と思ってしまいがちです。でも、その結果が本当に正しいのか、都合の良いデータだけを見ていないかまで疑ってみる。これは宝くじに限らず、これから仕事でAIを使っていくうえでも、とても大切な姿勢だと思います。
一方で2本目では、GitHub Copilot・Claude Code・Geminiを案件によって使い分けるという、ぐっと実務に近い話もありました。
私自身も仕事の中でAIを使う機会はかなり増えましたが、「AIを使うか、使わないか」という段階はもう過ぎていて、これからは「何を、どこまで、どのAIに任せるのか」を考えることが重要になってきているのだと思います。
宝くじを当てたいという好奇心から始まって、最後は仕事におけるAIとの付き合い方まで考えさせられる。
残念ながら今回、ロト6必勝法の誕生とはなりませんでしたが(笑)、当たり番号以上に、仕事で使えそうなヒントはたくさん見つかった勉強会だったのではないでしょうか。
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