「仮説を立てて、検証する。そのループが全ての答えを導いてくれる」元デイトレーダーがデータの力で挑む介護業界変革
Photo by Janis Ringli on Unsplash
群馬県庁からデイトレーダー、そして介護DXへ。異色のキャリアを歩むデータアナリストが見つけた使命
はじめに
「できない理由を探すのではなく、できる理由を一緒に考えてくれる人と働きたい」
そう語るのは、株式会社CyXenで新規事業(介護シフトAI事業)を牽引する藤巻真弥さん。群馬県庁で5年以上勤務した後、1年余りデイトレーダーとして生活。その後、データ分析のスキルを武器に介護業界のDX化に挑戦している。一見すると異色のキャリアだが、そこには一貫した「仮説検証」への信念があった。
介護業界は今、深刻な人手不足と業務負担の増大という課題に直面している。その中で藤巻さんが着目したのは、誰もが当たり前に行っている「シフト管理」という業務。データサイエンティストの視点から見た介護業界の可能性と、そこに賭ける想いを聞いた。
安定を捨てて見つけた「変化への渇望」━━県庁時代の葛藤
━━ 新卒で群馬県庁に入庁されたそうですね。当時はどんな業務を担当されていたんですか?
教育委員会の採用区分だったので、学校内で起こる様々なことに関わっていました。税金徴収から建築工事、予算管理まで、本当に幅広い業務でしたね。特に印象的だったのは、数億円規模の工事プロジェクト。金額の大きさもありますが、単純に「モノを作る」ということが楽しかったんです。
それに、教育現場は本当に良い人ばかりで。生徒や保護者と接する中で、年間300人ほどのプロファイリングができたんです。「いろんな人がいるな」という経験は、今でも財産になっています。
━━ 地方では県庁勤務は「勝ち組」とされますよね。なぜ辞める決断をされたんですか?
5年以上勤務しましたが、基本的に毎年同じことのループでした。上に昇進したとしても、これから何をするのかが目に見えてしまった。一生このループを続けるのは嫌だなというのが正直な気持ちでした。
変革志向は強かったんです。たくさん提案をしましたが、決裁者の反応は「後5年で退職だから、次の人に話して」というものばかり。「変わらないな」と思いながら過ごしていましたね。違うことをやりたいという想いが、日に日に強くなっていきました。
トレーダーで培った「仮説検証」の哲学
━━ 県庁を辞めてすぐに転職活動を始めたんですか?
いえ、1年ちょっとはデイトレーダーとして生活していました。ゴルフをしながらトレードをする、そんな生活でしたね(笑)。
━━ その時期からデータ分析をひたすらやっていたんですか?
結果的にそうですね。仮説を立てて検証する、というループをずっと繰り返していました。市場の動きを分析し、パターンを見つけ、それを実際のトレードで検証する。そういうフレームワークで常に活動していたことになります。
この経験は、今の仕事にも活きています。データから仮説を立て、実際に試してみて、結果を分析する。このサイクルは、ビジネスでも投資でも変わりません。
━━ なぜまた会社勤めを選んだのですか?
人と一緒に何かをしたいと思ったんです。投資は基本的に一人の戦いですから。
仕事にベクトルが向かった理由は、強い使命感を持って、組織の利益や何かしらの貢献のために働く、部活動のような一体感がある環境が欲しかったからです。環境を作るか、既存の環境に参加するかの二択を考えたとき、まずは参加して感じてみたいと思い、社会に戻ってきました。
データの力で介護現場を変える━━新規事業への挑戦
━━ FACに入社して何年になりますか?
2年半ぐらいですね。
━━ この2年半を振り返って、どんなことをやってきましたか?
私は比較的幅広いタイプだと思います。リクロジ(物流製造のRPO事業)では部門の立ち上げ、コンサルプロダクト開発、マネージャー業務、コンサル管理職を経験しました。
特に力を入れたのは、業務フローが統一されるまでの立ち上げ期です。その後は業務管理部やマーケティング部門で、社内の残業問題などの解決に取り組みました。リストからの受注、営業活動、コンサルティングまでの統一プロセスを社内調整しながら構築したんです。**「生産性向上」**がテーマだったので、それを加味したデータ分析も行っていました。
━━ 現在はどのような業務を担当されていますか?
新規事業を担当しています。具体的には、介護現場に対して、シフト管理という切り口から、DX化という名目で、介護施設の管理者の負担を軽減することから始めています。介護業界に切り込んでいって、BPaaS(Business Process as a Service)と呼ばれるようなサービスを展開していく予定です。
━━ なぜシフト管理に着目したのですか?
シフト作成は、本来誰がやっても同じ判断基準があるはずなのに、作成者の裁量が強く影響している業務です。かつ、これを巻き取ることで大きな価値を生み出せる仕事だと考えました。労働集約的でありながら、データで解決できる領域なので、まずここから始めています。
現場の管理者は、シフト作成に月に何十時間も費やしています。その時間を本来の介護業務や職員のケアに使えたら、どれだけ現場が変わるでしょうか。
ホスピタリティ溢れる業界だからこそ、テクノロジーで支えたい
━━ データサイエンティストの視点から見た介護業界のポテンシャルはどう感じていますか?
ホスピタリティの高い方々が集まって働いている業界ですが、「ここをもっと便利にしたら、たくさんの人が幸せになる」というポイントが多数あります。そういった部分に踏み込んで、力添えができればと考えています。
介護業界は、まだまだアナログな作業が多い。でも、それは逆に言えば、改善の余地が大きいということ。データを活用すれば、職員の負担を減らし、利用者へのサービスの質を上げることができる。そんな未来を作りたいんです。
━━ 藤巻さんが掲げるミッションを一言で表すと?
「介護業界をデータの側面から生産性向上させる」ということになるでしょうか。
でも、単に効率化するだけではありません。介護の現場で働く人たちが、本来の「人を支える」という仕事に集中できる環境を作りたい。データとテクノロジーは、そのための手段でしかありません。
前向きな仲間と、介護業界の未来を創りたい
━━ どんな人と一緒に働きたいですか?
できない理由を探すのではなく、できる理由を一緒に考えてくれる人です。新規事業なので、前向きな姿勢が重要です。
また、介護業界に対して強いミッション性を感じてくれる人がいたら、ぜひ一緒に働きたいです。技術的なスキルは後からでも身につきますが、「介護業界を良くしたい」という想いは、簡単には生まれません。
━━ FACの文化についても教えてください。
入社の決め手の一つが「挑戦を当たり前にする」という文言でした。実際、社内見学の際に最もそれを感じられたんです。そして、田中丸さん(人事責任者)との出会いが衝撃的でした(笑)。
県庁時代とは真逆で、新しいことにどんどんチャレンジできる環境です。失敗を恐れずに、まずはやってみる。そして、データを見ながら改善していく。そんな文化が根付いています。
データが導く、介護業界の新しい未来
━━ 将来の展望について聞かせてください。
介護業界は、2040年には約69万人の人材不足が予測されています。この課題を、単に「人を増やす」だけで解決するのは現実的ではありません。
だからこそ、データとテクノロジーの力で、一人ひとりの生産性を上げ、働きやすい環境を作ることが重要です。シフト管理から始めて、最終的には介護施設運営のあらゆる面をサポートできるプラットフォームを作りたい。
県庁時代に感じた「変わらない」というもどかしさ。デイトレーダー時代に培った「仮説検証」の思考。そして今、介護業界という大きな課題に向き合っています。
仮説を立てて、検証する。そのループが全ての答えを導いてくれる━━この信念を胸に、介護業界の変革に挑み続けます。
株式会社CyXenでは、一緒に介護業界の未来を創る仲間を募集しています
「できない理由」ではなく「できる理由」を一緒に探せる方、介護業界の課題解決に情熱を持てる方、ぜひ藤巻と一緒に、データの力で日本の介護を変えていきませんか?
新規事業だからこそ、あなたのアイデアが直接サービスに反映されます。県庁からデイトレーダー、そして介護DXへ。異色のキャリアを歩んできた藤巻が、次はあなたと新しい挑戦を始めたいと思っています。