甲子園二連覇の名門で掴んだもの。それは「成果」ではなく「自分を認める基準」だった
小学6年生で掴んだ、人生の指針
「スピードスケートなんですよ、僕は。野球じゃなくて」
服部翔太郎は、自身のキャリアの原点をこう語り始めた。北海道・音更町で育った彼が、人生で最も影響を受けたのは、意外にも高校野球ではなく小学校時代のスピードスケートだったという。
小学2年生で始めたスピードスケート。最初は十勝管内でトップクラスの成績を収めていたが、小学5年生の頃には徐々に順位が下がり、怪我で1シーズンを棒に振る挫折を経験する。普段は絶対に負けることのないチームメイトにも負けるようになり、悔しさで一杯だった。
「その翌年、最後の小学6年生の時に、夏のトレーニングを今までの倍ぐらいやったんです。自分の中で後悔のないぐらい頑張って。そしたら北海道大会で準優勝できた」
この経験が、彼の全ての基準になった。 人は頑張ったらちゃんと成果が出る。成功したいと思った時にはそれぐらい頑張らないといけない。そこまでやればちゃんと成果で出る──小学6年生にして、彼は自分の価値観の礎を築いた。
日本一の環境で学んだ、「成果が出なくても努力する」という強さ
その後、地元では「神童」と呼ばれた。中学時代も野球とスケートで活躍。尊敬する先輩に負けたくないという思いと、親からの「どうせ親元を離れるなら日本一の高校でやった方がいい」というアドバイスで、甲子園二連覇を果たした駒大苫小牧高校へ進学する。
━━ 日本一の環境に飛び込んで、どう感じましたか?
「挫折しますよね。中学校まで自分が天下だったんで。でも高校に行った瞬間、自分以上の人間がもうめちゃくちゃ多い。体のデカさ、足の速さ、体力、俊敏な動き…ポテンシャルとして俺以上の人が全然いたんです」
田中将大(マー君)がいた、日本最高峰の野球部。服部は3年間で、ベンチに数回入ったぐらいだった。しかし、彼はこう言い切る。
「高校3年間で野球をやった時間に関しては、多分僕の代だと僕が一番だと思っています」
━━ その経験は、今のあなたにどう影響していますか?
「頑張っている自分がアイデンティティなんですよ。 頑張っていない自分はもう自分じゃない。成果が例え出なかったとしても、自分が決めた努力量をやっていない自分は気持ち悪くて。それをやっていたら、最低限、自分のことを認められる」
成果が出ないのにめちゃくちゃ努力した経験。それが彼を形作った。諦めることも、やらなくなることもない。それが服部翔太郎という人間の核心だ。
「仕事って、やれば成果が出るんだ」──大手人材会社で掴んだ手応え
次は社会人になってからの経験について書いていきます。消防士→フリーター→人材会社の流れ、そしてフォーエキャリアへの転職について。
順天堂大学卒業後、消防士として2年半勤務したものの、仕事に熱中する感覚は掴めなかった。1年半のフリーター期間を経て入社したのが、人材会社のネオキャリアだ。
「シンプルに、仕事って楽しいなって感じられたんです」
━━ 何が変わったんですか?
「野球って、いくら頑張っても運的なところが存在すると思うんですよ。確率のスポーツ。でも仕事は違うなって。みんなの2倍やれば基本的に成果も出る。プレイヤーとして考えた時、めちゃめちゃ難しいものじゃないなって。やれば成果が出る感覚がありました」
成果を出せば評価してくれる。ブラックな働き方も受け入れてくれる会社だった。3年3ヶ月でマネージャーまで昇進し、ようやく仕事での努力の方向性を見出した。
しかし、次に転職した飲食スタートアップでコロナに直撃。仕事がなくなり、うつ病に。そんな時、声をかけてくれたのが現在の会社・フォーエーキャリアだった。2020年の入社から、今年で6年目を迎える。
挫折が教えてくれた「腹落ち」の重要性
フォーエーキャリアでは、人材紹介事業の責任者、人事、そして現在はCyXenで介護・医療採用コンサル)のマネージャーと、様々な役割を経験してきた。だが、順風満帆だったわけではない。
━━ フォーエーキャリアでの挫折は?
「SES事業の立ち上げですね」
新規事業の責任者として任されたSES事業。しかし半年間、なかなか成果が出なかった。
「振り返ると、心のどこかで『なんで俺なんだろう』ってずっと思っていたんです。本当に、俺がやらないとダメだという強い使命感が持てなかった。それに、当時は上司の言う通りにやってうまくいってないのを、どこかで他責にしていた部分もあったと思います」
本当に自分で起業してこの事業で食わなきゃいけないってなったら、もっと違う動き方をしていたはず。敷かれたレールの中で、半信半疑のまま動いていた──そう振り返る。
━━ その経験から、何を学びましたか?
「やっぱり一番大事なのは、自分の中でちゃんと腹落ちできているかどうか。なぜ自分がそこに行かないといけないか。自分じゃないとそこでバリューが発揮できないという確信が、ちゃんと自分の中で落ちていないとダメだなって」
実は服部、人事への異動以外は、ほとんど自分から手を挙げたことがない。全て「やってほしい」と依頼されたポジションだ。だからこそ、自分で腹落ちさせるプロセスが何より重要になる。
現在のCyXenへのアサインでは、この「腹落ち」ができていた。だから動けた。主体性を発揮できた。今、彼は突き抜けている。
「めちゃくちゃ楽しい」──新規営業で取り戻した、あの感覚
━━ 今の仕事、楽しいですか?
「めちゃくちゃ楽しいですよ」
即答だった。
「結局、僕の欲求って、一番になりたいとか、自分の成長実感がある状態なんです。これ、スピードスケートに戻るんですよ。あの時めちゃくちゃ楽しかった。表彰台の一番上から全員を見下ろしている感覚、頑張ったら頑張っただけスピードが速くなっていく感覚。自分が一番エキサイティングしてやれていた感じに、新規営業ってなりやすいんです」
一番わかりやすい。努力が数字になる。成長が実感できる。
現在、彼が目指しているのは、年間受注1.2億円、M&A案件の成約といった大きな数字だ。「うちらじゃ無理っすね、服部さんには追いつけないですわ」と言われるぐらいの成果を出したい。
同時に、プレイヤーとしての突き抜けだけでなく、自分と同じぐらいの成果を出せる人を5人、10人と育てることにも挑戦している。
「両方できる人材になりたいですね。営業マネージャーや部長って、自分で数字を作りながら、部下にこれまでの勝ちパターンをインストールして、成果を出させる。それが求められると思うので」
データとテクノロジーで、業界の未来を変える
服部が携わる介護・医療・福祉業界。CyXenのミッションは「介護、医療、福祉領域において、現場とテクノロジーをつなぎ価値を最大化する」だ。
━━ この業界に対して、どんな想いがありますか?
「今のこの業界、品質がバラバラなんですよ。採用の品質、サービスの品質が人によってバラバラで、すごく差がある」
営業をしていても、同じような規模感の会社でも、当社のサービスを導入できる会社とできない会社がある。何が違うのか──それはデータやテクノロジーを使った経営ができているかどうかだと服部は言う。
「サービスの品質が統一されていたり、人材の質が統一できていたり、定着の仕組みが整っていたり…これ全部、データやテクノロジーの話だと思うんです。ここが向上すれば、一つ一つの企業ももっとお金が入るし、無駄な資質もなくなるはず」
━━ この業界をどう変えたいですか?
「やっぱりM&Aみたいな業界再編が必要だと思っています。いいところが悪いところをちゃんと吸収していって、そこで働いている人たちがより良い条件で働けるようになる。それを他介護業界の自社でやっていくのか、CyXenが子会社化して変革していくのか…どちらにしても、そういう動きが必要だと思います」
データとテクノロジーという観点も踏まえて、業界の再編を進めていく。それが彼の描く未来だ。
「信頼されるチケット」を手に入れろ
━━ 若手社員に伝えたいことは?
「うちの良さは、挑戦できる環境だと思います。ただし、そのチケットは全員が受け取れるわけじゃない」
━━ どういう人がチケットを受け取れるんですか?
「信頼される人です。これはずっと新卒にも言っているんですけど、信頼される人間であることが一番大事」
信頼にはいろんな意味がある。一番わかりやすいのは成果を出すこと。でも、それだけじゃない。
「成果を出す以外にも、信頼されるってことはいっぱいあると思うんです。特に20代の人には、信頼される人間になるためにどうしたらいいかを考えて行動してほしい。それをしていけば、いいチャンスや挑戦できるチケットをたくさんくれる会社だと思います」
失敗するためには挑戦しないといけない。挑戦するためにはチケットが必要。そのチケットを得るために、信頼を積み重ねる──それが成長の循環だ。
「成功も失敗もどっちでもいいんですよ。でも失敗するためには挑戦しないといけない。だからまず、そのチケットを得る必要がある」
努力し続ける、それが自分を認める唯一の方法
「自分が経営者の立場に立った時、どこに自分を置いたら一番組織にインパクトが出せるか。それを考えるようになりました」
社会からの要請で動いていた自分から、自分の意志で選択する自分へ。その変化が、今の彼を作っている。
高校時代、成果が出なくても誰よりも練習した。その経験が彼の核を作った。頑張っている自分がアイデンティティ。頑張っていない自分は自分じゃない。
だから今日も、彼は走り続ける。誰よりも。
「結局、スピードスケートなんですよ」
そう笑う服部の目は、小学6年生の時に表彰台に立った、あの日の輝きを宿していた。
CyXenでは、介護・医療・福祉の未来を共に創る仲間を募集しています
努力を惜しまず、挑戦を恐れず、自分で考えて動ける。そして何より、信頼される人間であり続けたいと願う人──そんなあなたを、私たちは待っています。
服部のように、挫折を糧に成長し、主体性を持って事業を牽引する。そんなキャリアを歩みたい方、ぜひ一度お話ししましょう。