第1章:選手になれず、現場に立った日
◆ 競艇を夢見た少年時代
子どもの頃から「若くして稼ぎたい」という気持ちが強かった僕にとって、競艇選手という職業はとても魅力的でした。
身長が低い方が有利だと聞き、これは自分に向いてるかもしれないと、本気で目指すことにしました。
試験も受けて、将来を描いていました。でも、結果は不合格。
夢が叶わなかった瞬間は正直きつかったです。
でもその時、「じゃあ次はどうするか?」と考えられたのは、たこ一でバイトをしていた経験があったからです。
夢が閉ざされた瞬間に、新たな道が自然と浮かび上がってきたんです。
◆ 正社員になったきっかけ
たこ一でのアルバイトは1年半ほどやっていました。
バイト中も常務から声をかけてもらっていて、「競艇の試験に落ちたらうちにおいで」と言ってもらってたんです。
だから、結果が出たときにすぐ次のステップとしてたこ一への入社を考えることができました。選手にはなれなかったけど、挑戦していたからこそ次の道に迷わず進めたと思います。
実際に正社員として入ってみると、バイトとはまったく違う責任感と仕事量に驚かされました。
ここから、自分の“社会人”としての人生が始まりました。
◆ 最初の現場と衝撃の初日
初めて配属されたのは淡路店。驚いたのは社会人の勤務時間でした。
朝から夕方までぶっ通しで働いて、しかも、電車通勤で5時半に起きていたので、「これはとんでもない世界に入ってしまったな」と思ったのを覚えています。
最初は何もできなくて、怒られてばかり。でも、誰かに頼られることが嬉しくて、なんとか食らいついていきました。
「できるようになりたい」という気持ちが自然と芽生え、次第に仕事への姿勢が変わっていきました。
第2章:寿司で開けた道と転機
◆ 鮮魚でつまずいた過去
淡路店の次は茨木店。ここで鮮魚部門の社員として働くことになりました。
でも、冬場の冷たい水で手にしもやけができて、ひどいときは手が開かなくなることも。
お医者さんに「この仕事は体に向いてない」と言われ、会社に辞意を伝える決意をしました。
悔しさと無力感を抱えながら、「別の形でたこ一に関われないか」と思っていたとき、役員の方からの一言が転機になりました。
「じゃあ寿司、やってみるか?」その言葉が救いになりました。
◆ 寿司部門で再起
門真店で寿司部門を任されたとき、正直あまり自信はありませんでした。
でも、やってみると手にしもやけは出ず、作業にも徐々に慣れていきました。
そして5か月後には主任に昇格。評価してもらえたことが自信になり、もっと成長したいと思えるようになりました。
ただ、寿司は仕入れがなく、現場の変化が少ないのがもどかしかった。
魚の仕入れにも携わりたいという思いが次第に強くなっていき、仕事への関わり方を自分から提案するようになっていきました。
第3章:六甲道店から“会社の顔”へ
◆ モデル店の責任
今、六甲道店の店長として働いています。しかも塩干部主任・日配部長との兼任です。
六甲道店は設備が整っていて、各部門に自動包装機があるなど、働きやすい環境が整っています。
その分、求められるレベルも高い。
「六甲道を見ればたこ一がわかる」と言われる店舗として、会社のモデルにならないといけない期待に、日々プレッシャーを感じながらもやりがいを持って取り組んでいます。
現場での判断力やリーダーシップを、日々鍛えられている場所です。
◆ 売り場づくりのこだわり
六甲道では売り場づくりにも強いこだわりを持っています。
魚が苦手な人にも買ってもらえるように、加工品を多めに展開してより多くのお客さんに手に取ってもらえるように工夫しています。
また、チラシを出さないスタイルを貫いていて、その日の仕入れ状況をもとに売り場を変える柔軟さが強みです。
常に「お客さん目線」で考えることが売り上げにもつながるし、現場のやりがいにもなっています。
◆ 仕事の姿勢とメッセージ
自分は決して器用なタイプではありません。覚えるのも遅いし、最初は本当に何もできませんでした。
でも、だからこそ誰よりも努力してきたと思っています。
後輩たちには「何回でも聞いてええよ」と伝えています。
六甲道では、質問が飛び交う現場をつくりたい。
質問しやすい空気が、全体のレベルを引き上げていくと信じています。
自分のようなタイプでもここまでやれる、そういう姿を見せることで、誰かの励みになれば嬉しいです。
第4章:これからも、誰よりも働ける人に
◆ 終わりなきキャリアステップ
店長になってからも、「ここがゴール」と思ったことはありません。
会社が求めてくれるなら、もっと上の仕事にも挑戦したい。僕には特別なスキルやセンスがあるわけじゃない。でも、誰よりも多く働いてきた自負があります。
役職や肩書きに縛られるのではなく、必要とされる場所で、誰よりも貢献できる存在でいたい。
それが自分なりのキャリアの積み上げ方だと思っています。仕事に“終わり”はないと、今も感じています。
◆ チームで強くなる
強い現場をつくるには、チームとしての力が必要です。
部門を超えて協力できる現場をつくりたい。
困っている人がいたら手を貸す。誰かが休んだときにカバーし合う。その空気をつくるのが店長の仕事だと思っています。
六甲道店を、「どこよりも連携が取れている店舗」にしていきたい。
そのためには、自分自身が一番率先して動くこと。
それができて初めて、チームとしての強さが生まれると信じています。
◆ 働き方も、待遇も進化中
バローグループに参画してから、待遇面は大きく変わりました。給与も上がり、休日の取り方も良くなったと思います。
だからこそ、六甲道店がその象徴になれるように現場を整え、売り方を磨き、結果を出す。
その積み重ねが、会社全体の未来につながると信じてやっています。