MODEは、AI-driven IoTソリューション「BizStack」を通じて、建設・製造・物流現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。シリコンバレー発のスタートアップである私たちは、日々新しい挑戦に満ちたフィールドで、次世代の社会を支える力になりたいと願っています。
今回は、デリバリーチームでソフトウェアエンジニアとしてMODEに入社した西村 康孝さんにインタビューを行いました。インタビュアーはプロダクトチームのエンジニア島川 悠太さん。テックに詳しいお二人に、MODEのエンジニアカルチャーやこれからの技術や課題について、対談していただきました。
デリバリーチームのソフトウェアエンジニアに聞く。現場に寄り添う仕事の魅力
島川: まずは自己紹介をお願いします。
西村: MODEでデリバリーチームのソフトウェアエンジニアをしています、西村康孝です。チーム内では「スクワッド」という小さなチームのテックリードを担当しています。
デリバリーチームの役割は「お客様に価値を届けること」です。標準の「BizStack」ではお客様個別の課題解決が難しい場合、BizStackをカスタマイズして、お客様の具体的な課題やニーズに応える仕組みを作り上げています。具体的には、個別のダッシュボード設計やセンサーのサポート、データ設計などを手掛けています。
なので、プロダクトチームよりもっとお客様に近いところを担当し、お客様の悩みにダイレクトに答えていく形かなと思ってます。
島川: ありがとうございます。デリバリーチームの特徴を一言で表すと?
西村: お客様に最も近い立場で、課題解決に直接貢献できるチームです。標準的なプロダクトに加え、カスタマイズや現場対応を通じて「本当に使える」ソリューションを提供する。それがデリバリーチームの強みですね。
島川: ちなみに、プロジェクトはどのように進めていますか?
西村: 流れとしては、まずソリューションアーキテクトが作成した提案書や作業合意書(SoW/ Statement of Work)を確認します。その後、要件定義をさらに掘り下げ、設計から実装、そして納品までを行います。
開発は、バックエンドからフロントエンドまで、大小様々な規模に対応しています。バックエンドを作る場合もありますし、必要であればセンサー向けのドライバー開発なども手掛けています。いわゆる「フルスタック」で取り組むイメージですね。
例えば、Reactを使ったUI開発からバックエンドのデータ処理、さらにセンサーの組み込み開発、プロジェクト管理やパートナー管理まで幅広く対応します。一つのプロジェクトで多くの技術スキルを使うことが求められます。
島川: プロジェクト管理はどうしていますか?CPM(カスタマープロジェクトマネージャー)との違いも気になります。
西村: CPMはお客様と直接やり取りをしてプロジェクトサポートを行うっていうイメージが強いです。主にお客様との調整やスケジュール管理を担当します。
一方、エンジニア側は実際の開発作業を計画・実行し、技術的なマネジメントを行います。お客様の要件整理や課題解決のための具体的な提案もエンジニアが担う場合があります。
必要であればオンボーディング支援も行います。例えば、エンティティの設定やダッシュボードのカスタマイズといった作業ですね。お客様がBizStackを実際に活用できる状態を作るのも私たちの重要な仕事です。
リアルタイム位置情報システムの開発で感じたMODEのプロダクト開発哲学
島川: ありがとうございます。これまでの業務の中で、印象深いプロジェクトはありますか?
西村: 私の場合、これはもう一択しかないですね。RTLS(Real Time Location System / リアルタイム位置情報システム)が最もエキサイティングでした。
もともとMODEで提供していた「モビリティクラウド」という、自動車などの移動体(モビリティ)からのデータ収集に特化したサービスがあり、そこで位置情報管理はしていました。
2022年にIoTプラットフォームをBizStackに統合したとき、モビリティクラウドで培った技術をベースに、BizStackに適応させる必要が出てきました。あるお客様からの要望で、リアルタイム位置情報の管理が必要となり、BizStackに完全には実装されていなかった仕組みを構築することになりました。
プラットフォームに足りない部分から、お客様固有で必要なものまで幅広く設計して作り上げたという大きなプロジェクトでした。プロジェクトには4〜5人のエンジニアが関わり、約8ヶ月かけて開発しました。MODEとしても規模の大きな挑戦でした。
島川: プロジェクト進行時のプロダクトチームとの連携はどうですか?
西村: 個人的には、お客様固有の要望に対する開発とプロダクト開発の境界について、そこまで意識しないようにしています。基本的にはプロダクトファーストで、プロダクトで実装することを最初に考えて、それでもこぼれてしまうものはカスタム開発するイメージですね。お客様のプロジェクトを率いながら、ジェネリックなプロダクトを開発することを同時並行で考えていくのは、結構難しいんですよね。
そのプロジェクトでも、バックエンドの仕組みは全て汎用的に設計しました。一方、当時はUIの機能が足りず、フロントエンド部分はカスタマイズが必要でした。
ただ、最近では機能エンハンスをどんどんしていて、そのおかげで、汎用性のあるRTLSを作ることができたという側面もあります。
島川: バックエンドは共通的に作るし、フロントエンドも進化してやりやすくなったと思います。ただ、特定の顧客向けに作ると、要求が明確になる部分がありますよね。その一方で、汎用的に作っているつもりでも、顧客固有の要件が入り込むことがあると思うんです。そういったバランスってどう取っているんですか?
西村: CTOの判断力は本当に凄いですね。お客様の要件を元に設計を進めたとき、お客様の納期に合わせた設計を提案したところ、CTOから「Think bigger!」つまり「もっと大きく考えよう!」と言われ、設計を全面的に見直したことがあります。
その結果、データルーティング機能という、MODE全体の課題を解決する仕組みを作ることに。印象的だったのは、細かい仕様ではなく「大きな流れをしっかり考える」という姿勢です。お客様の要望に対し、継ぎ接ぎのように対応するのではなく、汎用的で幅広く使えるものを設計する。それがまさにMODEらしいアプローチで、技術的にも大きな挑戦だと感じました。
データルーティング機能は、ゲートウェイの大きな課題を解決した重要な仕組みです。納期が大事な中で汎用性を優先した決断は、MODEらしい判断だと思います。
島川: 進行中の別プロジェクトでは、お客様の要件や機能の優先順位を決めるのに時間がかかっていますよね。だから、汎用性を考えるのは本当に難しい。
西村: だからこそRTLSは本当に印象に残っているプロジェクトだと思います。複数のプロジェクトに使える汎用性を意識し、どうしても対応が必要な部分だけカスタムにしました。全員が「プラットフォームファースト」を意識するべきだと感じています。
島川: その意識を持てるといいですよね。ただ、それが難しい場面では、プロダクトチームに人がアサインされず、ワークアラウンドで対応することも多いですよね。
西村: 確かに。でもデリバリーチームのエンジニアがプラットフォーム開発をしても、誰も文句を言わない環境はMODEの強みだと思います。私も「プラットフォームを作れるから」と思ってMODEに入りましたし、そこができないと辛いですね。
とはいえ、いろんなタイプのエンジニアがいて良いと思います。お客様とのコミュニケーションを楽しめるエンジニアも歓迎ですね。
島川: それが西村さんのプロジェクト成功の理由でもありますよね。お客様の声を直接聞いて、それを「ジャストライト」な形でプロダクトに落とし込む。妥協点や汎用性の境界を見極める力と、お客様の期待値をコントロールする力。その両方がある人には、デリバリーチームはすごく向いていると思います。
MODEでの成長と技術的なやりがい
島川: カスタム開発と汎用性のバランスを取る際に、優先しているポイントはありますか?
西村: MODEでの課題は、いかにスケーラブルなプロダクトを作り上げるかだと思います。技術面だけでなく、組織や外部パートナーとの協力も含まれます。
スケーラビリティはプラットフォームの性能や開発スピードにも関わる重要なテーマです。個別対応のカスタム開発ではスケーラビリティを損ないがちですが、プロダクトとして汎用性を持たせることで、より多くの顧客に対応できるようになります。これがMODEが目指すべき成長の方向性であり、大きなやりがいでもあります。
島川: 確かに、これまでのMODEって、スケーラブルではない部分で何とかやってきた感じはありますよね。この領域ではワンフィットオールな解決策が見つからず、試行錯誤してきた結果、今度はどうスケールさせるかを考える段階に来ていると思います。行ったり来たりのようで、実はスパイラルでレベルアップしている感じですよね。
西村: そうですね、そのスパイラルの中で徐々にプロダクトを改善していくイメージです。ただ、一方向に偏りすぎるのは危険です。顧客対応に振り切って戻れなくなるのも、プロダクト優先で顧客を無視するのも良くない。今はそのバランスが徐々に良い方向に向かっていると感じますし、そう信じたいです。
島川: 今後やりたいプロジェクトや、新たに学びたい技術はありますか?
西村: 最近お客様から「画像認識技術を使いたい」というご要望をよく聞きます。たとえば、LLMに画像データを取り込んで洞察を得る仕組みなどです。
それからAIエージェントのような技術も気になりますね。目的に向けて自動的に計画を立て、進めていく仕組みは、将来的に活用の幅が広がると思います。
入社を考えている方へのメッセージ
島川: 最後に、仲間となるエンジニアに向けてメッセージをお願いします。
西村: MODEにはやるべきことがたくさんあります。なので、仕事が足りなくなる心配はありません(笑)。個人的には、ポジティブな方と一緒に働けると嬉しいです。自分も含めて、エンジニアはどうしてもネガティブになりがちな部分があるので、明るく前向きな方がいるとバランスが取れますね。
それに、いろんなタイプの方がいると良いです。お客様と話すのが好きな方、プロダクト開発に没頭したい方、プリセールスまたはポストセールスをやりたい方など、それぞれが得意な領域で活躍できるのが理想です。
デリバリーチームの特徴は、幅広い業務に関われる点です。お客様対応から技術設計まで、多岐にわたる経験を積むことができます。
専門的なスキルを深めつつ、さまざまな領域に挑戦できる環境が整っているので、幅広い業務に興味がある方には最適です。新しいことに挑戦しながら、一緒に成長していきましょう!
島川: ありがとうございます!