「日常を楽しんでいたら、それが企画になっていた」——大谷がプランニングの仕事をそう表現するのは、比喩ではない。国家資格を持つ作業療法士から、エンタメコンテンツのプロモーション企画へ。一見バラバラなキャリアに、実は一本の軸が通っている。「遊んでいたら、結果としてリハビリになっていた」——そう感じて作業療法士を選んだ感性が、今の仕事でもそのまま生きている。
「このまま続けることが、怖かった」
── GLAPに入社する前は、どんな仕事をしていたんですか?
大学で国家資格を取って、作業療法士としてデイサービスや訪問リハビリで働いていました。
── 作業療法士、もともとはどうして選んだんですか?
高校生のときに、親が入院したことがあって、リハビリをしてくれる人たちと話す機会が増えたんです。その中でリハビリの仕事に興味を持つようになりましたし、もともと野球をやっていたので体の動きには興味があって、理学療法士か作業療法士どちらかを仕事にしてみたいなと思っていました。
大学で学んでいく中で作業療法士の考え方に惹かれていって、最終的には作業療法士として働くことになりました。
── どんな考え方に惹かれたんですか?
「料理をしていたら、それがリハビリになっていた」「遊んでいたら、気づいたら手が動くようになっていた」みたいに、生活や遊び自体が治療につながる。理学療法がガッツリ「リハビリするぞ」という感じなら、作業療法は「楽しんでいたら結果的にリハビリになっていた」という感じで、それをデザインしていく仕事に面白さを感じて惹かれていきました。
── どうして作業療法士の仕事から、別の仕事へ変えようと思ったんですか?
どんどんできることを増やしたり、楽しみながらリハビリにつながることを考えていきたいと思って取り組んでいたけど、同じケアを毎日繰り返していくことが多くて、「作業療法は遊びが価値になる」と惹かれて選んだのに、現場では自分の「好き」や「楽しい」がリハビリに活きる場面が段々少なくなってきて自分が思い描いていたものとのギャップも、じわじわと積み重なっていって転職することに決めました。
── それでキャリアチェンジを決めた。
「自分の興味やワクワクが、そのまま仕事になる環境に行きたい」というのが、根っこにあったんだと思います。それを当時の自分が言葉にすると「キラキラしたOLになりたい」って言ってました(笑)
「髪型やお化粧が自由で、自分のパソコンを持って仕事をする」まずは形からキラキラしようと思って「SNS運用」のアルバイトを探す中で、たまたまGLAPの求人が出てきて応募しました。
「キラキラ、最初から手に入れた感じがしました」
── どんな流れで採用されたんですか?
プランニングチームのマネージャーの方と面接して、アルバイトとして採用されることになりました。その面接でMBTIの話になって、マネージャーの方と同じタイプだったので盛り上がりながら面接してましたね。面接が終わってすぐ、3日間のお試し出社をして、アルバイトとして採用してもらいました。
── 実際に入社してみてどうでしたか、キラキラしてましたか?
私服で出社して、きれいなカフェスペースで仕事をしてる中で思いました...
「キラキラ、最初から手に入れた!」って(笑)
リハビリの仕事はユニフォームが決まっていて、髪も縛らないといけなくて、おしゃれなんて全然できなかったから。そのギャップがすごくて。
でも、それだけじゃないんですよね。仕事に対してもワクワク感があって楽しかった覚えがあります。キャラクターのリサーチをして、企画を出して、それが実際に形になっていく。一個一個、ちゃんと前に進んでいる感じがして、合っているなと思いました。
「普段の自分の感覚がそのまま仕事になっている」
── 今はどんな仕事をしているんですか?
プランニング部で、IPのプロモーションやSNS運用の企画をしています。同時に複数の案件を担当しているんですけど、案件ごとにキャラクターも違うし、目的も全然違うので全部が新鮮ですね。
SNS運用の企画では、どんなイラストにするか、どんな投稿にするかをぜんぶ自分で考えて、イラストレーターさんに発注して。はじめてゼロから企画を動かしている感覚があって、プレッシャーはあるんですけど——でもそのプレッシャーの種類が、前の仕事のしんどさとは全然違うんですよね。
「どうしよう...」じゃなくて、「どうしようかな!?」って考えていられる感じで。「これが私の仕事だ」という感じがします。
── まだ世に出ていないキャラクターにも関わっているとか?
そうなんです。TikTokを中心に展開する予定の新キャラクターのプロジェクトにも入っていて。アニメーションでどう動かすか、どんな動画にするかを考えています。
私がそのキャラクターのターゲット層とドンピシャの世代で、ペルソナでもあるので、「こっちの方がいいかも」という感覚で意見を出せるんです。普段の自分の感覚がそのまま仕事になっている感じがして——それって、すごく珍しい経験だなと思っています。
── 他にはどんな案件を担当していますか?
映画のプロモーションの一部を担当していて「映画館に見に行きたくなるような企画」を考えています。「このシーンに刺さる人って、どんなことを考えてるんだろう」「この世界観に共鳴する人が、ふだんどこにいるんだろう」って、限られた情報から全部自分で考えていく感じです。
毎月作品が変わるから、考えることも毎回まるごと違って。「また新しい問題が出た」という感じで、飽きないんですよね。
「どうやって知ったんですか」と聞かれて、気づいた
── そうした企画のアイデアはどこから来るんですか?
特に意識はしていないんですけど、普段からXやTVをよく見ていて、そこからアイデアを思い浮かべることが多いです。
ある案件の打ち合わせで、営業の方が「こういう方向でいきたい」とおっしゃったときに、「それ、最近ニュースで見たこれと組み合わせられますよ」って自然に言えたことがあって。そのとき相手の方が「え、どうやって知ったんですか」って聞いてくれて。私としては日常で見ていただけだったので、その反応に少し驚いたんですよね。「あ、これが仕事になってるんだ」って、初めて気づいた瞬間でした。
日常の解像度が、そのまま企画の解像度になる。そんな風に感じました。
── 作業療法士を選んだ理由と、似ていますね。
後から気づいたんですけど、そうなんです。「遊んでいたらリハビリになっていた」と同じで、「日常を楽しんでいたら企画になっていた」って。意識して情報収集しているわけじゃなくて、XやTVを見るのが好きだし、ニュースが気になるから追っているだけで。でも、それがそのまま仕事になる瞬間がある。それがこの仕事のおもしろさだなと思っています。
「¨突飛な発想をまず出してみる¨がスタート」
── この仕事に向いていない人はどんな人だと思いますか?
ルーティンが安心、という人は少し違うかもしれないですね。毎回違う案件、毎回違う問いに向き合うのが基本なので。
あと、自分のアイディアへの執着が強い人も。クライアントの世界観や予算に合わせて、最初のアイデアが変わっていくことが普通にあるので。「自分の案が採用されなかった」ではなくて、「どうすればクライアントのゴールに近づけるか」に切り替えられないと、しんどくなると思います。
私自身、自分のアイデアに対してそんなに執着がない方で。「この案より面白い案があるなら、そっちの方がいい」と素直に思えるので、合っているのかもしれないですね。自分の作品を作っているわけじゃない、というのが根っこにあって。
── 逆に向いているのはどんな人ですか?
「突飛な発想をまず出してみる」がスタートなので、制限なく考えるのが好きな人は楽しいと思います。最初は予算を気にしなくていいって言ってもらえる環境なので、まずは「面白い」を追いかけていい。
ただ、最終的には面白さとクライアントのゴールを両立させることがこの仕事の本質なので、遊びながらちゃんと成果を出すことに面白さを感じられる人、だと思います。「楽しかった」だけじゃなくて、「楽しくやったら、ちゃんと結果が出た」まで行けたときが、一番気持ちいいんですよね。
「IPと言ったら大谷」になりたい
── これからどんな仕事をしていきたいですか?
「IPと言ったら大谷に頼もう」ってなりたい。自分が好きな分野で指名してもらえるようになること。そこまで行ったら、外見のキラキラだけじゃなくて、仕事そのものがキラキラになる気がして。それが今、一番やりたいことです。