こんにちは。Nexadata取締役COOの飯塚晟仁です。
今日は、私が建設とITの交差点にいる理由と、積算プラットフォーム「SAKUJI」で目指していることをお話しします。
街づくり・建設業に関わりたいと思ったのは、震災がきっかけでした
私が小学生5年生の3月、東日本大震災が起きました。
一緒に暮らしていた祖母は福島の出身で、テレビに映る故郷を見ながら震えていました。
街が流され、当たり前の生活が一瞬で壊れていく。
その光景は、今も鮮明に覚えています。
東北で見た若い人たちの目が、今も原点にあります
落ち着いてから、東北を訪れました。
女川町で出会った若い人たちの目には、街を自分たちの手で立て直すという熱い思いが宿っていました。
一方で、帰還困難区域の近くを通ったとき、道の先をふさぐバリケードが各所に残っていました。
前を向く人たちの熱と、戻れない場所を示すバリケード。その両方が、今も記憶に鮮烈に残っています。
日本の街づくりに貢献したい。
その思いが芽生えたのは、このときです。
祖母が亡くなった今も、私は定期的に東北を訪れています。
建築史を学び、現場の矜持に触れました
関東の震災史を専門に学べる研究室を目指して、東京工業大学に進みました。
在学中は、文化財となる建築物の保全改修のプロジェクトにも関わりました。
そこで知ったのは、業界で働くみなさんのあり方は簡単には変わらないということです。
それは、仕事への矜持があるからこそだと理解しています。
同時に、若手が少ない現場を見るたびに、何かが変わらなければならない未来がそう遠くないことも実感しました。
壊したいのではなく、次の世代に残せる形にしたいのです
私は、建設業が大事にしてきたものを壊したいわけではありません。
むしろそれを尊重しながら、次の世代に残せる形にしていきたいと考えています。
建設の現場で働くみなさんこそが、その矜持を胸に働いていることを知っています。
だからこそ、ただの部外者が変えようとしても、人は動かないことも知っています。
変えられるのは、フラットで、かつ当事者である人間です
しがらみに縛られず、それでいて当事者として関われる立場に立ちたい。
そう考えて多くの建設業のお客様を持ちながらも極めてフラットに向き合えるリクルートに入社し、新規事業開発の部署に所属しました。
その後、代表の槍田と出会いました。
同じ思いで活動している仲間に出会えたことが、Nexadataに合流した理由です。
積算は、設計の判断と施工の現場をつなぐ仕事です
積算には、圧倒的な背景知識と泥臭い確認作業の両方が求められます。
図面を読み解く知識と、数量を一つずつ確かめる地道な作業がそろって、初めて正しい見積りができます。
私たちが目指すのは、ベテランの代替ではなく支援です
ベテランの仕事の本質は、長い経験から生まれる判断にあります。
私たちは、その人をAIで置き換えようとは考えていません。
変えたいのは、判断の手前にある地道な確認と、書類の作成です。
今必要なのは、AIと人の協働です
人の知見と判断を、AIが軽くする。
そうして生まれた余白で、ベテランの知と経験を次の世代へ引き継ぐ。
建設業が誇りと期待を持てる世界を、現場からの変革でつくる。
私はそのために、この会社にいます。
現場の知に敬意を払いながら、技術で応えたい方と、ぜひ一度お話ししたいです。
株式会社Nexadata
Nexadataは、建設DX事業とシステムインテグレーション(SI)事業の二つを並行して運営しています。 ①建設DX事業:積算プラットフォーム「SAKUJI」 積算とは、図面を読み解き、必要な材料と数量を一つずつ拾い出して工事の見積をつくる業務です。受注の入口にあたる重要な工程でありながら、図面の描き方は会社ごと・案件ごとに異なり、凡例が省略されていることも珍しくありません。結果として、数十年の経験を積んだ人にしか任せられない仕事になっています。 SAKUJIは、この拾い出しをAIが担い、専門オペレーターが精度を担保するプラットフォームです。ソフトウェアを渡して終わりにしないのは、建設の図面が例外の集合体であり、現時点の技術ではソフト単体で実務に耐える精度に届かないからです。AIが処理できる範囲を毎週広げながら、届かない部分は人が引き受ける。この構成を意図的に選んでいます。 主な提供先は、地方のゼネコン・サブコン、そして一人親方です。大手ではなくここから始めているのは、より切実に困っているからです。大手には内製の積算部門がありますが、地方の中小企業では、社長や職長が現場を終えた後の夜に見積をつくっている、という状況が普通に存在します。 ②SI事業:建設業・製造業を中心としたシステム開発とDX支援 もう一つの柱が、レガシー産業向けのシステム開発とDX支援です。この事業には二つの意味があります。一つは、外部資金の調達サイクルにプロダクトの意思決定を縛られないための収益基盤であること。もう一つは、実際の業務プロセスがどこで詰まっているのかを、顧客の内側から学べる場であることです。SAKUJIの仕様の多くは、この事業で見た現実から逆算されています。 二つの事業は分断していません。SI事業で得た知見はプロダクトに流れ、プロダクトで培った技術はSI事業のデリバリーを速くします。 積算は入口にすぎません。図面、原価、見積といった建設業の意思決定に必要なデータは、いまだに各社の紙とExcelの中に分散しています。私たちは積算を起点にそれらが集まる基盤をつくり、建設業のインフラになることを目指しています。