「高専卒は優秀だが給料は大卒より低い」 「どれだけ現場で成果を出しても出世コースは大卒が占めている」
高専生や高専OB・OGの皆さんとお話ししていると、こうした「学歴と年収の壁」に対する諦めにも似た声を耳にすることがあります。5年間(専攻科を含めれば7年間)、青春のすべてを技術習得に捧げてきたにもかかわらず、社会に出た瞬間に「学位」という物差しだけで判断されてしまう悔しさは計り知れないものがあるでしょう。
しかし、高専卒が「稼げない」というのはひと昔前の常識、あるいは「会社選びのミスマッチ」に過ぎません。
現代の産業界、特に変化の激しいエンジニアリングの世界において、高専卒が持つ「実装力」と「課題解決力」は、本来であれば大卒以上の価値を持つプラチナチケットです。
本記事では、高専卒の年収事情における「統計の嘘」と「現実」を紐解きながら、技術者がその実力に見合った「高い評価と報酬」を勝ち取るためのキャリア戦略を徹底解説します。そして、私たちがなぜ今高専卒の採用に全力を注いでいるのか、その理由もお伝えします。
目次
第1章:データで見る「高専卒の年収」の真実と誤解
1-1. 初任給の「額面」と「実質」の差
1-2. 生涯年収を左右する「40代の壁」
第2章:なぜ今、高専卒が「最強のエンジニア」になれるのか
2-1. 理論と実践を繋ぐ「ブリッジ人材」
2-2. 2年早い社会経験による「圧倒的リード」
2-3. 「変化への耐性」と「自走力」
第3章:高専卒が年収を確実にアップさせるための「キャリア戦略」
戦略①:社内の「代替不可能な領域」を確立する
戦略②:資格を「実力の証明書」として活用する
戦略③:「技術」×「マネジメント」の二刀流
<私たちの視点:マネジメントに行かなくても給与は上がる>
第4章:環境選びがすべて。「評価されない場所」で努力してはいけない
どのような企業を選ぶべきか?
第5章:私たちが「高専卒」の皆さんと一緒に働きたい理由
第1章:データで見る「高専卒の年収」の真実と誤解
データで見る「高専卒の年収」の真実と誤解|脱・学歴格差。高専卒エンジニアが「現場最強」から「市場最強」へ
まずは、世間で言われている「高専卒の年収は大卒より低い」という説について、客観的なデータと現場の実感を交えて検証します。
1-1. 初任給の「額面」と「実質」の差
厚生労働省などの統計を見ると、確かに「大卒(修士・学部)」と「高専・短大卒」の初任給には、月額で数万円の差が設定されていることが一般的です。この数字だけを見て「やっぱり高専卒は損だ」と感じるかもしれません。
しかし、ここには重要な視点が抜けています。それは「スタート地点の違い」です。 高専本科卒は20歳で社会に出ます。大卒が22歳で入社してくる頃には、高専卒はすでに社会人3年目。多くの企業では毎年の昇給があるため、22歳時点での給与明細を比較すれば、高専卒が大卒の初任給と同等、あるいはそれを上回っているケースは決して珍しくありません。
1-2. 生涯年収を左右する「40代の壁」
問題は20代の頃ではなく、40代以降にあります。一般的な統計データにおいて、高専卒の生涯年収が大卒を下回る要因は40代以降の昇進スピードの鈍化にあります。
伝統的な日本企業の中には、いまだに以下のような古い人事制度を残しているところがあります。
- 大卒以上: 幹部候補(総合職)として部長・役員への道が開かれている
- 高専・高卒: 現場のスペシャリスト(技能職)として課長・係長クラスが上限
どれだけ技術力が高くても、会社の仕組みとして「学歴による天井」が設定されている場合、個人の努力で年収を逆転させることは困難です。これが「高専卒は給料が上がらない」と言われる最大の原因です。
<私たちの視点:学歴による天井は「損失」でしかない>
当社は、この古い慣習を否定します。技術の現場において「どの大学を出たか」よりも「今何を作れるか」「どう問題を解決できるか」の方がはるかに重要と考えているからです。 実際に当社では、高専卒のエンジニアが30代で大規模プロジェクトの責任者を務めたり、技術部門のトップとして経営に関わったりすることは日常茶飯事です。給与テーブルにあるのは「役割(ロール)と成果」だけです。
第2章:なぜ今、高専卒が「最強のエンジニア」になれるのか
年収の話をする上で欠かせないのが「市場価値」です。今、多くの先進企業が高専卒を喉から手が出るほど欲しがっている理由、つまり皆さんの「武器」について再確認しましょう。
2-1. 理論と実践を繋ぐ「ブリッジ人材」
高専卒は実験・実習(Practice)から入ります。 「計算上は正しいはずだが動かない」というトラブルが起きたとき、一般的なエンジニアが計算式を見直す一方で、高専卒は「配線の取り回しが怪しい」「熱の影響ではないか」と、物理的な現象から原因を特定する直感を持っています。
システム開発やモノづくりの現場では理論と現実のズレを埋める力こそが重要であり、この能力を持つ人材は極めて希少です。
2-2. 2年早い社会経験による「圧倒的リード」
エンジニアとしての成長曲線は、20代の過ごし方で決まります。脳が柔軟で吸収力の高い20歳〜22歳の時期に、実際のビジネス現場で「プロのコード」や「本物の設計図」に触れていることは大きなアドバンテージになります。
2-3. 「変化への耐性」と「自走力」
高専生活は過酷です。膨大なレポート、答えのない実験、容赦のない赤点制度。これらを乗り越えてきた高専卒は社会に出ても「答えのない課題」に対して心が折れません。「教えてもらっていないので分かりません」と言わず「まず自分で調べてやってみる」という姿勢。この自走力(オーナーシップ)こそが、高い年収を得るエンジニアに共通する資質です。
第3章:高専卒が年収を確実にアップさせるための「キャリア戦略」
では、実際に高専卒が大卒の年収を追い抜き、トップレベルの待遇を得るためにはどうすればよいのでしょうか。本業の価値を高める正攻法の戦略を解説します。
戦略①:社内の「代替不可能な領域」を確立する
社内で「この技術に関してはあの人に聞かないと進まない」という領域を持つことが重要です。
- 特定のレガシーシステムのリプレイス経験
- 最新のクラウドインフラの構築スキル
- 現場の技術者と設計者の間を取り持つ翻訳能力
高専卒特有の「広くて深い」知識を活かし、特定の技術ドメインで社内No.1を目指してください。希少性はそのまま報酬に直結します。
戦略②:資格を「実力の証明書」として活用する
「高専卒は実力がある」というのは事実ですが、初対面の相手や人事評価者には伝わりにくい場合があります。そこで有効なのが難関資格の取得です。
- 応用情報技術者試験
- 高度情報処理技術者試験(データベース、ネットワーク、情報処理安全確保支援士など)
- AWS認定資格などのクラウド関連資格
これらは知識の豊富さを客観的に証明する最強のパスポートになります。資格手当がつくだけでなく、昇進・昇格の要件をクリアするための強力な武器となります。
戦略③:「技術」×「マネジメント」の二刀流
ここが最大のポイントです。多くの高専卒エンジニアは「技術は好きだが人の管理は苦手」と考え、マネジメント職を避ける傾向にあります。 しかし、年収を大きく上げるには自分一人で出せる成果(1馬力)ではなく、チームを動かして出す成果(10馬力、100馬力)が求められます。
ここで言うマネジメントとは、単なる勤怠管理や事務処理ではありません。「技術的な判断を行いチームの方向性を示す(テックリード)」という役割です。技術がわかるリーダーを現場は求めています。
<私たちの視点:マネジメントに行かなくても給与は上がる>
とはいえ「どうしてもコードを書き続けたい」「設計図と向き合っていたい」という職人気質の方もいるでしょう。 多くの企業では「管理職にならなければ給与が上がらない」のが現実ですが、当社では「スペシャリスト職」というキャリアパスを用意しています。部下を持たずとも、技術的な難易度の高い課題を解決することで部長クラス同等の報酬を得ることが可能です。 高専卒の皆さんが持つ「突き詰める才能」を、無理やり管理業務で潰すようなことはしたくないと考えています。
第4章:環境選びがすべて。「評価されない場所」で努力してはいけない
どれだけあなたが優秀でも、会社の人事制度が「高専卒=中級職まで」と決まっていたら年収アップは望めません。もし今の職場で以下のような状況にあるなら、それはあなたの能力不足ではなく環境の不一致です。
- 同年代の大卒社員より成果を出しているのに昇格が遅い
- 「高専卒だから現場担当ね」と上流工程を任せてもらえない
- 技術的な提案をしても「前例がない」と却下される
このような場合、最も確実な年収アップの方法は「技術を正当に評価する会社」へ転職することです。
どのような企業を選ぶべきか?
高専卒が輝ける企業にはいくつかの共通点があります。
- 年功序列や学歴給ではなく、アウトプットの質と量で評価が決まる企業
- エンジニアの裁量が大きく「仕様書通りに作るだけ」ではなく、設計段階から意見を求められる企業
- 書籍購入、セミナー参加、資格取得支援などの学習支援が手厚く、社員のスキルアップに投資を惜しまない企業
そして何より「経営層が技術の重要性を理解していること」が不可欠です。
第5章:私たちが「高専卒」の皆さんと一緒に働きたい理由
私たちが「高専卒」の皆さんと一緒に働きたい理由|脱・学歴格差。高専卒エンジニアが「現場最強」から「市場最強」へ
ここまで、高専卒の年収事情とキャリア論についてお話ししてきました。最後に、少しだけ私たちの話をさせてください。
当社は学歴や経歴に関係なく、純粋に「技術への情熱」と「顧客への貢献」を評価軸の中心に置いています。そのため社内には多くの高専出身者が在籍しており、新卒・中途を問わずコアメンバーとして活躍しています。
私たちが約束できること
1. フェアな評価制度
入社時の学歴で生涯のレールが決まるようなことは一切ありません。半期ごとの目標達成度とプロセス評価により、スピーディーな昇給・昇格を実現しています。
2. 技術を楽しみ、成長できる環境
当社には高専時代の実験室のように新しい技術に触れ、試行錯誤することを推奨する文化があります。失敗を恐れずにチャレンジした経験は、成功と同じくらい価値があると私たちは考えています。
3. 多様なキャリアパス
「プロジェクトマネージャーとして組織を率いる道」「スペシャリストとして技術を極める道」「新規事業を立ち上げる道」といったように、あなたの適性と希望に合わせてキャリアを柔軟に選択・変更できます。
こんな方を待っています
- 「高専卒だから」という理由で、不本意な評価に甘んじている方
- 自分の技術がもっと大きな舞台で通用すると信じている方
- 上流から下流までモノづくり(システムづくり)の全工程に関わりたい方
- 技術の話で盛り上がれる仲間と熱気のある仕事をしたい方
今の年収や待遇にモヤモヤしているなら、それはあなたが「もっと高く飛べる翼」を持っている証拠です。
未来の選択肢は、ここにある
「自分の価値を正当に評価してくれる場所で、思い切り勝負してみたい」
もし少しでもそう感じたなら、ぜひ一度、私たちと話をしてみませんか? 面接という堅苦しい形ではなく、まずはカジュアルな面談であなたのキャリアの悩みや技術への想いを聞かせてください。
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