新潟最大級のイノベーションイベント「LAST NIIGATA」が、今年も11月4日(水)から11月8日(日)まで開催されることになりました。昨年は、元サッカー日本代表の中田英寿さんによる日本酒をテーマにしたトークセッションなどもあり、大いに盛り上がりました。
当社も「LAST NIIGATA」に合わせて技術展を出展する予定です。
昨年の様子は、過去のコラム「#10:伝える力が未来を拓く ~プレゼンテーション 主役はあなた~」や「#11:“こうせい”をかける-1.0」でご紹介しております。多くの皆様にご来場いただき、高い評価をいただきました。改めて感謝申し上げます。今年も「LAST NIIGATA」とともに新潟を盛り上げていきたいと考えておりますので、ぜひお越しください。
技術展の一環として、社内向けのLT大会も開催しました。(LT : Lightning Talk、短時間でテーマを発表するプレゼンテーション)どの発表も興味深い内容をシンプルにまとめており、とてもレベルの高いものでした。今後は社外向けの開催も検討したいと思っています。
2年前のLT大会から、オープニングセッションでスピーチさせていただいております。しかし、「20分くらい話してもいい?」とか、「今回は英語で話すからAIで同時通訳して」といった、ライトニングトークの趣旨から少々外れたむちゃ振りをしてしまい、事務局の皆さんには苦労をおかけしました。
技術屋の顔で熱弁した2024年のライトニングトーク大会での私
一昨年は無線LAN規格 Wi-Fi(IEEE802.11)の標準化活動についてお話ししました。内容が技術的に深いため、できるだけ分かりやすく伝えようと工夫したのですが、やはり難しいテーマだけに十分に伝わらなかったのではないかと反省していました。
そんな思いで皆様からのフィードバックに恐る恐る目を通したところ、「技術者としての社長の話が興味深かった」といった感想を多くいただき、一気に元気を取り戻しました。社員の皆さんの温かい言葉のおかげで、「来年もライトニングトークという名のヘビートークを続けよう」という気持ちになりました。そして改めて、「伝え方」そのものについて考え直してみようと思い、今回のテーマを『伝え方を再考する』としました。
最近では議会の様子もYouTubeなどで気軽に視聴できるようになっています。先日、会期延長を経て閉会した国会の審議を見ていて、「相手の問いに答える」というコミュニケーションの基本について改めて考えさせられました。
やり取りの中には、質問に正面から答えているとは感じられない場面や、質問が変わっても同じような答弁が繰り返される場面も少なくありませんでした。これでは民主主義の前提である「健全な議論」には程遠いと感じざるを得ません。
私たちは日々苦労しながら価値を生み出し、その対価として税金を納めています。その貴重な税金によって運営されている場で、建設的な議論よりも不毛な応酬に時間が費やされているように見えると、率直に言って残念な気持ちになります。
だからこそ、相手の質問の意図を理解し、正面から答えるというコミュニケーションの基本の大切さを改めて感じました。
コミュニケーションの本質とは、自分の言いたいことを一方的に伝えることではありません。相手の問いや関心を正しく受け止め、それに対して答えることにあります。健全な議論が成立するためには、まず相手のボールを受け止める姿勢が必要なのだと思います。
「読みやすい文章を書くにはどうしたらよいですか」 「分かりやすいプレゼンテーションをするにはどうしたらよいですか」こうした質問を受けることがあります。
文章を書く場合でも、プレゼンテーションを行う場合でも、大切なのは『コミュニケーションであることを意識する』ことです。
コミュニケーションで重要なのは、一方的に伝えることではなく、相手が求めていることにしっかり答えることです。つまり、双方向のキャッチボールを意識することです。
文章やプレゼンテーションは一見すると一方向の伝達のように見えます。しかし実際には、読む人や聞く人が何を知りたいのかを考え、その問いに答える形で伝えることが重要です。
私は以前、論文試験の採点官を務めたことがあります。その際、特に重視していたのは「題意にきちんと応えているか」という点でした。どれだけ熱意のある主張であっても、設問と関係のない内容を並べるだけではコミュニケーションが成立しているとは言えません。まず題意を正しく捉え、それに対する答えを書いているかが重要なのです。
そのためには、まず「何を問われているのか」と「それにどう答えるのか」というシンプルな構造を作ることです。そして、その答えを補強する具体例として、自分の経験や取り組みを活用するとよいでしょう。
写真:Patrick Perkins/Unsplash
そのためにも、日頃から様々な経験を自分の引き出しとして蓄えておくことが大切です。そして文脈に応じて、最も適切な引き出しを選び出して使います。
「ルーチンワークが中心なので、引き出しになるような経験はあまりない」
そう思う方もいるかもしれません。
その場合は、自分の経験だけでなく、他人の行動や言葉を引き出しとして蓄えてみてください。
以前、ビジネススキル研修の講師を務めた際に、ある受講者がこんな話をしてくれました。
「私の先輩は、やり方をすぐには教えず、あえて失敗を経験させてくれました。そのおかげで、自分のやり方の何が問題だったのかを身をもって理解することができました。素晴らしい教え方だと思います」
このように、自分が感銘を受けた他人の行動や考え方も十分に引き出しになります。そうした気づきを日頃から蓄えておくことで、論文やプレゼンテーションに深みを持たせることができます。
ただし、例は必要最小限にした方がよいです。
私自身も、伝えたいことが多すぎて、つい内容を詰め込みすぎてしまったと反省することがあります。
文章や発表では、本当に伝えたいことだけを残し、それ以外は断腸の思いで削ぎ落とす。削ぎ落とした内容は引き出しとして残し、質問があったときに活用する。そのくらいの意識でシンプルにしたほうが、結果として伝わりやすくなります。
本当は「分かりやすく伝える具体的な技法」についてもお話ししたいところですが、それをここで語り始めると、このコラム自体が盛り込み過ぎでお腹いっぱいになってしまいそうです。続きは、また別の機会にしたいと思います。
※次号は7月27日(月)リリース予定です。