「槍田さんは、図面、読めるんですか」
建設会社の社長とお会いすると、よく問われる質問です。読めます。ただ、数えるのは苦手なので、そこはAIにやらせています。
半分は冗談で、半分は本当です。私はもともと建設の人間ではなく、ITの人間です。代表の槍田が、16歳でコードを書き始めてから建設業に辿り着くまでを書きます。
16歳:作れれば、仕事は来ると思っていました
高校に入った年、YouTubeの動画をきっかけに、HTML、CSS、JavaScript、Ruby on Railsを独学で始めました。母一人の家で育ち、自分の生活費は自分で稼ぐと決めていたからです。
クラウドワークスで50件以上断られ、最初に受注できたのは5万円のコーディング案件でした。売れたのは技術ではなく、安さです。
動くものと、使われるものは別だ。これが最初の壁でした。
コンサル:提案は届いても、現場には根付きませんでした
大学で計算機科学と機械学習を学び、卒業後は建設業や製造業のDXを支援するコンサルタントになりました。日本を代表する製造業で、AI活用の戦略づくりから海外拠点と連携した実装までを担いました。
それでも、根付かないのです。分析すべきデータがそもそも存在せず、DXの提案に行ったはずの案件が、データを整えるだけで終わったこともあります。
外から助言する人間は、現場の要求水準を自分の手で確かめられません。確かめられないものは、直せない。これが二つ目の壁でした。
だから、自分で現場に入りました
Nexadata創業後およそ1年間、週末は職人見習いとして電気工事の現場に入りました。最初の仕事は、運ぶことでした。
そこで知ったのが、図面と実物の乖離です。ケーブルが通らない、器具が多すぎる、図面の記号が現場の言葉と一致しない。この1年が、SAKUJIの設計思想になりました。
作った本人が、実装しています
SAKUJIの前身となったプロトタイプは、私が一人でゼロから作りました。いまはアーキテクチャと精度課題のオーナーはCTOで、私は要件定義と現場での検証、そして経営を握っています。
「作った本人がいる」ことの価値は、速度です。商談で積算担当の方に「ここが違う」と言われた要求を、翌週にプロダクトへ反映する判断ができます。技術的に何が可能かを、持ち帰って聞かなくても分かるからです。
16歳で分からなかった「作れるのに、頼まれない」の答えは、ここにありました。作れることと、相手の問題を解くことの距離を、自分の足で埋めることです。
11月から1月、一緒に解く人を探しています
11月から1月にかけて、SAKUJIを大手の積算センターが日常業務で使える水準まで成熟させます。動作の安定性と、精度の定義の見直し。作った本人だけでは解けない課題です。
私のモットーは仁義礼智信の五徳で、16歳の時に持っていたのは「智」だけでした。残りは、いまも建設業の方々から教わっている途中です。
図面を読める必要はありません。「動くものと使われるものは別だ」と、一度でも痛い目を見たことがある人なら、話が早いと思います。
全文はnoteに書きました。師匠の話や、中学3年で読んだ一冊の話はこちらにあります。
