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ITエンジニア・社内勉強会の進め方とポイント整理ー2回連載・前編

JストリームでフロントエンドエンジニアをしていますY.K.です。

常に新しい情報をキャッチアップし続け、スキルの継続的なアップデートを求められるのがITエンジニアという仕事ですよね。そのため、社内勉強会を実施する会社も少なくないと思います。その一方、「開催したいけどハードルが高い」「過去に開催したけど、実施負荷が高い」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

昨年12月に、所属する課でハッカソン形式の社内勉強会を開催し、発起人として企画・運営を担当しました。本記事では、その時の経験をもとに企画・運営者視点で「社内勉強会の進め方とポイント」を前後編の2回にわたりまとめました。

前編では、社内勉強会を実施する際の基本的な流れを整理しました。後編では、12月に企画・主催したハッカソン勉強会を具体例としてご紹介します。これから社内勉強会を開催してみようというITエンジニアの皆さんのお役に立ちましたら幸いです。

社内勉強会のタイプ分類

ITエンジニアの社内勉強会のタイプについて、主要なものをあげます。およそ、以下3つのタイプに分類されます。

1.講義形式/発表形式

講師(発表者)と受講者(聴講者)に分かれて行う形式です。

講師(発表)を担当する人が自身の知識などを学校の授業のように発表をする。5分程度の短い発表を行うLT(Lightning Talks)も大きくいえばここに含まれます。

2.ハッカソン形式

ハッカソンでは、複数のチームが一定期間内で開発を行い、成果を競い、表彰が行われるのが一般的です。

上記のように、一定期間内で成果物を作り上げるというハッカソンの要素を勉強会に取り入れたのが、このハッカソン形式です。ひとつのチームででも、具体的な成果物を軸に各自が意見を出し合いながらチーム開発を進め、最終的には成果物の発表・共有まで行うことが可能です。
※後編でご紹介する実践例は、こちらのハッカソン形式の勉強会になります。

3.もくもく形式/OJT形式

テーマを決めず、各自が自分の作業を集中して行う形式。

メンターなどを置き、OJT形式で実施するパターンもあります。

社内勉強会を実施するメリット

社内勉強会を実施するメリットとして、代表的な6つを記載します。すべてを網羅するのは難しいと思います。あれこれと欲張ると、逆に焦点がぼやけるので、上位3つくらいに絞るとよいと思います。

また、6)に記載の「企業文化の醸成」は、短期間で成果を得るのは難しく、長期戦での取組みになることを書き添えておきます。

1)技術力向上:新しい技術や概念に触れることで、ITエンジニアの技術力が向上する。

2)知識共有:社内のITエンジニアが持っている知識や経験を共有することで、チーム全体のスキルレベルが向上し、より効率的な開発が可能になる。

3)コミュニケーション促進:ITエンジニア同士のコミュニケーションの機会を増やすことで、開発チームの結束力が向上し、協力や連携がスムーズになる。

4)問題解決力向上: 実際にこれまで遭遇した問題や課題について議論することで、ITエンジニアの問題解決力が向上し、今後同じケースでスムーズに対応できるようになる。

5)モチベーション向上:ITエンジニアが、自身の技術力を高めること、また他のメンバーと知識を共有することで、自己成長や達成感を得られる。

6)企業文化の醸成:ITエンジニアが積極的に学び、成長する姿勢が企業文化として浸透することで、企業全体の競争力が向上する。

社内勉強会の企画から終了までのフロー

社内勉強会のざっくりとした流れは、以下となります(図1)。

             【図1】ITエンジニア社内勉強会の実施フロー

各ステップについて、もう少し詳しくみていきます。

【STEP 1】企画

勉強会の根幹部分です。ここをしっかり詰めると、その後も企画がぶれません。逆にぼんやりとさせたまま進めると、進行のドタバタで目的を見失います。目の前の作業に追われて燃え尽きないために、きちんと以下を言語化して準備を進めることが大切です。

・目的

・参加対象

・何を

・いつ(開催期間と時間)

・どこで

・コスト

・実施に伴う効果(終了後のイメージ)

・目的

前述の「社内勉強会を実施するメリット」の中から優先度の高い上位3つくらいを選ぶとよいと思います。その際に、やろうとした理由や現状感じている課題などがあれば、企画時に明確にしておくと優先度を決めやすくなります。また、終了後のありたい姿も描きやすくなります。

・参加対象

参加対象によって、専門性、課題、スキルレベル、社歴、調整しやすい時間なども変わります。適したテーマやレベル感の設定や告知方法を選択しやすくなります。参加対象は自部門のみなのか、もしくは他部門にも呼びかけるならば他部門にも事前に合意しておく必要があります。また、参加者以外の上司や他部門、社外の人へ協力を仰ぎたい人がいれば、あわせてリストアップしましょう。

・何を

前述の勉強会のタイプ分類の中からどの形式で、何をテーマに、何をするのかをまとめます。

・いつ(開催期間と時間)

業務との兼ね合いも念頭におきつつ、参加しやすい期間と時間を決めます。そして、【STEP2】では上司と、時間調整や業務扱いになるのかを相談しましょう。

・どこで

オンラインでも実施できますが、出社や外部会場までの交通費、外部会場費用、宿泊ありの場合は宿泊費用や食事代などが発生します。

・コスト

内部コストと外部コストの2つで算出します(図2)。算出してみると「これだけのコストをかかるものなのか」と気づきます。企画・運営する立場としては、「それだけに、いいものしなくては」と前向きな緊張感も生まれます。

              【図2】社内勉強会に伴うコスト算出の内訳

【STEP 2】社内承認

STEP1の企画内容を目的ベースで詳細に検討して整理しまとめていけば、承認に必要な基本的内容は揃います。申請に際しては、まずは上司と相談することになると思います。説明は、【STEP1】で明確にした「目的」と「実施に伴う効果」をベースに進めるとスムーズです。

上司との相談では、実施に伴うコストを明確にすり合わせましょう。

  • ・実施時期(業務の繁忙期は避けるなどの判断が必要になります)
  • ・企画・運営時間は、業務時間内に可能か。業務時間扱いになるのか
  • ・参加に伴う時間は業務時間内に可能か。業務時間扱いになるのか
  • ・外部コストについて

【STEP 3】広報

同じ部やチームメンバーでしたら、定例ミーティングで説明をしたり、適宜打ち合わせすることが多いかと思います。

広く他部門へも呼びかけるようでしたら該当部門のマネージャーにも事前に趣旨説明をしておくと、理解が得られやすいかと思います。

【STEP 4】事前準備

社内勉強会の形式により異なりますが、実施に必要な作業を洗い出し、各作業項目の期日と担当を決めていきます。

場所の手配、講師との詳細詰め、技術的な環境や機材等の手配、調査/学習/事前課題などが挙げられます。

項目によっては社内調整含めてパワーがかかるものもあるため、複数人で運営チームを組んで、タスク分解やスケジュール管理を行うのが理想的です。具体例として、この後、ハッカソン勉強会での事前準備について詳細をご紹介します。

【STEP 5】実施

社内勉強会のタイプによりポイントは異なります。ただ、企画・運営者視点で考えると、共通して最も大切だと思うのは、参加感を高めることです。参加感は「当事者意識」を生み、目的に対する責任と意欲を高めることができるからです。

そのためには、呼びかけの時点で、目的とゴールを明確にして共通認識を持つことが重要です。これは別に社内勉強会に限った話ではありませんが、一人だけ高すぎるゴールを設定していると、他の参加者は負担やストレスでついていけなくなり、途中で頓挫してしまいます。

逆に低すぎる目標だと、勉強にはならずやる意味がなくなり、どちらも個人でやれば良いものになってしまいます。個人ではなく複数メンバーでやる以上、各々の性格や趣向を汲み取った上で、いかに参加メンバーの意識、ゴールを合わせられるかが重要です。

【STEP 6】振返り

実施後の報告ですが、主要な構成要素をあげます。会社への報告としては、実施価値・継続価値を理解してもらえるように報告しましょう。しっかりとした振返りにより、次回の企画や活動がスムーズになります。

▼報告書の主な構成要素

・実施概要

・目的は達成できたか、その根拠

・参加者の反応(アンケート実施等)

・コスト

・実施して見えてきた新たな課題

・次回以降の改善・改良点

また、運営に関するドキュメントを残すことをおすすめします。社内勉強会は継続が大切ですが、実施のたびに「前回どうしたかな?」と過去のドキュメントを探したものの、よくわからないということは結構あります。告知や依頼文書なども残しておくと、一から作成するよりも時間短縮になりますよ。

後編では、12月に自社で実施したハッカソン形式での社内勉強会を実践例としてご紹介いたします。

執筆者紹介

Y.K. フロントエンドエンジニア

社会人歴4年目、2021年にJストリームへ中途入社。前職では自動車の車体に関わる(ステアリングの制御、AT/MT切り替えなど)組込み開発に従事。Jストリーム入社以降はアプリケーション開発課に配属され、動画プレイヤーのSDK開発、iOSの動画プレイヤー開発を経て、現在は、自社開発する動画配信システムEquipmedia(イクイップメディア/EQ)のポータル機能に関するフロントエンド開発を担当。

Jストリームエンジニア組織内の教育プロジェクトメンバーも務める。

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