天地人ってどんな会社?〜 新潟県立新潟高等学校からの企業訪問 〜 | 社内イベント
今回の記事では、高校生による企業訪問の様子をご紹介します。今年も去年に引き続き、新潟県立新潟高等学校から、25名の生徒さんが企業訪問に来てくださいました。以下、学生インターンの目線から、当日の様...
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今年で3回目となる新潟県立新潟高等学校からの企業訪問が、2025年7月29日に開催されました。今回は従来の講義形式から大きく変化し、高校生自身が新潟県の地域課題解決に挑戦する体験型ワークショップ「Save Niigata Project」を実施しました。本記事では、会社紹介やワークショップ、オフィスツアーなど、充実した当日の様子を振り返ります。
会社紹介 - 成長する天地人の「今」
「Save Niigata Project」ワークショップ - 宇宙の視点で地域課題に挑む
オフィスツアーと質疑応答 - 多様な働き方と宇宙業界への関心
まとめ
2024年の記事はこちら↓
当日の会社紹介は、HRマネージャー兼執行役員の青木さんが担当しました。
会社概要から始まり、天地人が取り組む社会課題、宇宙産業と宇宙ビッグデータの可能性、そして具体的なプロダクトまで多岐にわたりました。
特に力を入れて説明されたのは、天地人の社員についてです。2025年8月現在、従業員数は83名(正社員、パートタイム、インターン生含む)に達し、世界各国のメンバーが活躍しているという事実に、高校生たちは驚きの表情を見せていました。
職種の内訳についても詳しく紹介され、エンジニアが47.4%を占める一方で、事業開発、営業、PR、クリエイティブ、コーポレートなどの多様な職種でも活躍している点に、多くの生徒が熱心にメモを取っていました。高校生たちは、宇宙業界で実際にどんな人が働いているのかという点に非常に興味を持っていました。これに対し、天地人では文系・理系を問わず、さまざまなバックグラウンドを持つ人が活躍できることを紹介。
また、天地人の具体的な成果として、2025年に自社衛星開発プロジェクト「Thermo Earth of Love」を発表したことや、天地人コンパス宇宙水道局の累計契約自治体数が40を突破したことなども紹介しました。高校生にとって宇宙産業はまだどこかSFの世界のイメージがありますが、青木さんの説明を通じて、それが身近なビジネスとして成立していることを実感してもらえたようです。
宇宙産業全体についても触れられ、2021年から2040年には約3倍の150兆円を超える市場拡大が見込まれること、その7割以上が衛星産業であることなど、業界の将来性についても説明されました。高校生たちはこの成長性に驚きながら、将来のキャリア選択の参考にしているようでした。
次に、新潟県の地域課題を衛星データで解決することを目指した体験型ワークショップ「Save Niigata Project」を実施しました。高校生自身が主体的に考え、議論し、発表する学習体験を通して、衛星データの可能性をより身近に感じてもらうことを目指しました。
本ワークショップは、事業開発インターンの寺田さんが担当しました。
ワークショップでは、新潟県が抱える現実的な課題として3つのテーマが提示されました。「①人口減少と高齢化」では、若者の都市流出により空き家や耕作放棄地が増加し、除雪や通院支援などの生活維持が困難になっている現状。「②地域経済の活性化(観光・商業)」では、四季の魅力ある新潟でも旬の情報を活かしきれず、観光客や地域イベントの活性化が難しい課題。「③自然災害への備え」では、豪雪・豪雨による交通・物流の停止や河川氾濫など、災害リスクが日常化している問題が取り上げられました。
高校生たちは「Save Niigata Project メモシート」を手に、まず気になった課題について「どんな課題?」を付箋で書き出すところからスタートしました。その後、「誰の」「どんな課題」をイメージしながら事業アイディアをまとめる作業に移行。メモシートには3つのチェックポイントが設けられており、「1. 誰の困りごと?」「2. 宇宙視点で地上の人の目ではなく、宇宙から見る意味があるか?」「3. 本当に実現できそうか?」を常に意識しながらアイデアを練ることができるようになっています。
高校生たちの集中力と創造性は目を見張るものがありました。各グループで活発な議論が交わされ、衛星データの特徴である広域性、継続性、抗堪性、同報性、越境性といった概念を実際の課題解決に結びつけようと真剣に取り組む姿が印象的でした。自分たちで問題を発見し、解決策を考え、それを他の人に伝えるというプロセス全体を体験することで、高校生たちの目がみるみる輝いていくのが分かりました。
最後のシェアタイムでは、各グループが考案したユニークなアイディアが発表されました。
衛星データを活用して佐渡島に人を呼び込むアイデアや、積雪状況を考慮した効率的なルート提案システム、農業や廃校活用など、素敵なアイデアが次々と生まれました。
最後に、寺田さんから「宇宙はもう、遠い世界じゃない。今日のアイディアが、将来本当に実現するかもしれない」というメッセージを高校生たちへ送り、これからの可能性への期待が込められました。
ワークショップ終了後は、オフィスツアーと質疑応答を実施。
オフィスツアーでは、シェアオフィスの見学とともに、自治体応援部の白坂さんが天地人コンパスを使って新潟県の衛星データを実際に見せてくれました。
高校生たちは自分たちの住む新潟県が宇宙から撮影された画像や、地表面温度、積雪リスクなどのデータが可視化される様子を目の当たりにし、衛星データがいかに身近な存在であるかを実感していました。また、シェアオフィスという高校生にとって馴染みのない働き方や、エンジニア、デザイナー、事業開発担当者が同じ空間で協働する光景は、高校生たちにとって新鮮な発見だったようで、メモを取りながら熱心に見学している姿が印象的でした。
質疑応答セッションでは、「衛星データはどのような防災、減災に活用されていますか」「人工衛星は今後どのような分野で活用されることが見込まれますか」といった技術的な質問から、「ベンチャー企業ならではの苦労ややりがい」「社員の1日のスケジュール」といったキャリアに関する質問まで、幅広い関心が寄せられました。
今回の企業訪問を通じて、高校生たちの宇宙産業に対する認識が大きく変化していく様子が、非常に印象的でした。「衛星データがこんなにも身近で実用的なものだとは思わなかった」「宇宙の視点から見ることで、今まで気づかなかった解決策が見えてきた」といった感想からも、宇宙を“自分ごと”として捉えるきっかけになったことが伝わってきます。
未来ある高校生たちの視点が変わる瞬間に立ち会えたことは、私たちにとっても大きな励みとなりました。
今日生まれたアイデアが明日の現実となる可能性を秘めた宇宙技術の世界で、地域課題解決から始まった小さな一歩が、やがて地球規模の課題解決へと発展していくことを願っています。
(記事作成:事業開発インターン 寺田胡桃)