「第二新卒採用で重視されるポテンシャルとは何を基に判断されるのか?」Twitterを眺めていたところ、こんなツイートが目に留まった。ツイ主は今年4月に不動産会社に営業として入社したという男性。過去のツイートを遡ってみると、入社1ヶ月の間に洗脳に近い形でブラックな働き方を強要されたため、転職を決意したとのこと。しかし職歴が短く、勤務期間も短い状態で次が見つかるか不安になり、ポテンシャル採用について調べていたそうだ。
彼のように新卒入社をしてすぐに「会社選びを間違えた……。でも、職歴もスキルもほとんどない状態で次の就職先が見つかるのだろうか」と不安を抱えている方は多いのではないだろうか。そんな若手社員に向けて、本記事では経験やスキルを問わないポテンシャル採用について解説。企業が期待するポテンシャルの条件や、第二新卒としてのアプローチ方法、実際の体験談についても詳しく紹介していく。
目次
- ・ポテンシャル採用のメリット
- ・ポテンシャル採用の条件と企業からの期待
- ・ポテンシャル採用の成功に必要な自己分析
- ・面接で輝くためのアプローチ方法
- ・ポテンシャル採用で転職成功した第二新卒の体験談
- ・ポテンシャル採用後のスキルアップ
- ・第二新卒としてポテンシャル採用で輝く未来へ
ポテンシャル採用のメリット
ポテンシャル採用とは、関連のある経験やスキルをもっていなくても、将来的な成長を期待できる期待値の高い人材を採用することだ。求職者視点だと、中途採用であれば少しでも経験があった方が良いのではないかと考えがちだが、実はポテンシャル採用を成功させると企業にとって多くのメリットを得られる。では具体的にどんなメリットがあるのか。主に以下のようなものがあげられる。
多様な人材の確保
経験やスキルに囚われず、潜在能力や成長性を重視することで、多様なバックグラウンドを持つ人材を確保することができる。これにより企業は新たなアイデアや視点を取り入れることができ、イノベーションの促進にもつなげることができる。
若手人材の育成
経験やスキルを問わないことで、若手人材からの応募ハードルを下げることができる。また、若手人材は企業のカルチャーや業務に適応しやすいため、獲得後は長期的なビジョンに沿った成長を期待することができる。
モチベーションの向上
ポテンシャル採用された若手社員は基本的に企業側がイチから育成をしていく。丁寧に育成をされることで、社員は自然と「企業のために貢献したい」とモチベーションを高めることができる。若手社員の貢献により、企業の業績拡大にもつながることが多い。
企業ブランディング
ポテンシャル採用を行うことで、企業は若手社員の成長やキャリア支援に力を入れるというイメージを世の中に持たせることができる。そうすることで企業の魅力が向上し、優秀な人材を引き寄せやすくなる。
以上のようにポテンシャル採用は企業に多くのメリットをもたらす。「若手社員を獲得したい企業側にとっても積極的に活用したい手法なんだ」「職歴やスキルに関係なく必要とされているんだ」ということをしっかりと認識しておくことで、転職活動に対する余計な不安やストレスを抱えることなく進めることができる。
ポテンシャル採用の条件と企業からの期待
では、企業が求めるポテンシャル採用の条件とは何なのか。上述したように企業がポテンシャル採用を行う場合、関連のある経験やスキルは求めない。第二新卒となる若手社員に対し、いかに将来性が感じられるか。成長を期待できそうかをチェックしている。具体的には主に以下の6つの要素が重要視されている。
1.コミュニケーション能力
まずはコミュニケーション能力。第二新卒枠で入社した若手社員が顧客対応や組織内で円滑にコミュニケーションをとることで、サービスの向上はもちろん、業務効率や職場環境の新たな改善を講じられるようになる。
2.柔軟性
柔軟性も必要だ。変化に適応し、さまざまな状況に柔軟に対処できる人材は企業にとっても大変魅力的だ。このような若手社員を獲得することで幅広い分野や業務への対応力をつけるだけではなく、将来的に組織内で多様な役割を担える人材としての活躍も期待できるようになる。
3.主体性・積極性
自分で考え、行動できる主体性や積極性があることも欠かせない。顧客対応や組織運営において、何事も自分ごととして捉え、積極的に行動できる若手社員は企業にとっても長年重宝していきたい人材だ。
4.問題解決能力
業務の中で問題や課題が発生した際、独自の視点やアプローチで解決策を見つけ出す問題解決能力があることも重要だ。「ゆくゆくは管理職を任せたい」など、将来性がある人材として活躍が期待できるため、問題解決能力をもつ人材は企業から高く評価される。
5.学習意欲・成長意欲
「会社や仕事について学びたい」という学習意欲や、「スキルアップしたい」という成長意欲があることは必須だ。高いモチベ―ションをもって仕事に取り組めるのか、組織全体のレベルアップに貢献してくれそうなのかなど、前向きな姿勢をもつ人材かどうかを企業は重視している。
6.適性・適応力
適性や適応力が高いこともあげられる。これらの有無によって、企業は育成にかかる工数削減ができるのか、長期的に活躍できる人材なのかどうかを見極めたいのだ。また、職歴が浅いゆえにまっさらな状態から素直に知識を吸収できそうかも重視しているケースが多い。
ポテンシャル採用を行う企業へ応募するにあたり、以上のようなポイントを理解しておくことで、選考時により効果的なアピールをすることができる。
ポテンシャル採用の成功に必要な自己分析
ポテンシャル採用を行う企業で内定を勝ち取るためには、事前に自己分析を行っておくことが大切だ。自己分析を行う際には以下のポイントに焦点を当て、自分自身の理解につなげてほしい。
自分の強み
スキルや知識だけではなく、コミュニケーション能力や問題解決能力、主体性など、他人と比較して優れている点や特徴を明確化。強みであると感じられた経験や、強みを活かしてチャレンジできたことなど過去の成功体験と共に、他者と差別化できる自分ならではの強みを見つけよう。
自分の弱み
反対に自分の弱みを自覚し、克服する意欲も見せることも重要だ。なぜ弱みだと思ったのか、自覚に至った経緯は何だったのか。弱みを自覚した時、乗り越えるために何をどう工夫したのかなど、自分が苦手とすることに対し、どのように向上させるかの具体策や実践していることも一緒に語れるようにしておこう。
成長意欲・適応力
志望する企業で自分がどのように成長していきたいのか、目標やビジョンを明確にしておくことも欠かせない。また、新しい環境や変化に対応できる適応力を持っていることも、なぜ素早く適応できるのかなど拝啓も踏まえてアピールできるようにしておこう。
価値観・志向
働くにあたり、自分はどんな価値観や志向をもっているのかも明らかにしておく必要がある。明らかになった価値観や志向を大切にできる会社なのか、自分と企業の価値観はマッチしているのかどうか。自らを知り、きちんと情報収集を行うことで、間違いのない会社選びを実現することができる。
適性・適職
過去の経験や興味・関心をもとに、適性や適職を見つけ出すことも重要だ。自分がどのような職種や業界で活躍できるのか、活躍したいと思えるのかをしっかりと検討しておくことが、理想のキャリアを築く第一歩となる。
以上のポイントをもとに自己分析を行うことで、自分がどのような企業や職種に適しているかを把握することができ、自分に合った企業選びが可能となる。また、自分自身への理解も深まるため、面接で自信を持ってアピールできるようになる。
面接で輝くためのアプローチ方法
企業の採用活動において面接は必ず実施される選考プロセスだ。面接では実際に企業の採用担当者と顔を合わせて対話をするため、「緊張してしまう」「苦手だ」と感じる者がほとんどだと思う。そこで、ポテンシャル採用を行う企業の面接において、より効果的なアピールにつながるポイントを紹介する。
自己分析
上述した自分の強みや弱みついて、自己分析で明らかになった自分自身の価値観や志向について具体的なエピソードと共に説明しよう。前職での職歴が浅い場合は、学生時代の勉強や部活についてでも大丈夫だ。例えば「学生時代にバスケ部の部長に選ばれて、チームをひとつにまとめるためにコミュニケーション力やリーダーシップを発揮。結果として大会で勝ちあがれた」など具体的であればあるほど差別化ができて、企業に良い印象を残すことができる。
学びの意欲・成長意欲
志望する企業でどんな風に成長したいか、どんなスキルを身につけて貢献したいかなど、新しい業界や職種にチャレンジする意欲をアピールしよう。積極的で前向きな姿勢をみせることで、企業に対しポテンシャルが高い印象を与えることができる。また、育成においてどんなフォローをしてくれるのか。採用者に対し、どんな能力を発揮してほしいのか。どんなスキルをいつまでに身につけて活躍してほしいと考えているのかなど、期待していることについて逆に質問するのも意欲的な印象を与えることができる。
企業とのマッチング
志望企業のビジョンや価値観のどんな点に惹かれたのか、共感したのかを述べよう。また、企業のもつビジョンや価値観に対して自分がマッチしているのか。マッチしているとしたらどんな部分がマッチしているのか。企業の掲げるビジョンや価値観に対して、どのように貢献することできるかを伝えよう。例えば、「御社のイノベーション志向に共感し、自分のアイデアや創造力を活かして新たな価値を生み出したい」といった内容で、かつより具体的な内容を盛り込むことが効果的だ。
転職理由
転職理由については素直に回答することがオススメだ。例えば、はじめに紹介した不動産営業の彼のように「ブラック企業だったため働き方を改善したい」や、「業種・職種選びを間違えてしまったのできちんと自分にあった仕事に就きたい」など。正直に理由を話し、そんな失敗談を踏まえて新たな環境ではどのように挑戦したいというかという前向きな言葉で締めることで、採用担当者に好印象をもたせることができる。
これらのポイントを踏まえ、落ちついて理路整然と話すよう心がけることで、志望する企業に将来性のある人材としてアピールすることができる。
ポテンシャル採用後のスキルアップ
第二新卒で入社した若手社員にとって、スキルアップに向けて自ら意欲的に取り組むことは欠かせない。不足しているスキルを補うために、インターネット上の情報や書籍、社外での勉強会やセミナーに積極的に参加し、勉強をすることが求められる。そこで、自己の成長を促すために社員が取り組むべき自己啓発の進め方について解説する。
STEP1:目標設定
はじめに自分がどんな姿になりたいのかを明確にイメージする。イメージした姿になることを最終的なゴールとし、ゴールに向けて長期的、中期的、短期的な目標を設定する。
STEP2:自己学習の計画を策定
目標が設定できたら、知識やスキルを身につけるためにどのように自分で学習を進めるか計画を立てる。計画はより具体的なスケジュールまで作成し、段階的に学習を進められるように整理しておく。
STEP3:定期的な自己評価
計画が立てられ、学習をスタートできたあとは定期的に進捗を確認する。計画と進捗具合を照らし合わせ、必要に応じて当初立てた計画を見直すことも大切だ。そうした自己評価を進めることは自分自身の成長を認識できる機会にもなり、学習に対するモチベーションを維持するためにも効果的だ。
STEP4:新しいことに挑戦する
計画的に必要な知識やスキルを身につけたあとは、既存の知識やスキルだけに依存せず、新しい分野の知識に触れることも大切だ。さまざまな知識に触れるよう心がけることで、自分自身の視野が広がり、業務領域の拡大にもつなげることができる。
STEP5:メンターシップの活用
自己啓発は基本的に自己主導で行うものだが、経験者のアドバイスやフィードバックは非常に価値があるものだ。適切なメンターを見つけ相談を行うことで、自分では気づかなかった課題点や改善点を見つけることができる。
以上が、入社後に自己啓発を効果的に進める方法となる。はじめは不安も多く、スキルアップには時間がかかるかもしれないが、少しずつコツコツと取り組むことで、必ず自分自身の成長につなげることができる。
ポテンシャル採用で転職成功した第二新卒の体験談
コツコツ・黙々作業の製造業からマーケティング職へ
友人Tは大学卒業後は地元の製造業で勤務。もともと製造職に就きたいと考えていたわけではなく、たまたま地元の企業に内定をもらえたのでそのまま就職。しかしながら入社半年後には自分の仕事にやりがいを感じることができず、仕事の内容や働き方にだんだんと疑問をもつようになったという。
「もっと人と関わる仕事に挑戦したい」と考えたTは、介在価値の高そうなマーケティング職に興味を持ち、異業種からの転職を目指すことに。自身のもつ強みや興味を発揮し、新たな環境で自己成長を促進できそうな、ポテンシャル採用を行っている企業に応募した。
結果的に彼女は内定を獲得。マーケティングに関する直接的な知識やスキルはなかったが、学生時代に得た工学の知識や解析的思考、問題解決スキルをもっていることが評価され、採用に。入社後はマーケティングの基本から学び始め、オンラインセミナーの利用や、メンターからの助言をもとに自主的に学習。イチからマーケティングの専門知識とスキルを身につけた。
転職初期は多くの困難に直面したというが、それらを乗り越えることで自己成長を遂げ、新たな自分を発見できたと彼女は笑顔で語っていた。今ではその努力が評価され、マネージャーとして活躍している。
このように異業種からの転職であっても、ポテンシャル採用を活用することで自分の興味や適性に合ったキャリアを築くことができる。ポテンシャル採用は、自分の可能性を信じて挑戦するすべての人にとって大きな機会となるため、ぜひ積極的にチャレンジしてほしい。
ポテンシャル採用で新たな自分の発見へ
後輩のSは大学卒業後、高校の教師として勤務。しかし教育現場の厳しい環境と過重な仕事量に疲弊し、自身のキャリアを見つめ直すことを決意。教師生活で培った人間関係の構築スキルやコミュニケーションスキルを活かせる仕事に就きたいと考え、人事領域への転職活動を開始した。
教育業界から人事業務への転職は大きな挑戦ではあったが、後輩Sは自分自身の可能性を信じ、ポテンシャル採用を行っている企業に応募。面接では教育現場で培った人間理解力やコミュニケーションスキル、困難に対する対処能力が評価され採用に。
入社後は人事業務の基本から学びはじめ、職場内で提供される研修やメンターシップを活用するなど積極的に勉強。経験豊富な先輩社員からアドバイスなども受けたという。
このように前職での経験が基盤となり、新たなキャリアを築く為に役立つケースもある。ポテンシャル採用は自分のスキルや経験を新たな環境で生かすためのチャンスにもなる。自分の可能性を信じ、新たな挑戦に立ち向かうことで、キャリアは大きく広げることができる。
第二新卒としてポテンシャル採用で輝く未来へ
第二新卒としてポテンシャル採用で輝くためには、自分を知り、自分を信じることが何よりも大切だ。自分の強み、興味、価値観を理解し、それを活かすキャリアを諦めずに模索することが、自分にとって良いキャリアを築く一歩となる。はじめに躓いてしまったからといって深く悩んだり、不安を抱え続ける必要はない。今度は失敗しないように、きちんと自分に向き合って仕事探しをすれば良いのだ。自分と向き合い、選び、内定を勝ち取った先には、きっとあなたにやりがいや充実感を感じさせる職場が待っているはずだ。
【筆者プロフィール】
西山 侑里
1993年群馬県高崎市生まれ。空っ風に鍛えられながら、小中高とバスケットボールを追い続ける部活生活を経て、2012年の大学入学を機に上京。大学卒業後、2016年にリクルートの求人広告代理店に新卒入社。売れない営業時代を乗り越え、営業リーダーを任せられるまでに成長。新規部署の立ち上げメンバーとしてIndeedの運用にも携わる。2022年に夢だったライター職に転職。人材業界での経験を活かして求人原稿の制作から、最近ではコラム記事の制作に挑戦中。