STORESでお商売を始められるオーナーさん、毎月約10,000人。
ブランドづくりには、やるべきことがたくさんありますが、本気で踏み込むと奥が深い。そんなブランドづくりに必要な知識・スキル・トレンドを、専門家に伺うコーナー「ブランドのつくりかた」
今回はブランドのPRについて。PR歴12年の株式会社プラチナムの濱村裕也さんとトークセッションしました。
そもそもブランドとは?PRとは?など深いお話ができました。
スモールチームの方々に向けて話していますので、読んだ後にはぜひ自分ごととしてPRに取り組んでいただきたいと思います!
どういう関係を社会と築いていきたいか
ーまずは濱村さんについて教えてください。
PR会社に入って12年目になります。
入社当時はブログなど、第三者からのレコメンド(商品のレビューなど)が流行り始めたタイミング。
就職先としては広告代理店なども考えましたが、今後は広告ではなく、人から伝わることがメインになっていくだろうと思い、PR会社に入りました。
営業やプランニングなどを経て、現在はチームのマネジメントをしています。
今は、PRの起点になるようなコンテンツの開発や、クリエイティブ周りを強化しています。
ーPRの起点とはどういうことでしょうか?
モノ(=商品・ブランド)を広めるのがPRの重要な役割ですが、どういう情報を伝えた方がいいの?という方が大事です。
少し前までは、モノをどう広めるの?を重点的に考えていましたが、昨今はモノで差別化するのが難しいですよね。
だから、文脈設計の方が大事だと思います。つまりは、どういう関係を社会と築いていくかですね。
ーPRによって商品が売れたりする、いわゆるマーケティングではなく、ブランディングということですか?
PRはマーケティングなのか、ブランディングなのか。幾度も議論がされてきていると思いますが、求められることによって手法は変わります。
本質的にPRに携わる人間としては、まずはブランディングがあります。それを整えた上で、マーケティングPRがありますね。
ブランディングとしては、どういうメッセージを届けるか、どういうブランドであるべきか?の設計が大事ですね。
また、PRの成果の定義も、目的によって変わります。
スモールビジネスにおいては、まずは特定の領域にちゃんと知ってもらい、好きになってもらうのが成果かなと思います。
ースモールチームにとっては、PR(パブリックリレーションズ)と言えども、コミュニティリレーションズといった感じでしょうか。
そう、それはどちらもありますが、ステップを踏んでいくものですね。
まず最初は小さなコミュニティからだと思うのですが、そこから更に社会との関係を構築していく時に、既存のファンが「このブランドってここまで見てるんだ。ずっと推せるな」と思ってもらえるんだと思います。
最初から壮大な思想を語っても誰もついてこないと思うので、まずは小さくちゃんとファンをつける。
一定のコミュニティができたら、社会との関係を押し出していき、ブランドとして大きくなっていく、ということなのかなと思います。
社会との関係という話の例としては、無印良品がわかりやすいですね。
社会のためにアクションしています。ファンがそれを目にすると、そのブランドを信じていていい、と思えますよね。
例えば最近だと、自分で詰める水を始められました。
無印良品らしく、持続可能な社会に向き合うことから出てきたサービスです。
メッセージの発信だけではなく、具体的なアクションとして積み重ねていくのが大事だと思います。
まずは共感を得ること
ーSTORESのオーナーさんが、自身のブランドはちゃんとブランドが作れているのか?を判断するためには、どうしたらいいでしょうか?
- 「何を成し遂げたいのか?」を明確に発信できているか
- それに共感してくれる人がいるか
これらから判断するのがいいと思います。
まず前提として、商品の機能価値ってどれも横並びなことが多いと思います。
そんな中で「やっぱりここで買おう」と思ってもらうためには、普段からメッセージを伝えていき、共感を得ることが大事です。
更にPR目線を加えると、世の中の流れにいかに対応できるかが重要です。
今は世の中の流れが早いですよね。それに対してアクションができれば、ファンが増えていくイメージがあります。
ーSTORESのオーナーさんの中には、趣味の延長でお商売を始めて、そこまで大きな思想を持ってないよ!という方もいると思います。
裏を返せば、等身大の自己表現に共感が生まれて、お商売が成り立っているというのもあると思います。
確かにそうですね。
先ほどの話にもあったように、ステップだと考えていて、まずはコミュニティを大切にするのがいいと思います。
PRって一歩先ですよね。よりファンを広げたい段階での動きだと思います。
そうしたくなったら、「なんでお商売始めたんだっけ?」に改めて向き合ってみて、社会との接点を見出してみてください。
小さなコミュニティで称賛されていることは、世の中に広げても認められることもあると思いますし、実は社会との起点になっていたり、世の中のためになっているものもあるんです。
ー原点に向き合って、今後の社会との接点を考えていくということですかね。
仰っていることはなんとなくわかりますが、社会との接点を発信していくメリットって、なんなのでしょう?
わかりやすいメリットとしては、パブリシティ(メディアで取り上げてもらうこと)はありますよね。
STORESのオーナーさんの例では、LIGHT UP COFFEEさんがエスプレッソキューブという商品を出されてますよね。
コロナの影響でカフェにいけない時間が続いているけれど、おうちでも美味しいカフェラテ飲みたいよね、という視点を持って、ブランドが社会に歩み寄る。それが形になったのがあの商品だと思います。
結果、ワールドビジネスサテライト(テレ東系)など地上波の番組にも取り上げられていました。
別のメリットとしては、ファンとの関係をより深くできることがあると考えています。
濃いファンの方々からのブランドに対する発言量が増えるのはいいことですね。今は広告よりもリアルな口コミの方が、より人が動くと思います。
更には、その姿勢に共感する、他のブランドさんとの繋がりが増えるかもしれません。
そこで新たな価値や世の中の動きが生まれる可能性もあると思いますし。
僕も、普段仕事でしているPRアクションでは、ある企業さんの動きに対しての賛同企業を集めたりしています。
ーそれはありますね!STORESだと、HANARIDAさんとLALUCEさんがコラボされていた例などがあります。こういった動きって素敵ですよね。
最後に、STORESのオーナーさんにコメントをお願いします!
僕は、いいものをもっと広げて行きたいと思っています。
世に広まっていいはずなのに、埋もれてしまっているのはもったいないと思う。
それにPRの視点が加わることで、少しでも広まってくれたら嬉しいし、オーナーさんにもそういった発信や動きを考えるきっかけになってくれたら嬉しいですね。
ーありがとうございました!
STORESMAGAZINE「スモールチームのPRはコミュニティとの関係構築から|株式会社プラチナム 濱村 裕也」
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