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量子技術による「効率化」の先には「幸福化」がある。「好き」をエネルギーにして突きつめる。

2019年3月、京都大学大学院 理学研究科 化学専攻 を修了。京セラコミュニケーションシステム株式会社を経て、2023年3月にシグマアイに入社した室さん。これまでのキャリアとシグマアイへの入社理由、現在の担当プロジェクトについて語ってくれました。


室 和希(むろ・かずき)

シグマアイ:研究・開発担当

京都大学大学院で化学を専攻。京セラコミュニケーションシステムで、量子技術に携わった

ー大学院では、どのような研究を進めていたのでしょうか?

京都出身で、京都大学大学院 理学研究科 化学専攻 を修了しました。そもそも化学を選んだのは、実験が好きで目に見える物質を扱うからです。少しずつ仮説検証を繰り返して、真実にアプローチする。そのプロセスが自分の性に合っています。研究テーマは、固体NMR(核磁気共鳴:Nuclear Magnetic Resonance )です。いわばMRIの親戚のようなもので、人体ではなく様々な化学物質に対して強い磁場を当てることで、その組成を解析する研究を行っていました。

ー修士課程を終了して、どちらの会社に就職しましたか?

京セラコミュニケーションシステム株式会社です。大学時代に趣味でプログラミングを習得していて、そのスキルを活かせる道を選びました。そこで量子コンピューティングに出会いました。量子技術を活用して、京セラの工場の生産計画を最適化するシステムの開発検討を行いました。多品種少量生産を行っている工場で、どの原材料をどのラインにいつ投入するのか。人員をどのように配置して、どの完成物を優先的に作るのか。生産性を上げるためには、多くの要素を最適化する必要があります。計算が複雑で旧来のコンピュータでは難しいので、量子コンピュータを活用したシステムを開発するプロジェクトでした。そのときに大関さんと出会ったのが、シグマアイの入社のきっかけになりました。

個人の意志を応援してくれて、自由に働けるカルチャーに惹かれて、シグマアイに入社

ー転職を意識したのは、どのようなタイミングだったのでしょうか?

前職での量子コンピュータを活用したプロジェクトが縮小され、自動運転系の部署に異動になりました。1年ほど、地図データの作成や筐体の製作に携わったのですが、なかなかの体力仕事で。。。筐体のフレームを組み立てて、カメラを付けて、防水や防雪のためのガードで覆うような作業を、北海道の雪道で行ったこともありました。正直、あまり体力には自信がないので、この仕事を続けるのは難しいとは感じていたのです。そんなときに大関さんからシグマアイで技術者を募集しているのを聞いて、転職してみようと考えたのです。

ーシグマアイのどのような点に惹かれたのでしょうか?

量子コンピュータのスキルを高められることと、自由な働き方に惹かれましたね。入社前からシグマアイのメンバーとはお会いしていたのですが、フルリモート環境の中で、楽しみながら自分のやりたいことをやっているように感じました。個人の意志を応援するカルチャーが根付いているからこそ、そのような働き方ができる。面白い会社だと感じました。

技術を活用した「効率化」の先にある「幸福化」を、自分たちでまずは体現したい

ーそして、2023年3月にシグマアイにジョインしました。どのような業務を担当していますか?

社内のシステムやコミュニケーションツールに課題を感じたので、まずはその改善から着手しました。Slack botをつくってコミュニケーションをしやすくしたり、画像ファイル(領収書の写真)をGoogleドライブにスマートフォンから直接アップロードできるツールを開発したり、プロジェクト管理ツールとしてNotionを導入したり。また、会議の議事録作成用にChatGPTも導入して、少しカスタマイズも行いました。

ー確かに、室さんが入社して、一気にツール周りが整備された印象です。

シグマアイには、クリエイティビティに富んだメンバーが多いので、雑務や煩雑なコミュニケーションに忙殺されるのはもったいない。そう強く感じたことが動機になりました。世の中では「DX」という言葉がよく使われていますが、システム化による業務効率化だけでは「DX」とは言えません。いや、効率化はできるかもしれませんが、そこで働いている人たちの幸せまでには手が届かない。ChatGPTのようなAIの出す結果は過去の事例のつぎはぎでしかなく、上手に活用できたからと言って、何か新しい人間的なものが生まれるわけではありません。シグマアイはIT活用の先にある、より良い世界の実現を目指しています。業務の効率化を手掛けるにしても、ツールありきではなく、人ありきの効率化でなければならない。人を幸せにできるのは、ツールではない。技術でもない。人なんですよ。だから、まずは自分たちの会社で、その世界観を体現しようと考えたのです。面倒なことはシステムにやらせて、より人間的な活動時間を増やす。技術を活用した「効率化」の先にある「幸福化」を、自分たちでまずは体現したい。そのことに意味があると考えたのです。

画像を大量に処理するプログラムを、量子コンピュータの活用を視野に開発中

ーツールの整備以外には、どのような業務を進めていますか?

最近では企業との協業案件も増えてきました。あるソフトウェア企業に対して提案を行い、あるプロジェクトが立ち上がりました。ある条件に沿った領域分割のアルゴリズムを、量子コンピュータの活用を視野に入れながら開発中です。おそらく他社での事例はあまりなく、成功すれば画期的な事例になると思います。そのプロジェクトに加えて、既に動いていた地方のインフラ企業の大規模案件にジョインしました。

ー最後に、今後の展望について聞かせてください。

技術の力で、生活を豊かにしていきたいと思っています。シグマアイの名刺の裏には、「輝く未来を技術で切り拓く」と書かれていますが、まさにその世界観を実現したいですね。「技術」と「人」の間に入って、人を幸せにするのがシグマアイのミッションだと思っています。そのためには技術を深く知り、世の中への実装を様々な形で試み、その中で人との最適な接点を見出す必要がある。仮説を立てて実験し、その結果をもとに考察し次につなげる。大学時代・大学院時代の化学実験に近い活動なのですが、私はそれが好きです。シグマアイは、それぞれの「好き」を活かせる環境だからこそ、人に寄り添った価値を生み出せると信じています。

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