ビジネス本部カスタマーサクセス 野底 琢(Taku Nosoko)
京都大学経済学部卒業。三菱リサーチアンドコンサルティングにて、ITコンサルと業務コンサルに従事。その後A.L.I. Technologiesに転職し、エナジーソリューション本部で大手企業へのコンサルを担当する傍ら、「zeroboard」β版の要件定義といった現在のサービスの根幹に関わる業務を担当。2021年9月、事業のMBOと同時にゼロボードへ転籍。現在はカスタマーサクセスの中の専門職としてチームに貢献。今春から社会人学生として、横浜国立大学大学院で環境情報学を学んでいる。
趣味は、登山、漫画、読書。一番好きな山は丹沢山。沖縄県出身。
簡単に言うと、インタビューしてイメージが変わりました。野底さんから出てくる言葉が全て新しい表現で、奥の深い言葉を紡ぎながらも、少年のように好奇心を大切にする一面も見せてくれました。いつも礼儀正しくて、周りへの気遣いを忘れない優しい野底さんの、思慮深さと脱炭素の世界で得た確信に満ちたインタビューをぜひお読みください。
お客様が実現したい世界をサポートする
– 現在の仕事内容を教えていただけますか。
はい、ビジネス本部のカスタマーサクセス(CS)を担当しています。「zeroboard」を導入されたお客様に伴走して支援をしています。CSというのは「ツールを通して、お客様が実現したい世界に向けてサポートすること」だと思っています。単にお客様の質問に回答するだけでなく、気候変動関連の情報開示のためにどのような組織体制がいいのかというところもサポートしています。
– なるほど、確かにツールの導入によって会社に変化や進化をもたらすことが重要ですね。カスタマーサクセスはどんな体制になっていますか。
カスタマーサクセス(CS)は、開発、ビジネス、コーポレートと大きく3つに分かれるゼロボードの組織のうち、顧客対応を行うビジネス本部に属しています。ビジネス本部はさらに3つのファンクションに分かれています。まずはマーケティング担当がいます。ここでお客様に興味をお持ちいただいたら、次は具体的な商談や契約を担うセールスチームがいます。最後に導入されたお客様の支援を行う僕たちCSがいます。CSだけで現在は8名が在籍しています。(人数は2022年5月7日時点)
CSも大きく3つの担当に分かれています。一つ目のカスタマーサクセスは、お客様ごとに成功とは何かを定義し、伴走してそこに導いていく業務です。二つ目のカスタマーサポートは、リーディング要素はなく、問い合わせに対して回答していく、要望に応じてデータ移行やセットアップを担当する受動的な支援となります。三つ目のテックタッチでは、カスタマーサクセスやカスタマーサポートからのフィードバックをもとに、ユーザーが自立的に「zeroboard」を利用できるよう、システム開発チームと新規機能要件を整理し、各種アプリを活用してユーザーへ操作知見を普及させる業務となります。
ビジネス本部全体として、お客様の課題に対して、「zeroboard」を軸としたソリューションを提供する部署であると理解しています。
– 野底さんはお客様と相対して支援することがメインの業務でしょうか。
僕の場合は7割がCS業務で、2割が専門リサーチ、残り1割で「zeroboard」のマスタデータ(企業活動とそれに紐づけるCO2排出原単位のデータベース)の更新を行っています。管理的なことでは、本部長代理として判断や決済を行うこともあります。
– 専門リサーチはどんなことをされるのでしょうか。
GHG排出量算定ルールの詳細、世の中の潮流、新しい基準についてのリサーチをしています。チームの中には提携しているLCA(ライフサイクルアセスメント)※1専門の研究室から来てもらっている学生インターンもいて、ビジネスメンバーだけでなく、アカデミック面での連携も大切にしながら、zeroboardの機能にどのような法令基準を反映するか開発本部と検討するなど、開発にも直結する重要な業務でもあります。社内勉強会を実施してメンバーの知見を深める役割も担っているんです。
– 先日野底さんが開催してくださった勉強会は、最新の気候変動関連の法令についてとても勉強になったのでぜひ今後もお願いします。
▲CSチームの勉強会。CSの現状分析と課題解決のための分担について検討中。今後は月1回の定例会にする予定。
ワクワクする道を選ぶことが自分の生き方
– つづいては、野底さんのこれまでをきかせていただきますね。沖縄県出身ということですが、どんな少年時代を送られましたか。
沖縄のイメージ通りかもしれませんが、自然に囲まれて過ごしました。遊ぶ場所といえば海や川ばかりでした(笑)。
– 幼い頃に自然に触れたことが今の仕事に繋がっていたりしますか。
沖縄の珊瑚礁の危機的状況は身近な環境問題として捉えていました。僕の両親は社会問題に関心を持っていたので、食卓でもそのような話があがることも多く、昔から環境問題には熱い気持ちを持っていました。大学時代にも繋がっていて、経済学部の中でも環境経済学や組織経済学を選びました。環境経済学では、各種環境問題に対して市場動向がどのように変化するか、どのような政策・制度があるべきかを研究したのは、今でも役立っています。
そういえば高校時代にアメリカに留学もしたんですよ。
– アメリカに留学しようと思ったきっかけは?
当時は単純にかっこいいと思ったんです(笑)。昔から背景や目的を考えるより、ワクワクする道を選びたくなる性格でして・・・。1年留学したので結局高校は4年間在籍して、高校から大学に入るまでに2浪したので、同年代よりも社会人経験は3年短いです。
– 全て初耳情報(笑)。大学を卒業されてコンサル業界に入られたのはどのような考えからですか。
かっこいいし、東京で一旗あげたいと思ったんです(笑)。留学もそうですが、僕は人生の大事な部分で、ワクワクする気持ちで選択するところがあるんです。もともとは戦略コンサル希望で受けたのですが、入社するとITコンサルと業務コンサルに配属されました。システムや業務に対する学びはもちろんですが、コンサル業界では人間関係の築き方や付き合い方を学べたことが大きかったです。僕は立ち回りがうまくなかったので、出世競争という視点では挫折の多い時代だったと思います。
社会問題を自分ごととして捉えるチームとの出会い
– 挫折という言葉を自然と口にできる野底さんは自然体でいいです!コンサルの後にゼロボードの前身であるA.L.I. Technologiesに転職し、実質今の創業メンバーに仲間入りしましたね。当時どのような理由で転職を決めましたか。
エナジーソリューション本部で展開している環境系の事業が魅力的だったんです。大手企業のコンサルや、小田原市でのマイクログリッド実証を展開していて、純粋に事業にとても興味がありました。入社前にカジュアルランチに誘っていただいた時、メンバーのひとりから自然と社会問題の話題が振られ、それを全員で話していたのを見ました。日頃から社会問題に興味があるチームだと知り、自分と同じ価値観なのが嬉しかったのも理由です。それってみんなが社会問題を自分ごととして捉えているんだと思うんです。そんな光景も目の当たりにして、このチームで働きたいと思って転職を決めました。
– そんなことがあったんですね。入社してみてどのような印象でしたか。
環境問題をビジネスに変えようとしているところに感動しました。これまで環境と経済は両立できないと学んできたので、その常識が自分の中で覆りました。zeroboard事業がスピンアウトする際も、自分がやりたいことは変わらないので自然と受け入れて転籍しました。
ここは新しい経営論を確立できる場所
– 野底さん自身、ゼロボードで働く醍醐味をどんな場面で感じていますか。
一つ目はキャリア面。ベンチャーであるが故に個人が裁量を持って仕事を進められますし、一連の業務を一人で担当するので高い視座で働ける環境だと思います。
二つ目は心的安全性が確保されていること。困った時はメンバーがフォローしてくれたり、代表や上司が課題解決の大枠を示してくれたりするので、安心して仕事を進められます。また、課題を部署や会社全体で共有しようとする姿勢があるので、そこからも全員が自分ごととして捉えているのを感じます。問題が起きても全員が感情的にならず、高度に理性的であろうとすることもゼロボードのとても良いところであり、カルチャーでもあると思います。
三つ目はやはりサービス。お客様に対して場当たり的な支援ではなく、僕らはきちんと排出量算定の正攻法と言えるポジショニングを取って、永続的な算定支援をし、その結果としてお客様が算定にコミットできる体制を作る支援をすることが重要だと思います。
まずは排出量の算定・開示のご支援から、製造業のお客様であれば、経営層を巻き込み、QCD(Quality、Cost、Delivery)に加えてEnvironment(環境)という新しい軸を入れた調達基準で、どのように競争力のあるものづくりを行っていくか、それを実現するための経営体制をどのように作っていくのか、そういったことまで携わっていきます。
ここは”新たな経営論”を確立していく世界だと感じていて、僕にとってこれほどワクワクするものはありません。あるべき論から考えるところが、新しい学問と言っても過言ではない。ゼロボードがやっていることは未知の領域ですよね。
▲メンバーとのリラックスタイムでは色々な話をしながら情報交換
– 新たな経営論を確立できる世界って、そうそう巡り会えるものではないですね。その世界でお客様に相対することが多い立場として、ミッションやそれを達成するための課題はなんでしょうか。
先ほども話したように「zeroboard」は単なる算定ツールとして提供するだけでなく、算定をあるべき論に落とし込んで、業務設計から環境データの管理体制、算定・開示のための組織制度の構成提案をすることがミッションだと思っています。例えると財務会計の世界に似ていて、今後は財務会計のような道筋を辿って算定や連携や開示のスキームが醸成されていくのではないかと僕は推測しています。事業活動の持続性の担保のためのコストと効果を定量的に測定する仕組みを環境会計と呼ぶのですが、今後「CO2排出量」こそが環境会計の中心的インデックスに位置づけられると考えています。
ただ一方で、財務会計と比較するとCO2排出量算定の詳細なスキームはまだ出来上がっていません。だからこそ、類似した「会計」構造として、既存の管理会計の知識や業務システムのあり方を理解していくということが自分における課題ですね。
– なるほど、環境会計ですか。野底さんから聞く説明や言葉は私にとって新しくて、聞きながら感動しています!野底さんが仕事をする上で大切にしているものはなんですか。
僕は常に好奇心を大事にしたいと思っています。じっくり考えるのではなく、感覚的にワクワクすることに進みたいタイプです。今の状況が最高にワクワクするので、新しく学ぶことも楽しいです。実は今年度から大学院にも入りました!
– え!この仕事しながら大学院に!?すごく忙しくないですか、、、汗
そうなんです、、実際忙しくて履修登録したものもキャンセルしてしまうこともありますが、社会人コースなので3年かけてゆっくり通います。横浜国立大学大学院の本藤祐樹研究室で環境情報学を研究しています。本藤教授が日本LCA(ライフサイクルアセスメント)※1学会長ということもあり、国際基準であるGHGプロトコル※2のベースとなっているLCAを学ぼうと思って入りました。
– 仕事のためにという側面が大きいのですね。
そうですね。情報学のスタンダードを身につけられるのもいいですし、自分にさらに専門性を持たせることで今後のキャリアに繋げていきたいという思いもあります。会社のみんなが応援してくれていることもやる気に繋がります!
▲環境関連以外にもデータモデリングも勉強中
環境会計の基盤を作りたい
– いつまでも学ぼうとする姿勢が素晴らしいですね!今後CSではどのようなチームを作っていきたいですか。
現状でもメンバー全員が、組織としての課題、お客様の課題、社会の課題を自分ごととして捉えられるチームです。そこに好奇心を持って臨める人やホスピタリティを持っている人、ロジカルシンキングができる方が集まってくれるといいなと思います。そして将来的に、このチームやこの会社を通して「自分が作ったものが社会で使われる」という夢を叶えたいと思っています。
– 「zeroboard」は、SaaSとはいえ専門性が高い上、脱炭素に関わるルールもこれから整備されていく業界なので、飛び込む勇気が出ないという方もいらっしゃるかもしれません。どんな経験をお持ちの方が向いているかなど、CS業務との親和性について教えてください。
プロジェクトマネージャ(PM)経験がある方は向いていると思います。その中でも抽象的な企画を最終的に形にするまで一連の経験がある方ならたくさん活かせることがあります。他にはコンサル経験者や事業会社の新規事業の立案、システムの導入支援、もちろんCS経験者の方ならすぐに馴染めると思います。
確かに僕たちは専門性が高いサービスを提供しています。もしご縁があれば、PM経験にプラスで【業務的知見】【環境的知見】【システム的知見】【会計的知見】のいずれかの知見がある方にジョインしていただけたら素晴らしく理想的なチームになると思います。それぞれのプロフェッショナルの視点から「zeroboard」の機能に落とし込む要件を検討をしたり、環境会計のベースが作れたらいいなと思っています。
みんなの知見を増やしていくために勉強会はこれからもやっていきますので、ぜひ一緒に学びながら頑張りましょう。とにかく大切なのは好奇心ですから!
– 好奇心があれば学びたい欲求も自然と生まれますよね。最後にゼロボードに興味をお持ちいただいた方へメッセージをお願いします。
はい、ゼロボードは飛び込むべき、飛び込む価値のある領域であるはずです。PM経験はあるのに、今在籍している会社は人数が多くて昇進が難しそう…など、もし燻っている状態だとしたら、ゼロボードにきた方がいい、僕からはそう言い切れます。チームみんなでお待ちしてます。
– 野底さん、ありがとうございました。これからもみんなで社会問題を語り合える会社でいましょう!
※1 LCA(ライフサイクルアセスメント)
商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至るまでの一連のライフサイクルにおける環境負荷を、定量的に算定するための手法
※2 GHGプロトコル
GHG(温室効果ガス)の排出量の算定と報告の国際基準
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