「Check-in(チェックイン)」~双方向のコミュニケーションを大切にするアドビの評価制度~
こんにちは!採用担当の小川名です。アドビでは『Check-in(チェックイン)』という上司と部下との継続的なコミュニケーション且つ人事評価制度を実施しています。その仕組みや効果について、人事部ビジネスパートナーの草野さんにヒアリングしてみました!
Check-inはアドビという飛行機でキャリアの旅を安全・快適に導く評価制度
小川名:
Check-inという名前はすごく独特ですよね!この由来について教えてもらえますか?
草野:
Check-inという言葉は、飛行機の搭乗手続きに使われてますね。実はこの制度の由来にもなっています。航空会社のチェックインカウンターでは、チケットやパスポートは忘れずに持っているか、預ける荷物はどのくらいかなどと確認してもらい、しっかりと目的地へたどり着けるように導いてくれます。
アドビのCheck-inも会社や組織に例えると、チェックインカウンターの中にいる人がマネージャー。メンバーは、これからキャリアの旅をしていく人です。
アドビという飛行機でキャリアの旅をするメンバーに対して、チェックインカウンターの中にいるマネージャーは、メンバーが目指す次のキャリアの目的地をヒアリングして、安全に、かつ快適に旅ができるように導いてあげることが大切な役割なのです。
Check-in は年間を通じたコミュニケーション
小川名:
なるほど。すごくしっくりきます!具体的にCheck-inとはどのような仕組みか説明いただけますか。
草野:
「Check-in」とは、メンバーが直属のマネジャーと3カ月に一度を目安に面談し、その都度目標に向けた成長点や改善点を話し合う制度で、言うなれば年間を通じたコミュニケーションのことです。一回のCheck-in時間は45-60分です。
その内容は「EXPECTATION(期待)」「FEEDBACK(フィードバック)」「DEVELOPMENT(キャリア開発)」3つのトビックから成り立ちます。
最初の「EXPECTATION(期待)」は部署のミッションについてマネージャーから説明し、メンバーの視点を引き上げます。その上で、メンバーに期待する年間のゴールを成果物・行動・貢献の点で、双方で合意できる形に持っていきます。
「FEEDBACK(フィードバック)」は業務を行う中で発生したことを適宜フィ ー ドバックして、さらに良い方向に進めていきます。
「DEVELOPMENT(キャリア開発)」はまずアドビのフレームワ ークに沿って、短期と長期のゴール設定と、そのゴールにたどり つくために得たい知識や経験、資格などをメンバーが整理します。ここで重視しているのが、マネー ジャーができる限りメンバーの目標達成をサポートすることです。
Check-inとは「あなた」のことについて話します
小川名:
私は以前の会社で「1 on1 」を行っていたのですが、それとも少し違うと感じています。
草野:
そうですね。1on1はあくまで 「業務の進捗、業績」のことで、もちろん毎週のように行っております。しかしCheck-inはあくまで「あなた」について話し合う別途の時間です。どうしても上司と部下が二人 になると仕事の話になりがちですが、それを「あなた」の話に戻すのがミソです。
小川名:
確かにマネージャーと話すときは常に、私に焦点を上げたトピックですね。上司からアポイントを取りますが、私から話題をドライブする場合もあります。
草野:
そう、アドビが大切にしているのは「双方向のコミュニケーション・フィードバック」です。
ランク付け評価でモチベーションが低下!?
小川名:
アドビでは以前からCheck-inの制度だったのでしょうか。
草野:
いいえ、以前は年間目標の達成度合いでランク付けを行う評価制度でした。1年に1度、メンバーが指定フォームに年間の達成事項を記入し、マネージャーに提出します。マネージャーはそれに対して、評価文書を書き入れていくのですが、5人の関係者からもフィードバックを集めなければならず、ひとりの評価にあまりにも時間がかかっていたんです。
小川名:
特に組織が大きいマネージャーは一定の期間にものすごい労力と時間がかかりそうですね。。
草野:
当時は1人のマネージャーが持っているメンバーは平均8人でしたので、一人当たり8時間だとすると、合計64時間も人事評価に費やしていたんです。そこまでの時間を費やしていたにも関わらず、メンバーからは「有用なフィードバックが得られない」「評価に納得できない」といった不満の声が上がっていました。結果的に、メンバーのモチベーションも低下してしまっていたんです。
小川名:
双方にとっても悪循環だったんですね。。
フリーフォーマットで双方のコミュニケーションをしやすい方法に
草野:
Check-in時に変更してからは従来の評価制度のような指定フォームに記入せず、フリーフォーマットで、マネージャーの記録しやすい方法にしてもらっています。指定フォームをなくすことで、頻繁に行われるCheck-inを、気楽に行うことができるようにしました。
小川名:
確かに、しっかりフォームを埋めてから面談して、と言われるとプレッシャーですし、それが義務となってしまいます。
草野:
Check-inのフォームは人事に提出する必要もありません。各マネージャーは、さらにその上のマネージャーとのCheck-inを行い、そこでメンバー人ひとりのパフォーマンスを共有します。
小川名:
Check-inに変化してからは、だいぶカジュアルにそしてより効率的になったんですね。
アドビのマネージャーとメンバーの間距離感が近く感じるのも、Check-inの仕組みのように双方のコミュニケーションを大切にしているからかもしれませんね。
メンバーの課題ではなく、お互いの課題に捉える
小川名:
導入後に現れた変化は何が大きいですか?
草野:
マネージャーの工数の削減はもちろんですが、マネージャーがメンバーに対するコミュニケーションが変わってきました。以前の評価制度だと査定する側が一方的に聞き、査定される側はそれに答え、その答えたものに対して査定側は自分の中のものさしで評価をしていくコミュニケーションでしたが、
Check-inではお互いの課題を認識して、そのために何をするべきか。というコミュニケーションになりました。メンバーのスキルが足りないではなく、そのスキルが足りないことに対して、マネージャーがアドバイスやリソースを提共できてないことも課題として考えるようになり、「メンバーの課題」ではなく、「お互い(メンバーとマネージャー)の課題」として捉えるように変化しました。
小川名:
確かに、Check-inではマネージャーが私の相談を聞き、そのためにはどうしたら良いかを一緒に考え、チームとして一緒に頑張ろうという意識が強くなります。