ON BOARDが手がけるプロジェクトの多くは、最先端の研究や技術を、専門知識のない人にも分かりやすく届けることを目的としています。その発信を映像という形で支えているのがON BOARDの動画撮影チームです。
動画撮影チームは、撮影と編集を担う佐藤大地さん、編集を担う芦田大輔さんを含めた4人体制で、研究機関や企業の技術を映像化しています。今回は、ON BOARDならではの働き方と、技術を分かりやすく伝えるための独自の工夫について、お二人に詳しくお話を伺いました。
撮影、編集、配信まで。4人でつくるON BOARDの映像制作の現場
▲佐藤大地さん
── まずはONBOARDの動画撮影チームが、どのような映像を手がけているのか聞かせてください。
佐藤:研究者の方々にインタビューして、その研究内容を分かりやすく伝える映像が中心です。展示会で映し出すための映像や、CGやアニメーションを使って技術を視覚的に説明するもの、イベントのライブ配信など、案件によって形式は様々です。
──お二人はどのような役割を担っているのでしょうか。
佐藤:私はフリーのビデオグラファーとして、撮影と編集の両方を手がけています。ON BOARDでは主に撮影を担当することが多いですが、撮影した素材を持ち帰り、自分で編集まで仕上げることもあります。芦田くんも同様に撮影と編集の両方ができるので、案件によって私が担当することもあれば、彼が担当することもあり、二人で協力しながら進めています。
芦田:私はもともとYouTuberとして活動しており、それを辞めたあとに佐藤さんのもとで一緒に働かせてもらうようになりました。主に編集を担当していて、撮影や配信の準備についても、必要なときには手伝いに入っています。方向性を決めるのは別のメンバーで、私や佐藤さんはそこに装飾や編集を加えて一本の動画に仕上げていく、という役割分担で動いています。
佐藤:メンバーは私たちを含めて全部で4名です。総合的なプロデューサーとしてチームの代表がおり、ライブ配信があるときには、もう一人のメンバーが機材周りを組んでくれます。
── ON BOARDに関わるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
佐藤:もともと大学時代の親友がON BOARDで働いており、「動画制作を担当できる人を探している」という話をもらったのがきっかけです。信頼している友人からの紹介だったので興味を持ちましたし、規模感のある仕事をしているな、という印象を持ちました。まずは自分にできることを手伝おうという気持ちで、参画を決めました。
芦田:私の場合は、姉がON BOARDのチームとつながりがあったことがきっかけです。YouTuberを辞めて編集を仕事にしたいと考えていたタイミングだったので、そこからお話を伺い、今の仕事につながりました。
── お二人とも、それぞれどのくらいの期間チームに関わっているのでしょうか。
佐藤:私のほうが少し早く、4〜5年ほど携わっています。
芦田:私は3年ほどです。撮影や編集を一人で完結させる働き方が多いなかで、役割の異なるメンバーが一つのチームとして動くこの体制は、自分が経験してきた中でも珍しい働き方だと感じています。
知識ゼロから挑んだCG制作。「分からない」を乗り越える、ON BOARD撮影チームの突破力
▲芦田大輔さん
── メンバーから依頼が来るときは、どれくらいの粒度の依頼がされるのでしょうか。
佐藤:基本的には、ある程度「こういう風に撮りたい」というイメージが固まった状態で依頼が来ることが多いですね。そこから、それをどうやって実現できるかを私たちの方で考え、話し合いながら形にしていきます。また、コンセプトやざっくりとした方向性だけをもらい、まず一度作ってみて、それを見せながらすり合わせていくという進め方も少なくありません。
芦田:方向性がまだ固まっていない段階では、最初からきっちり決め込むのではなく、一度形にしてイメージを共有し、そこから改善を重ねていくことが多いです。プロジェクトサイドのメンバーの皆さんからも具体的なイメージを提示していただけるので、それに対して「このソフトを使えばできます」といった技術的な提案をしています。
── これまでで特に印象に残っている、難しい依頼はありましたか。
佐藤:ある展示会で、3つの異なる映像を同時に流すという企画がありました。横向きの映像が1つと、縦向きの映像が2つあり、それぞれの画面に映る人物同士が会話しているように見せる演出内容です。実際にはリアルタイムの会話ではなく、1本の映像を編集で分割して、自然な掛け合いに見えるよう調整するというものでした。前例のない試みだったので、最初に聞いたときはどう実現すればいいのか頭を悩ませましたね。
── そうした難しい依頼に、どのように対応していったのでしょうか。
佐藤:分割した映像を複数の画面で同時に再生する必要があったので、構造そのものがよく分からない状態からのスタートでした。私たちが作るのは映像ですが、実際に再生する環境は別だったため、どうすれば同時再生が成立するのかを専門家に相談しながら進めました。やったことのない表現だったからこそ、試行錯誤を重ねる必要があったと思います。
── CG制作のような、新しい技術の活用についても聞かせてください。
芦田:私はもともとエンタメ系の動画配信が中心で、装飾や字幕をつけて配信する仕事を手がけていました。そのため、アニメーションやCG制作はすべて初めての経験でした。この制作を通じて、自分でもこんなことができるんだという発見があり、そこから技術を突き詰めていく面白さも感じられるようになりました。
佐藤:CGで研究内容を説明してほしいという依頼を受けたときは、私自身も経験がなかったので、知っているソフトを駆使して、二人で勉強しながら形にしていきました。良い映像を作るために必要なソフトウェアを会社として導入してもらえる環境があることも、こうした挑戦を後押ししてくれていると感じます。
0から1を生み出すのが苦手でも、ここでは活躍できる。互いの強みを補い合う、チームならではの面白さ
── チームで動くからこそ感じる面白さは何でしょうか。
佐藤:私たちのチームは、それぞれのできることが微妙に違っていて、でもある程度はみんな対応できるという特徴があります。だからこそ、自分の役割にプラスして意見を言い合える関係性があるんです。例えば、ライブ配信を担当しているメンバーは機材に詳しいので、「これを組み合わせたらもっと綺麗に撮れるんじゃないか」といった提案をくれることがよくあります。こうした意見を言い合えるのも、根本的にチームの仲が良いからだと思います。
芦田:一人で活動していると、どうしても行き詰まったり、アイデアが尽きてしまうことがあるのですが、チームで動いていると常にヒントをもらえるので、色んな方向からアイデアが出てきて、自分の発想自体も広がっていきます。私自身、正直なところゼロから何かを生み出すことは得意ではないのですが、佐藤さんたちが技術的な面でもアイデアの面でも支えてくれるので、自分の強みである装飾や編集の部分に集中できています。
── チームのサポートがあったことで、挑戦できたと感じる現場はありましたか。
佐藤:ドローンの打ち上げを撮影するプロジェクトは、印象に残っていますね。大きなドローンを打ち上げる様子を撮影するという依頼で、寒い屋外での長時間の撮影になり、編集の日程もかなりタイトで大変でした。
芦田:私もその案件が一番印象に残っています。プロモーション映像のような形式を作った経験がなかったので、どんな素材を集め、どんな構成にすればいいのか、かなり悩みました。一人だったら行き詰まっていたかもしれません。チームで相談しながら進めたことで形にでき、その経験が次の案件にも活きています。
── 「分かりやすく伝える」ことについては、どのような工夫をされているのでしょうか。
芦田:誰が見る動画なのかを意識することを大切にしています。年齢層が上の方が見るのか、学生が見るのかによって、構成や編集の仕方も変わってくるので、それを踏まえた上で分かりやすさを組み立てるようにしています。
佐藤:私たちも、研究者の方々が話している内容を、最初から完全に理解できるわけではありません。専門的な用語が出てきたときは、周囲で話し合いながら聞き直したり、字幕をつける際に調べ直したりすることもあります。完全に理解できていない部分があっても、分かりやすく見せるための解説を加えるなど、後から調整できる部分も多いです。
スキルより大事にしているもの。ON BOARDが本当に求めているのは「好奇心」
── 今後、挑戦してみたいことはありますか。
佐藤:研究内容を2〜3分程度にまとめた、分かりやすい映像を量産していきたいと考えています。今はインタビュー中心の長めの映像を作ることが多いのですが、CGを交えながら、専門知識のない人が見ても「こんな研究があるんだ」と興味を持てるような映像を、もっと作れるようになりたいです。
芦田:私も近い方向性を考えています。面白い研究を噛み砕いて伝えることで、研究者だけでなく若く専門知識のない世代にも興味を持ってもらえるような発信をしていきたいです。ショート動画のような形式も含めて、まだ埋もれている研究を分かりやすく見せる映像を作ってみたいと思っています。
── どのような人がこの仕事に向いていると感じますか。
佐藤:決まったものをきっちり作ることよりも、毎回ジャンルや進め方が変わる中で、その都度対応していく面白さを楽しめる人がいいですね。そういう意味では、ある程度の心の余裕を持って、柔軟に動ける人が向いていると思います。
また、好奇心があって、コミュニケーションがきちっと取れる人であることも大切だと思います。編集という作業は一人で没頭しやすい仕事でもありますが、私たちのチームでは、お互いに意見を出し合いながら進める場面が多いので、そうした姿勢が自然と求められます。
芦田:色々なことに取り組むのが苦にならない人だと思います。「自分はこれしかやりたくない」というよりも、「こんなこともできるんだ」と捉えられる人が合っていると感じます。
── 今後、どのような人に加わってほしいと考えていますか。
佐藤:CGについて相談できる人がいてくれたら心強いです。本格的な専門知識を持つ人と一緒に動けると、表現の幅がさらに広がると思います。ただ、専門性の高さよりも、基本的な動作制作におけるやり方に抵抗がなく、分からないことも自分で調べながら対応できる姿勢が大事だと感じています。
芦田:本当に、最初は誰でも初めて触るような技術ばかりです。少しずつ慣れていけば対応できることが多いので、まずは興味を持って取り組めるかどうかが重要だと思います。
── 最後に、これからON BOARDに興味を持つ方へメッセージをお願いします。
佐藤:研究のような専門的な内容を、分かりやすい映像として届けるという仕事に関われる環境は、なかなかないと思います。決まった種類の撮影だけでなく、幅広い表現に挑戦できる場所でもあるので、好奇心のある方にぜひ来てほしいです。
芦田:色々なことに挑戦できる環境ですし、良いと思ったことがきちんと評価される場所だとも感じています。新しいことに取り組みたい方には、やりやすい環境だと思います。