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「自分のように肌で悩んでいる人を助けたい」━━通信会社のOLだった沖洲真弓が、メビウス製薬を起業しヒット商品を生み出すまで

メビウス製薬創業時からのメンバーである沖洲真弓。商品開発責任者などを経て、現在は常務(※)としてCRM(Customer Relationship Management)部門を統括しています。今回は通信会社のOLだった沖洲が小野と起業するにいたるストーリーや、商品開発の裏側にある想いについて話を聞いてみました。

※当時社長の小野、常務の沖洲は退任し、2022年4月1日よりメビウスは西村が代表を務めるインスタイルグループの傘下に入りました。この記事では、執筆当時(2020/06/03)の役職で表記します。

━━メビウス製薬は、小野社長と沖洲常務の二人で立ち上げられた会社ですね。まずは二人の出会いから教えてください。

小野とは前職の通信会社時代に部下として採用されたことで出会いました。第一印象はとにかく仕事ができる人。頭の回転の速さや行動力、先見性など、私がそれまで出会ったことがないタイプの人でした。

そんな小野と仕事のやりとりをする中で、もともと起業したいと思っていたこともあり、「この人から少しでも学んで自分のものにできれば、自分もいつか起業して自立できるのでは」と思ったんです。

その後、小野が前職を辞めて起業すると聞いて、思い切って私も仕事を辞めたんですよね。それから小野に連絡して、「私も会社を辞めました。一緒にやらせてください」と話したら、「え、沖洲さんは起業に向いていないから会社を辞めないほうがいいよ」と言われました(笑)。



━━なんと!辞めてから連絡をしたんですね。

そうなんです。小野からは「だいたい、今は自分の給与も払えないし…」と言われましたが、「大丈夫です。やらせてください」と私も引くことはなく。その結果、一緒に事業を始めることになったんです。

意欲的に見えるかもしれませんが、振り返ってみると当時は心のどこかで「小野のように優秀な人と事業をすれば、そんなに時間もかかからずに軌道に乗るだろう」という甘えもあったんですよね。

実際、そんなに甘くはなく、小野も私も最初の1年間は本当に無収入でした。事業としては息をしているだけでお金が出ていく状態だったので、なんとか成功させなくてはと。化粧品だけでなく様々な商材を検討し、仮説検証を繰り返すなど、とにかく必死でした。

━━会社を辞めることにためらいはなかったのでしょうか?

なかったですね。前職を辞めたときは36歳でしたが、両親や知り合いには一切相談せず決断しました。起業してからしばらくは、誰にも会社を辞めたことや起業したことは伝えず、成功するまでは背水の陣で臨むという覚悟でやっていました。



━━そんな中、日本初の「BBクリーム」を開発されたんですね。開発のきっかけは何だったのでしょうか?

私自身、30歳くらいまではニキビだらけで、何をやっても治らずずっと肌に対するコンプレックスを抱えていました。病院やエステにもいき、化粧品も使えるものは一通り試してみました。ときには怪しいキャッチセールスにひっかかって失敗したりなんてことも…。それでも、なんとかしてきれいになりたい一心で努力を続けた結果、ある化粧品との出会いがあってニキビが治った経験があったんです。

そのため、起業して化粧品を扱うと決めたときには、「当時の自分のように悩んでいる人を、助けることができるんじゃないかな」という想いはありました。「肌に悩んでいるなら、ぜひこれを使ってみて」と知らない人に対しても勧めたくなるような商品をつくりたい。そんな想いで開発を進め、最初にヒットしたのがBBクリームでした。

━━自身やお客様の肌に対するお悩みから商品を開発していったんですね。

そうですね。私自身の悩みだけでなく、たとえばBBクリームの後続として開発しヒットした「BBアイラッシュ」というまつげ美容液は、お客様からいただいたアンケートをきっかけに誕生した商品です。当時まつげパーマやエクステが流行っていたのですが、まつげが抜けてしまうというトラブルが起きていました。

そのころ、まつげ美容液といえば1万5000円ほどのアメリカの並行輸入商品ぐらいしかなく、それをみなさん使われていました。でも、値段も高いですし、日本の化粧品の規格と違うので、不安を感じていらっしゃる人もいました。そこで、日本でそういった効果のあるものをつくったら喜ばれるんじゃないかと思い、開発したのがBBアイラッシュでした。

━━そうだったんですね。今の主力商品である「SIMIUS(シミウス)」の開発きっかけについても教えてください。

創業したころは、私自身はまだシミの悩みはそこまでなかったんですよね。一方で、私の母が孫の子育てなどで疲れて、肌にシミやシワが目立つようになってきていたんです。

「お母さんをなんとかきれいにしてあげる化粧品をつくろう」と思ったのがSIMIUS開発のきっかけの1つです。もう1つは、「遺伝的に私も将来同じようになるんだ」と危機感を感じたから。だからSIMIUSは年代に関係なく、効果を感じられる化粧品にしたいという想いは当初から強かったですね。



━━2020年1月に「SIMIUSシリーズ」の販売累計が1,200万本を突破しました。ここまで支持されたのはどうしてだと思いますか?

私の今の役割はCRMという、商品を一度買ってくださったお客様といかに末長く良好な関係性をつくっていくかを考えること。商品を販売してからずっと、日々仮説を立て、失敗を検証し、課題をひとつずつ解決してきました。その結果、「この条件がそろえば絶対に失敗しない!」と確信を持てるくらいまで突き詰めることができたのが、とても大きいと思います。

そもそもBBクリームもヒットしてからリピート購入のお客様が増えていくまでには、1年かかりました。毎月買ってもらえるにはどうしたらいいか、お客様の声を聞いて、容器の形状やサイズといったことから、化粧品の素材やテクスチャーといったことまで、何度も改善を積みを重ねてきた結果だと思っています。

━━それだけの検証を繰り返すのには、根気さが求められそうですね。

そうですね。私が挫けずひたむきにお客様を向いて活動できたのは、小野の存在が大きかったです。小野は私が「こう考えているんです」と話すと「じゃあやってみたら?」と常に背中を押してくれる存在でもありました。

今は社員も増えてきて小野と私だけでなく、社員間でも「成長対話」という形で実施しています。まずあるべき姿、なりたい姿を共有して、どうやったらそこにたどり着けるかを会社がサポートする。

これは商品についての話だけではなく、社員一人ひとりの人生についても同じなんです。相手から説得されて動くのではなく、自分自身の言葉で話していく中で納得をしないと人は動けません。メビウス製薬は人も商品も、なりたい姿とそこまでの道筋の仮説を立て、常に検証して改良を重ねている会社なんです。それが「メビウスらしさ」でもあると思います。

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