本記事は、REHATCH社内のAI活用を紹介するインタビュー企画の第一弾です。今回は営業部マネージャーの松藤に、営業現場でのAI活用についてインタビューしました。生成AI研修を社内向けに提供したREHATCH執行役員 兼 OMOUMAMA株式会社CEOの長坂でお届けします。
生成AIが営業にもたらすインパクト
長坂: 聖馬、今日は時間を作ってくれてありがとう。REHATCHには以前OMOUMAMAとして生成AI研修を体験してもらったけど、その研修がきっかけで営業部門でのAI活用が進んだって聞いて、今日はその具体的な成果を聞きたくて時間をもらいました。
松藤: こちらこそありがとうございます。鴻輝さんの研修、本当に実践的でした。研修を受け、営業チームでは生成AIの導入を促進しており、生産性が大幅に向上しています。特に資料作成やコミュニケーションの領域で、大きな成果が出てきてます。
長坂: それは興味深いね。聖馬は元々エン・ジャパンで人材紹介の営業をしていて、全国1位の成績も残していたよね。そんな営業のプロフェッショナルから見て、生成AIはどのような変化をもたらしているの?
松藤: 実際に使ってみると、AIは営業の本質的な部分、つまり顧客との対話や関係構築により多くの時間を使えるようにしてくれる、強力なパートナーだということがわかりました。今となっては業務の中で切り離せない存在になっています。
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営業現場でのAI導入のきっかけ
長坂: AI導入のきっかけは何だった?
松藤: REHATCHに入社してから、AIを含むテクノロジーの可能性を日々感じていました。ただ、営業活動においては、どうしても時間的な制約がありました。例えば、提案資料を作るのに10時間以上かかることもあって、その間、新規開拓や既存顧客のフォローができない。この非効率さをなんとかしたいと思っていました。前提として、お客様ファーストの精神で、お客様により価値のある情報を届けるためにAIを含むテクノロジーを活用したいと思っており、もっと本質的に、お客様の成長や提供価値を最大化させるために効率化を図りたいという気持ちがありました。
長坂: 確かに、営業の方々からよく聞く課題だね。最初はどのツールから始めたの?
松藤: 最初はChatGPTから始めて、簡単な文章の校正や、アイデア出しに使う程度でした。でも、使い込んでいくうちに、もっと高度な使い方ができることに気づいて。今では、Gemini、Claude、GenSparkなど、用途に応じて使い分けています。
長坂: なるほど。チーム全体への展開はスムーズだった?
松藤: 正直最初は苦戦しましたね。おそらくチームメンバーも"AIに頼ってお客様への提供価値を本質的に上げられるのか?"というイメージがつかなかったんだと思います。でも、実際に使ってみせて、成果を見せることで、徐々に理解が広がっていきました。今では、チーム全員が何らかの形でAIを活用しています。
活用事例①:提案資料作成の革命
長坂: 具体的な活用事例について聞かせてほしい。まず、資料作成での活用について詳しく教えてもらえる?
松藤: 資料作成って、皆さんもご存知の通り営業活動の中でもかなり時間がかかる作業です。特に初回商談や提案の際の資料作成には、従来1つの資料あたり10〜20時間かけていました。
長坂: 10〜20時間!それは相当な時間だね。
松藤: はい。しかも、その間は他の営業活動ができない。AIを活用することで、同じ(ないしもっと高い)クオリティの資料を5〜10時間で作成できるようになったので、シンプルに工数を半分にできています。
長坂: 具体的にはどんな使い方をしているの?
松藤: 例えば、初回商談の資料では、商談先企業の業界分析、競合分析、ターゲット分析、想定課題、そして想定課題から考えられる施策まで、すべてをまとめた資料を作成しています。以前は、これらの情報収集と分析、資料化にものすごく時間がかかっていました。
長坂: AIはどの部分で活用されているの?
松藤: まず、GPTのDeep Researchを使って業界の最新トレンドや競合情報を効率的に収集します。実はこの活用方法は、鴻輝さんが研修で紹介してくれたもので、営業資料作成の効率化について具体的な方法まで教えていただきました。次に、ClaudeやGPTを使って、収集した情報を基に分析を行い、想定課題や施策案を整理します。最後に、GenSparkを使って、プレゼンテーション用のストーリーラインを組み立てています。
長坂: 面白い使い分けだね。成果はどうだった?
松藤: 実は、受注率が従来の数値から5〜10%向上しています。これまで作りきれなかった、企業ごとに完全カスタマイズした自社ツールのデモやダッシュボードイメージまで作れるようになったことで、資料のクオリティが上がり、顧客にサプライズを提供できているのだと思います。
長坂: 素晴らしい成果だね。ただ、AIに頼りすぎることへの懸念はない?
松藤: その指摘は重要だと思っています。ただし、AIは現状ではあくまで「下書き」や「たたき台」を作ってくれるツールだと位置づけているので、最終的にお客様に見せる内容については、必ず人間がクオリティをチェックし、調整する。AIが出力した内容を鵜呑みにせず、経験や知識を加えて、より良いものに仕上げる。この「複数AIと人間の力をマネージする力」が重要だと考えています。
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活用事例②:メールコミュニケーションの質とスピード向上
長坂: 次に、メール作成での活用について教えてほしい。
松藤: メール作成も、営業活動の中で結構時間を取られる作業なんですよね。特に初回商談後のお礼メールは、商談内容を踏まえて、相手企業の課題に対して自社がどう貢献できるかをまとめる必要があるので、従来は1通あたり5〜10分かかっていました。
長坂: 確かに、パーソナライズされた内容を書くのは時間がかかるね。
松藤: そうです。でも今は、AIを活用することで、高品質な下書きが1〜2分で作成できるようになりました。重要なのは、これが「自動返信」ではなく、あくまでも「下書き作成支援」だということです。
長坂: どんなプロセスで活用しているの?
松藤: まず、商談中にメモした内容や、商談で使用した資料をAIに入力します。そして、「この商談内容を踏まえて、お礼メールの下書きを作成してください」というプロンプトと共に、いくつかの条件を指定します。例えば、「相手企業の〇〇という課題に対して、当社の△△というソリューションがどう役立つかを含める」といった具合です。
長坂: なるほど。品質はどうだった?
松藤: 正直、非常に高い品質でアウトプットが出てきます。商談内容を的確に反映しつつ、プロフェッショナルな文面が出力されるんですが、もちろん、そのまま送ることはしません。必ず読み返して、必要に応じて調整します。でも、ゼロから書くよりも格段に速く、しかも質の高いメールが送れるようになりました。
長坂: 顧客からの反応はどうですか?
松藤: 以前よりも返信率が上がっています。おそらく、メールの内容がより具体的で、相手企業の課題に寄り添った内容になっているからだと思います。また、商談後すぐにフォローアップメールを送れるようになったことも、好印象につながっているようです。
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成功の秘訣:AIと人間の最適な協働
長坂: これまでの話を聞いていると、「AIに頼り切らない」という姿勢が重要なポイントのように感じるね。
松藤: まさにその通りです。
長坂: ちなみに「頼りきらない」ことを具体化すると、どんな点で人間の判断が重要になると思う?
松藤: 例えば、提案資料を作る際、AIは一般的な業界分析や想定課題を出力してくれます。でも、その企業特有の文化や、商談で感じた微妙なニュアンス、決裁者の性格など、AIには判断できない要素がたくさんあります。これらを加味して、最終的な資料に仕上げるのは人間の仕事だと思っています。
長坂: なるほど。チーム内でのAI活用文化はどんな風に醸成している?
松藤: 営業チームの中で現状の業務を棚卸しし、週に1回以上のペースでAI活用MTGを実施。その時間で改善インパクトが大きい業務を洗い出して、新しいPJとして起案。そこからは同じく週次でPJを進捗させています。また、「AIを使って効率化できた時間で、何をするか」を常に考えるようにしています。単に楽をするためではなく、空いた時間で顧客とのコミュニケーションを増やしたり、新規開拓に力を入れたりする。そうすることで、AIは営業の質を高めるツールだという認識が広がっています。
長坂: 「Share the wow」という自分の価値観にも通じるものがあるね。AIという素晴らしいツールの可能性を、チーム全体で共有し、活用していく。
松藤: 鴻輝さんの「Share the wow」の考え方、本当に共感します。実際、チームメンバーが新しいAIの使い方を発見して、それを共有してくれた時の盛り上がりは本当にすごいです。みんなで「これはすごい!」と感動を共有できる。そういう文化が、さらなる活用を促進していると思います。
今後の展望とメッセージ
長坂: 今後、営業部門でのAI活用はどんな風に発展していくと思う?
松藤: いずれ、AI対人やAI対AIの営業シーンが訪れると思っています。もちろん、特にBtoB商材かつ所謂コンサル型の営業においては初回接点〜受注までのプロセスが全て置き換わるとは思えませんが、一部がそうなっていく未来が来ると思っています。
REHATCHでもこういった流れを見越して、営業プロセスの一部を全てAI化する、かつお客様のUXをより向上させるような取り組みを行っていきたいと思っています。
長坂: AIイネーブルメント事業を進める立場として、聖馬の実践例は本当に参考になるね。最後に、AI活用を検討している営業担当者へのメッセージを聞かせてほしい。
松藤: まずは小さく始めることをお勧めします。いきなりすべてを変えようとせず、例えばメールの下書き作成から始めてみる。そして、最初のうちは「AIはツールである」という認識を持って必ず人間が入ってアウトプットを仕上げること、慣れてきたら自分の業務をAIに置き換えていき、営業の本質である「お客様の課題を理解し、解決策を提供すること」にAIの力を使っていくこと。AIは、その本質的な活動により多くの時間とエネルギーを注げるようにしてくれる、強力なパートナーだと思います。
長坂: 参考になるメッセージだね。自分からも一言加えさせてもらうと、AIイネーブルメントの本質は、単にツールを導入することじゃない。聖馬が実践しているように、人間の創造性や判断力とAIの処理能力を組み合わせることで、これまでにない価値を生み出すことだ。一人でも多くの営業担当者が、AIを活用して生き生きと働ける環境を作っていきたいと思う。
松藤: 鴻輝さん、本日はありがとうございました。これからも、営業現場でのAI活用を進化させていきたいと思います。
長坂: こちらこそ、貴重な実践例を共有してくれてありがとう。聖馬の取り組みが、多くの企業の参考になると思うよ。