こんにちは。ブルーモ証券の代表を務める中村仁です。
ブルーモ証券は、2026年7月24日から、ウェルスマネジメントサービスを正式に開始しました。アドバイザーがお客様に伴走し、資産運用だけでなく資産全体の課題に向き合っていく、対面を含めたサービスです。
オンライン証券として始まった会社が、なぜ人を介したウェルスマネジメントに踏み出すのかーー
そう受け取られる方も多いと思います。
実際、この問いは私自身が創業以来ずっと考え続けてきたものでもあります。
結論から申し上げると、これは思いつきではありません。
昨年のブラックロックとの提携を起点に、私たちは資産形成アプリからウェルスマネジメントへと事業の重心を移してきました。
今回のウェルスマネジメントサービスの開始は、その延長線上にある必然の一歩です。
現在はまさにブルーモ証券にとって「第二創業期」と呼べる時期です。
届ける相手も、届け方も、組織の形も、創業時とは別の会社になろうとしている自覚があるからです。
この記事では、なぜ私たちが対面を含むウェルスマネジメントに向かうことにしたのか、そして日本の資産運用の何を変えたいと考えているのかを、できるだけ率直にお伝えしたいと思います。
「相談したい」という声の大きさが、私たちの方向を変えた

きっかけは、思いのほか具体的な出来事の積み重ねでした。
昨年末、私たちは資産運用のご相談窓口を開きました。
1,000万円以上のまとまった資産の運用をご検討されている方に絞った、決して間口の広い設計ではありません。
それでも、想像を大きく超える数のお問い合わせをいただきました。
そこで痛感したのは、「誰かに相談したい」という需要が、日本にはまだ手つかずのまま残っているという事実です。
オンラインで完結する時代だと言われながら、実際には、話を聞いてほしい方がこれほどいらしたわけです。
一方で、面談を重ねるうちに、私たちのやり方の限界も見えてきました。
オンライン面談を一度実施して、そのときの疑問にお答えするーー
それ自体は喜んでいただけるのですが、資産運用の悩みというのは一度の会話で解消するものではありません。
運用を始めたあとにこそ、相場が動いたとき、家族の状況が変わったとき、まとまった資金が必要になったときと、判断を求められる場面が続いていきます。
むしろ運用開始後に継続して関わることのほうが、はるかに大きな付加価値になるはずだと考えるようになりました。
さらに、富裕層のお客様からのご相談が増えるにつれ、証券会社としての資産運用の提供だけでは解決できない課題にも直面しました。
保有する不動産をどう扱うか、事業をどう次の世代へ渡すか、相続にどう備えるか。いずれも運用の話と切り離せないのに、運用商品を用意するだけでは何ひとつ前に進みません。そして、こうした課題をシステムだけで解くことは、率直に申し上げて無理でした。前提が一人ひとり違いすぎるのです。
私たちに期待して相談に来てくださった方に、きちんとお応えしたい。
この一点で、人を配置してウェルスマネジメントを本格的に提供する決断をしました。
事業計画から降りてきた戦略ではなく、目の前のお客様からいただいた宿題に応えた結果だったと思っています。
日本の資産運用に、人間のアドバイザーが足りていない
もう少し長い時間軸の話もさせてください。
私は2022年に、「日本経済のリスクから個人を守る金融インフラをつくりたい」という想いでブルーモ証券を創業しました。
この想いは、いまも全く変わっていません。
ただ、創業時にその手段としてオンライン証券を選んだのには、はっきりした理由がありました。
対面営業に、良いイメージを持てなかったのです。
情報格差を背景に、お客様にとって必ずしも有利ではない商品を売り込んでいく——そうした「証券営業」の話を耳にするたび、私がそれまで生きてきた社会、つまりクライアントのために最善を尽くすプロフェッショナリズムの世界とは、あまりにかけ離れていると感じていました。
ならば人を介さない仕組みで、誰にとっても公平な運用を届ければよい。
そう考えるのは自然なことでした。
けれども、実際に証券会社を経営してみて、見え方が変わってきました。
いま日本で資産運用に本当に悩んでいるのは、退職を控えた世代や高齢世帯、そして富裕層の方々です。運用の知識だけでは足りず、家族の事情や税務、不動産、事業といった要素が絡み合う。そこには、どう考えても人間のアドバイザーが必要でした。アプリの使いやすさでは埋められない領域が、確かに存在していたのです。
日米の差も気になっていました。
米国では富裕層の7割以上が投資アドバイザーを利用しているといわれますが、日本ではアドバイザーという職業そのものがほとんど普及していません。
一方で日本の家計金融資産のおよそ半分は、いまも現金・預金のまま置かれています(日本銀行「資金循環統計」)。
この二つは、無関係ではないのではないか。相談できる相手がいないから、判断を保留したまま預金に置き続けている——
私にはそう見えるようになりました。
目の前のお客様にお応えしたいという動機に、こうした社会的な大義が重なりました。だからブルーモ証券として、投資アドバイザー領域・ウェルスマネジメントに本格的に進出することを決めました。
かつて距離を置いた領域に、自分たちのやり方で正面から入っていく。そういう決断です。
新興のオンライン証券が、あえてアドバイザーを始める意味
この問題意識を持ってから、私は1年ほど、日本のアドバイザー業界の方々とお付き合いを重ねてきました。
志のある先輩方にたくさん学ばせていただき、心から尊敬できる方に何人もお会いしました。
業界に対して抱いていた漠然とした印象は、この過程でかなり書き換えられたと思います。
同時に、驚いたこともありました。
日本のアドバイザーの業務実態です。
四半期ごとのリバランス作業に膨大な時間を使っていたり、証券会社のシステムの不備を人手で補うために工数を取られていたり。
要するに、お客様への本質的な価値提供とは関係のないところで、優秀な方々の時間が削られていたのです。
米国は事情が違います。
TAMP(Turnkey Asset Management Platform/アドバイザー向けの運用・管理プラットフォーム)が発達し、その周辺にも数多くのソフトウェアが存在します。結果として、少ない運用工数で付加価値の高いアドバイザリーを提供できる。この環境前提の差が、日米のアドバイザー業界の差の相当部分を説明しているように思いました。
しかも米国では、この効率化がさらに加速しています。
直近では、私のスタンフォード時代の同級生が、AIを活用したアドバイザー向けCRMツールで120億円以上を調達しました。
注目したいのは、米国でも議論の中心が「AIによってアドバイザーは不要になる」ではなく、「AIによってアドバイザー業務を効率化する」に置かれている点です。
人が担うべき部分は残る。だから、その周りを徹底的に効率化する。
この整理は、私の見立てとも一致します。
そして、ここに私たちの立ち位置があります。
ブルーモ証券は開発チームを抱えるテック組織です。必要なものがあれば、自分たちですぐに作ってしまえる。
レガシーなシステムを前提とした日本の非効率なアドバイザー業務環境は、そうやって変えられるのではないか——
AI時代においては、この違いがとりわけ大きく効いてくると考えています。
もちろん、外部のアドバイザー向けにシステムを提供するだけ、という選択肢もありました。それでも自分たちでウェルスマネジメントを手がけることにしたのは、ユーザーを深く知り、本当に必要とされるものを作りたいという組織のカルチャーがあるからです。
まず自分たちでやってみる。
そのうえで、AIとシステムで真に効率化されたオペレーションとはどういうものかを定義する。
順番として、これが正しいと判断しました。
私たちが目指すウェルスマネジメントの理想形
では、どんなサービスを目指しているのか。
私たちがつくりたいのは、中立なアドバイザーがお客様の資産運用・資産管理に伴走する、課題解決型のウェルスマネジメントです。
お客様に商品を売るのではなく、アドバイザーを通じた「資産の悩みの解決」そのものをサービスとしてお届けしたい。ここが出発点です。
そのために、報酬の形にはこだわりました。
金融や資産運用業界の担当者が「営業」ではなく「アドバイザー」だと受け止められるためには、専門的な知見を提供し、その対価としてお客様と利害の向きが揃った報酬を得られる構造が必要です。
だから私たちは、取引ごとのコミッションではなく、お預かり残高に基づくアドバイザー報酬を中心とした料金体系を採用しています。
お客様の資産が育つことと、私たちの収益が増えることが同じ方向を向く。
この一致が、信頼の前提だと考えています。
提供のスタイルは、お客様のタイプによって変えるべきです。
そこで、二つのプランを用意しました。
ひとつはアドバイザーコースで、プレリタイアからリタイアメント層の資金計画サポートを中心に据えたものです。
もうひとつはプライベートバンキングコースで、富裕層の複雑な資産課題を、事業承継やM&A、次世代への承継まで含めて一緒に考えていくものです。
そして、アドバイザーが高い付加価値を発揮するためには、システムとAIによる業務効率化が欠かせません。ブルーモ証券は「AIネイティブ証券会社」として、アドバイザー業務そのものを再定義していきます。これによって、これまで一部の超富裕層にしか提供されてこなかった水準のサービスを、より広い方々にお届けしたいと考えています。
私たちが一番大切にしていることをお話しします。
お金の課題は、本当に難しいのです。税務会計だけがわかる税理士・会計士にも、法務だけがわかる弁護士にも、ライフプランだけを作れる保険の営業担当にも、市場と金融商品だけがわかる証券営業にも、解けない問題があります。
個別の専門知見はAIで手に入るようになる時代です。
だからこそ希少になるのは、それらを総合的に判断できるプロフェッショナルです。
ブルーモ証券のウェルスマネジメントで提供したいのは、まさにそこだと考えています。
今後の業界構造の変革に、一石を投じたい
最後に、日本の金融業界では、対面での対応が入るとまだコミッション型の営業が主流で、いかに手数料を見えにくくするかという方向に工夫が注がれてしまう場面があります。
この文化が続く限り、アドバイザーが専門職として尊敬される世界は、なかなか訪れないでしょう。
私たちは自社の活動を通じて、これを少しずつ変えていきたいと考えています。

正面から、対人サービスにはこれだけの手数料がかかると申し上げる。
そのうえで、それでもこの課題解決に意味があると思っていただけたなら使ってください、と言える——
そのようなウェルスマネジメントを広げていきたいのです。
私の前職であるマッキンゼーは、非常に高価な対人サービスでした。それでもクライアント企業は依頼を続けていました。
価値が明確で、それが正面から提示されていたからです。
ウェルスマネジメント業界でも、そのような存在になりたいと思っています。
もうひとつ。
これまでお付き合いをいただいてきた中には、志のあるアドバイザーの方や、アドバイザー組織があります。そうした方々には、私たちのプラットフォームを提供し、同志として一緒に資産運用業界を変えていきたいと考えています。自社だけで完結させるつもりはありません。
一つ一つの課題解決の積み重ねと、業界文化の革新。
その先に、日本の巨大な家計金融資産が動き出すようなムーブメントが起きることを期待しています。
第二創業期のブルーモ証券が向かうのは、そこです。
これからのブルーモ証券を、どうぞ見ていてください。
ブルーモ証券株式会社 代表取締役CEO 中村 仁
ブルーモ証券では各職種を積極採用しています。
ぜひご応募ください。
採用ポジション一覧