グローバルエンジニアリング 総務部の山本です。
以前の記事では、福岡本社に設置しているBCP対策設備として、蓄電池についてご紹介しました。
停電が発生した場合でも、当社の重要業務を担う需給管理センター、通称DNCが稼働を続けられるようにするための設備です。
今回はその“第二弾”として、新たに導入した非常時用の通信設備についてご紹介します。
導入したのは、KDDI提供の Starlink Business です。
簡単に言うと、通常のインターネット回線が使えなくなった場合でも、衛星通信を利用してインターネット接続を確保するための設備になります。
1.電気だけでは、業務は続けられない
BCP対策というと、まず思い浮かぶのは「停電対策」かもしれません。
実際、当社でも福岡本社 事務所内に蓄電池を設置しており、停電が発生した場合でも、DNCを中心とした重要設備へ電力を供給できるようにしています。
ただ、電気が確保できればそれで十分かというと、そうではありません。当社に限った話ではありませんが、業務の多くは通信環境を前提として成り立っています社内システムへのアクセス、各種クラウドサービス、関係先との連絡、情報収集等。どれも、インターネットにつながっていることが必須です。
つまり、停電への備えと同じくらい、通信障害への備えも重要になります。
大規模災害の際には、通信事業者側設備の不具合、回線の混雑などにより、平時に利用しているインターネット光回線や携帯電話回線が利用しづらくなることも考えられます。
そのような状況でも、必要となった際の業務継続を後押しできるよう、衛星通信を活用したバックアップ回線を準備することにしました。
2.リニューアル工事の裏側で、実は準備していました
今回のStarlink Business導入は、福岡本社のリニューアルプロジェクトとも深く関係しています。
以前の記事でもご紹介した通り、福岡本社は大規模なリニューアル工事を行いました。
壁や床を撤去し、レイアウトを見直し、オフィス全体を大きく作り替える。
普段であれば簡単には触れない床下や配線まわりにも手を入れる、かなり大がかりな工事でした。
そして、このタイミングを逃す手はありませんでした。
実はこのリニューアル工事の際、床材が貼られる前の段階で、屋内通信設備側からアンテナ設置予定エリア(屋外)まで、Starlink Business用の専用線をあらかじめ敷設しておきました。
通常時に頻繁に使うものではありません。
むしろ、できれば使う機会が来ない方がいい設備です。
それでも、いざ必要になったときに「ケーブルをどう引くか」「どこから外に出すか」「設置場所まで届くか」と慌てるのでは意味がありません。
非常時に使うものだからこそ、いざという時に“すぐ使える”環境を作るため、オフィスをより良くするための工事の裏側では、将来の非常時に備えた“見えない工事”も進めていた、というわけです。
3.非常時、アンテナを屋外に設置します
Starlink Businessは専用のアンテナを屋外に設置し、そこから衛星との通信を確立し、インターネットへの接続路を確保します。
当社の場合は常設はせず、非常時のみ持ち運び可能なStarlinkアンテナを所定の位置(屋外)まで持っていき、事前に引いておいた専用線と接続。電源は屋内(事務所・蓄電池)側のものを利用する想定です。
もちろん、通常のインターネット回線が問題なく使えている状況で、わざわざこの設備を使うことはありません。
あくまで、通常回線が使えない。
携帯回線やテザリングも安定しない。
それでもDNCとして業務継続が必要になる。
そういった非常時のための、バックアップ手段です。
災害時には、想定通りに物事が進むとは限りません。
だからこそ、選択肢を一つでも増やしておくことが重要だと考えています。
「電気がある」だけでは足りない。
「通信できる」状態も確保する。
今回の導入は、福岡本社のBCP対策をもう一段階進めるための取り組みです。
4.最後に
今回の設備は、リニューアル後のオフィスを見渡しても、ほとんど目に入りません。
新しくなったエントランスや、会議室、広くなった執務スペースのように、ぱっと見て分かる変化ではありません。むしろ、普段は見えないところにあります。
床下に通した専用線。
非常時にだけ取り出すアンテナ。
通常時には静かに待機している機材一式。
ただ、BCP対策とは本来そういうものなのかもしれません。
普段は目立たない。
使わないまま保管されている。
日常業務の中で意識することも、ほとんどない。
それでも、万が一のときに「準備していてよかった」と思えるかどうか。
そこに意味があります。
当社は電力に関わる会社として、非常時であっても守らなければならない業務があります。非常時も会社としての役割を果たせるよう、できる備えを一つずつ積み重ねていく。
今回のStarlink Business導入も、その積み重ねの一つです。
とはいえ、こうした設備を実際に使う日が来ないのが一番です。
願わくば、これからも出番がないまま、
「備えとしてそこにあるだけ」の存在であり続けてくれればと思います。