静岡を拠点にWebサイトのデザインとコーディングを手がけてきた内山さん。デザインコンサルティングファーム・バイネームでの新たなデザイン経験を経て、次のステップに進むことになりました。
退職直前のいまだからこそ語れる、バイネームでの実践の日々、学び、そして見えてきた“次の一歩”とは?なぜ退職を決断したのか、バイネームの良いところと悪いところ、卒業前にリアルな声を聞いてみました。
経験を積んで気づいた「いま伸ばしたいところ」
── 内山さんのこれまでのご経歴を教えてください。
2019年にデザイン系の大学を卒業しました。私が通っていた大学は、デザインに限らず音楽や映像、プログラミングなど幅広く学べる学校で、当時は「自分は専門性が低く、デザイナーになるのは難しいのでは?」と感じていたんです。そこでまずは営業職を経験してみようと、最初は営業系の会社に入社しました。
しかし、大学4年生の終盤に取り組んだ卒業制作を先生に褒めてもらえたり、ポスターのコンペで賞をもらえたりしたことがきっかけで、「もしかしたら自分にもデザインでやっていける可能性があるかもしれない」と思うようになりました。それから結局デザインの道に進みたいと考え直して、静岡のWeb制作会社に転職しました。
その会社では、BtoB・BtoC問わず様々なWebサイトの制作に携わり、デザインとコーディングを一手に担当していました。経験が浅いながらも勉強しながらなんとか技術を身につけることができました。そして2024年の4月から、バイネームにジョインしています。
── どのようなきっかけがあってバイネームに入社されたのでしょうか?
前職ではずっと一人でデザインとコーディングを担っていたこともあり、業務の進め方や今後のキャリアについて悩むことが増えていました。ただ、当時は社外にデザイナーやコーダーの知り合いが全くおらず、相談できる人がいない状況に不安を感じていたんです。そこで、X(旧Twitter)を活用して、自分から少しずつ他のクリエイターと交流するようになりました。
その流れで、とある悩みをポストしたところ、バイネーム代表の井上さんが相談に乗ってくれる機会を作ってくれたんです。私が抱えていたモヤモヤに対して丁寧に耳を傾けてくれただけでなく、的確なアドバイスもくれて。「この人は信頼できそう」と思えました。そういった話の中でバイネームへの転職の選択肢が出てきました。
特に悩んでいたのが、ディレクション領域の業務をどうこなすかという点だったのですが、バイネームのスタイルなら、その部分も自分である程度コントロールしながら進められそうだと感じたのが大きな決め手になりました。
── バイネームでは、どのような案件やプロジェクトを担当されていましたか?
バイネームでは、前職の経験を活かしてWebサイトのデザインやコーディングを引き続き担当しながら、それに加えてUI/UXの領域にも挑戦することができました。特に印象的だったのは、Webアプリの体験設計の見直しやUIの改善、そしてフロントエンドの実装まで一気通貫で任せてもらえたことです。
例えば、AIを活用してユーザーとのやりとりを通じてデータ解析を行うWebアプリや、自動車販売店の業務改善を目的とした業務システム、SaaS系のアプリなどを担当しました。そうしたWebアプリに比べるとWebサイト制作の案件は少なめですが、それでも宿泊施設や医療機器メーカーのサイトを手がけるなど、バリエーション豊かなプロジェクトに関わることができました。
── 今回転職を決められた理由や、バイネームではできなかったことについて教えてください。
転職を考え始めた一番の理由は、自分が今後どの方向に進んでいきたいのか、あらためて見直したくなったからです。バイネームではUI/UX案件にも多く関わってきましたが、実は私にとっては未経験からのチャレンジで、バイネームに入ってから初めて取り組んだ分野でした。その領域をやっている中で、Webサイトにおける多彩な表現にもっと集中したいという思いが強く持つようになりました。
バイネームのビジネスとしては、売上の面からもUI/UX系のプロジェクトをある程度主軸にしていく必要があり、私自身もWebサイトとアプリUIの両方を担当していました。ただ、機能的なデザイン(UI/UX)と、感情や世界観を伝える表現的なデザイン(Webサイト)は求められるものが大きく異なります。その両方を同時にやっていくのは、自分にとってはなかなか難しく、どちらにも集中しきれない感覚がありました。
もちろん、バイネームでも表現的なWebサイト制作を追求しようと思えばできたかもしれません。でも、案件の性質上、どうしても制作内容が分散してしまいがちで、まだどちらの分野でも技術が足りていない自覚がある中で「今の自分には絞ったほうがいい」と判断しました。転職活動を始めてみたところ、自分のやりたい方向と合いそうな会社と出会うことができ、挑戦してみようと決意しました。
── バイネームだからこそ挑戦できたことや、成長できたと感じたことがあれば教えてください。
一番の変化は、クライアントと直接コミュニケーションを取る経験を積めたことです。前職ではディレクターだけがクライアントとやり取りしていて、私はその指示に従って作業する形でした。
でもバイネームは、基本的にデザイナーがディレクションも担うスタイルなので、入社してすぐにミーティングに同席し、自分で進行を担当する機会がありました。最初のころは緊張して、「喋るだけで精一杯…!」という感じでしたし、相手の理解度をきちんと把握できていなくて、意思疎通にすれ違いが生まれてしまうこともありました。
それでも、続けるうちに少しずつ慣れてきて、会話の中で議題を整理して話す力がついてきたり、「ここは相手がまだ理解していないな」と察して補足できるようになってきたり。1年以上かかりましたが、井上さんから「良くなってきたね」とフィードバックをもらえたときは嬉しかったです。
また、UI/UXの実務に触れられたことも大きな経験でした。FigmaでUIを設計し、プロトタイプを作ってテストする流れも体験できて、Webサイトとの違いに驚きました。UIの世界は、システマチックで設計の自由度が少ないぶん、理論や手法がしっかり体系化されていて、まるで学問のように完成された部分があります。UXに関しては、ユーザビリティや体験設計といった「概念的な上流のデザイン」を知って、「デザインという言葉の範囲って、ここまで広いのか…!」と驚かされました。
そうした発見はとても面白かったですし、自分のデザイン観を広げてくれました。ただその上で、「私はやっぱり、もっとWeb表現の技術を深めたいんだ」と気づけたことも、バイネームで多様な仕事に取り組んだからこそ得られた学びだったと思います。
バイネームだから挑戦も成長もできた、でもまだまだこれからなところもあった
── 一番印象に残っているプロジェクトや業務について教えてください。
一番印象に残っているのは、最初に担当したUX案件です。
案件は、車販売店で使われている業務管理アプリの中の「タスク管理画面」を見直すというものでした。それまでの私は「デザイン=見た目を整えること」と思っていたところがありましたが、UXはまったく違っていて、「ユーザーがどんなシーンでどんな気持ちでこの画面を使うのか」といった視点が欠かせません。正直、最初はその考え方がまったく自分の中になくて、「UXってこんなに奥が深いのか…!」と圧倒されました。
世の中の優れたUXが、どれだけ緻密な設計と思考の上に成り立っているのかを実感して、本当に驚きました。こんなに難しいことを、多くのプロダクトが当たり前のようにやっているのかと思うと、尊敬しかなかったです。
あの案件を通じて、「真剣に向き合えば形にできる」という自信を持てたのは、自分にとって大きな転機だったと思います。
── バイネームの業務以外での良いところや、逆にあと一歩だと感じる点があれば教えてください。
業務以外で特に魅力的だったのは、報酬の仕組みやキャッシュフローの透明性が非常に高いところです。私は地方在住なのですが、地方の制作会社ではどうしても給与水準が低いのが一般的です。バイネームでは、利益の一部が自分のボーナスになる仕組みがあり、東京水準の報酬が得られるのがとてもありがたかったです。
「自分が頑張った分が、こうして還元されるんだ」と実感できましたし、ボーナスで自分の作業環境を整えることもできました。給与やボーナスも、自分で設定できるスタイルで、責任もありますが自由度も高く、自立して働きたい人には向いていると感じます。
一方で、改善の余地を感じる部分もあります。現在のチームは人数がやや足りておらず、各メンバーのリソースが限界に近いことも多かったです。そのため、案件をお断りしたり、業務量を調整したりといった対応が日常的にありました。外注の方にお願いする場面も増えていましたが、今後メンバーが増えればもう少し負荷が分散できるのではと思います。
また、運営にかかる共通経費──たとえば税理士への報酬や、会社が運営するシーシャバー「MOCK」の家賃など──は、社員で割り勘にする形式だったので、人数が少ないと一人あたりの負担が大きくなりがちな点は少し気になりました。これは小規模な組織ならではの特徴かもしれません。
── 入社してから、会社として何か変化はありましたか?
はい、入社してからも会社として徐々に進化していて、特に評価制度や粗利還元の仕組み、お金に関するルールの改善が進んでいると感じました。もともとバイネームは、売上や利益の透明性が高い会社でしたが、そこがさらに強化されつつあります。たとえば、どの案件をいくらで受けて、実際にどれだけ利益が出ているのか──そういった情報が、より明確にデザイナーにも共有されるようになってきています。
案件ごとに、「この工数でこの金額なら、自分の人件費はどれくらい」「見積もり内でちゃんと収まっているか」といったことを意識するようになり、結果として「どうすれば自分の単価を上げられるか」「外注を入れるべきか」といった判断も、自分で考えて動けるようになってきたと思います(もちろん案件によっては制約もありますが)。見積もりの考え方や、工数の出し方、人件費とのバランスなども具体的に理解できるようになり、自分自身の仕事に対する金額感覚がだいぶ鍛えられました。
ただいいものを作るだけでなく、その制作がどう利益を生むのか、どう回収されるのかまで見渡せる感覚は、これからのデザイナーにとって本当に重要なスキルだと思っています。
── これからバイネームに入社する方に、伝えておきたいことはありますか?
UI/UXの実践を積んでスキルを磨きたい人にとっては、すごく良い環境だと思います。地方にいながらフルリモートで働けて、自由度も高く、それでいてしっかりとした報酬も得られる会社って、なかなか珍しいのではないでしょうか。特に地方でキャリアを積みたいデザイナーには、自信を持っておすすめできます。
ただし、向いている人・向いていない人は分かれるとも思っています。「やり方を教えてほしい」「手取り足取りサポートしてほしい」というタイプの方には、正直あまり向いていないかもしれません。バイネームにはいわゆる教育制度のようなものはありませんし、初めてのことにも「とりあえず自分なりにこうやってみます!」と前に出ていける人のほうがフィットします。
もちろん、サポートやフィードバックはあります。ただ、それを受け取って自分の中で考え、次の行動に活かしていくことが求められるので、「考えることがつらい」「誰かの指示がないと動けない」という人には少しハードに感じるかもしれません。
バイネームは、いわゆる“下積みをする場所”ではなく、実践の中で成長していく場所だと私は捉えています。まだ経験が浅くても、自分の力で何かに挑戦してみたい、キャリアを自分の手で切り拓いていきたい、そんな想いを持っている人にとっては、きっと大きなチャンスと学びがあるはずです。
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