伝統を守りながらも新しい挑戦を続ける林祐太氏
今回、なぜSNS発信に踏み出したのか
そして、どのように未来を描いているのか
その背景と想いに迫ります。
帯広駅前に100年以上続く老舗ホテル「ふく井ホテル」 その舵をとる林祐太社長は、伝統を守るだけではなく、SNSを活用して十勝観光の魅力を発信する
新たな挑戦を始めている。 YOZORAの顧問でもある林佑太氏。その歩みの裏側には、地方発ベンチャーならではの物語がある
「出会いはモール温泉から」
松浦と林社長の出会いは、2024年4月にさかのぼる
ふく井ホテルが進めていたモール温泉の足湯プロジェクト(ふるさと納税型クラウドファンディング)に松浦が寄付をしたことがきっかけだった
「地方の採用課題を解決したい」という松浦の想いに林社長は共感。
さらに「SNSを委託するだけではなく、結果とプロセスに本気でコミットする姿勢」にも信頼を寄せ、距離は一気に縮まっていった。
その後、松浦は「YOZORAが成長するには、すでに地方ベンチャーで成功している林社長が顧問になってくれることが一番の近道」と考える。
2024年9月、連日飲みに誘い口説き続けた末、林社長は正式にYOZORAの顧問に就任した。
「インフルエンサー社長への挑戦」
ーTikTokを始めたのは同年6月
松浦が「インフルエンサー社長になりませんか?」と声をかけたことが出発点だった。
当時、地方でSNSに挑戦する経営者はほとんどいなかった。
「これは面白い」と林社長は感じ、挑戦を決意する。
経営者としての知名度は高かったが、地元・十勝市民の間での認知度にはまだ課題があった。
観光発信を通じて地域に根ざした存在になりたいという思いが重なり、「北海道・十勝の観光専用アカウント」という形でスタートした。
観光をテーマに選んだのは、ふく井ホテル、とかちむら、ひまわり温泉など、林社長が手がける事業がBtoCに直結していたからだ。
さらに「地方×社長×観光」という組み合わせは、ほとんど誰も挑戦していなかった。
「70万再生を生んだ企画の裏側」
最初から成果が出たわけではない
薔薇を持って階段を降りる「バチェラー風」など、さまざまな企画を試したが、思うような反応が得られない時期が続いた
ーそんな中で生まれたのが「ランキング企画」
これが大きな反響を呼び、動画は70万再生を突破。
「ランキングお兄さん」「ベスト10の男」と呼ばれるほど、代表的なコンテンツになった。
もちろん松浦は「ランキングだけに頼りたくない」と、あえて他の企画にも挑戦を続けた。
だが、ランキング企画の力強さは揺るがず、現在はランキングで認知を広げつつ、ふく井ホテルやとかちむら、ひまわり温泉といった事業紹介も自然に織り交ぜている。
認知が広がる実感
SNSでの発信は、確かな変化をもたらした。
お祭りや街中でフォロワーの方から「ゆうた社長!」と声をかけられることが増え、
松浦、長内(おみの)と一緒にいた時に「いつも見てます、握手してください」と声をかけられることもあった。
*おみのとは、広報長内のTikTokユーザーネーム
「地方企業に影響力をつけたい」
そう語ってきた想いが現実になりつつある瞬間だった
「これからの展望」
林社長が次に掲げる目標は、TikTokフォロワー1万人。
さらに新たに始めたYouTubeでは、チャンネル登録者数を伸ばし、勝ちパターンを模索している。
伝統を守りながらも、新しい挑戦を続ける老舗ホテル。
ふく井ホテルとYOZORAの取り組みは、十勝観光の未来を切り拓く新しいモデルとなりつつある
100年以上の歴史を背負いながらも、時代に合わせて挑戦を続ける林社長。
その挑戦に伴走し、地域の発信力を高めていくことが、YOZORAにとっても大きな使命だ