- 【創業ストーリー】IT起業家から“大工起業家”へ――9回目の挑戦の原点
dofaインタビューぶりに久しぶりに語ります。
一戸健人です。株式会社一戸不動産を創業しました。
まず、正直に告白します。これまで8回のM&Aをやりました。聞こえはカッコいい。でも実のところ、その多くは「うまくいかなかったからのM&A」でした。事業が伸び切らない、プロダクトマーケットフィットに届かない、チームが疲弊する。だったら、次はちゃんと勝てる領域で、仕組みで勝ち切る。そう決めて、この創業に踏み切りました。
- なぜ“家づくり”なのか?──一戸が見つけた「日本の家の未来」
ITのスタートアップ畑から住宅へ。異業種転身には理由があります。僕は前の事業で、ハウスメーカーや施工管理職の人材紹介をやっていました。母集団形成、スカウト、歩留まり、面接設計、入社後オンボーディングまで、採用の現場を骨の髄までやった。その経験があるから、採用の競合優位は最初から作れる。良い人が早く集まる会社は、事業の勝ち筋が太い。ここは徹底的にやります。
その過程で、家づくり産業の「おかしい」をたくさん見ました。
- 見積がブラックボックスで、どこにいくらが載っているかが見えにくい
- 多重下請け構造で、肝心の大工の手間が最後に余りものになる
- 現場と設計と購買の情報が分断され、紙と口伝でロスが積み上がる
- 品質と納期とコストの三すくみが常態化し、誰も幸せにならない
- 若手が入っても、体系立てた育成とキャリア設計がない
- お客様体験がオフライン前提で、変更コストも意思決定も重い
- 超レッドオーシャン
ハウスメーカーなんか若手がやらない領域です。だからこそ勝てると確信しています。重い産業ほど、構造とテクノロジーと採用で非連続の差が生まれる。スタートアップのスピードで、重い産業を動かす。その役目を引き受けます。
ITから来た僕の目には、改善できる余白がありすぎました。だから「新しいスタイルのハウスメーカー」を作ります。キーワードは、価格の透明性、プロセスの標準化、データドリブン、そして人が主役。
- 人材こそ最大の資産。“技術職”の地位を再定義する採用戦略。若手大工が輝ける環境を。「大工=年収1000万円」を本気で実現する
いちばん大事にするのは大工です。僕は、大工は寿司職人のように圧倒的に価値のある職業になると本気で信じています。手の記憶、判断の速さ、美意識、誇り。それらが適切に評価される設計になっていないから、報酬も地位も上がらない。だから「大工=年収1000万円」をスローガンではなく仕組みで実現する。標準化と工程設計でムダを削り、段取りと段取り前の“前工程”を徹底して、ひとり当たりの付加価値を底上げする。未経験からプロになる2年の育成プログラム、国家資格の取得支援、道具一式の貸与、独立支援制度まで用意します。職人が主役の「ICHINOHEHOME」を、ここから作ります。
- 恩師の存在
もう一つ、大切な約束があります。起業初期、LITALICO創業者の佐藤さんからもらった助言を、僕は聞き流して失敗しました。痛い経験です。だから今回は、佐藤さんと一緒に、ゼロからつくり上げます。人に向き合い続ける会社の作法を学び、実装し、いつかLITALICOを超える会社に育てる。大それた目標に聞こえるかもしれない。でも、背伸びしないと届かない景色がある。
・創業初期の苦労と決意。「クオリティを落とさない」という信念
この8年、良くも悪くも失敗をたくさんしました。資金調達も、M&Aも、採用も、撤退も、やり切れなかった悔しさも、全部あります。だからこそ、この会社を起業家人生の集大成にします。世界に届く「Japanese Homes」を目指します。日本の家は本当に強い。耐震、断熱、仕上がりの精度。ここに価格の透明性と顧客体験と人材力を足せば、世界で勝てる。まずは注文住宅「ICHINOHEHOME」。アフターサービスまで全く新しいハウスメーカーを磨き、外へ持っていきます。
僕の武器は、失敗の数だけではありません。起業の現場で培った経営者ネットワークがあります。ものづくり、物流、金融、自治体、テック、クリエイティブ。異分野の仲間たちと組み、戸建て不動産に新しい風を入れる。社外の力を借りるのも、起業家の仕事です。
・最後まであきらめない
座右の銘は二つ。「最後まで諦めない」。迷っても、手を動かす。手を動かしながら、考え直す。やってみて、すぐ学ぶ。そうやって進めていきます。
ここから、一緒にやりたい人へ。
Purpose
社会課題を解決し、熱い日本を創る
Vision
日本の住まいを、世界の毎日へ
Mission
常識を超える
創業期の一戸不動産は、余白が多いです。だから、余白を面白がれる人と働きたい。意思決定は速い。失敗も速い。学んで前に進む。職人の地位と報酬を上げ、透明な価格で、お客様にちゃんと届く家をつくる。仕事として、人生として、この挑戦を楽しめる仲間を探しています。