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【CEO Interview #2】80&Companyの存在意義と第6期の向かう先とは?

2018年10月に創業した80&Company。2023年9月末に第5期が終わりを迎え、第6期からは経営体制と組織構造をアップデートし、大きな変化と共に新しい1年を迎えました。

80&Companyがやるべきことは、ポテンシャルを秘めた企業の潜在能力を最大限に引き出すこと」そう語るのは、CEO堀池さん。

今回は第5期を振り返って思うことや組織体制を変更した理由、80&Companyの「今まで」と「これから」についてCEO堀池さんにインタビューした内容をお話しします。ぜひご一読ください!


堀池 広樹(ほりいけ ひろき)
京都大学薬学部薬科学科中退。
2010年、京都大学在学中に株式会社SAMBARを設立し、学習塾の経営を始める。
その後Web受託開発等を経てゲーム関連メディア事業を開始し、2016年フィリピンに現地法人を設立。2017年、初めての第三者割当増資による資金調達を実行する。
2018年10月株式会社80&Company代表取締役に就任。

ーー第5期が終了しましたが、振り返ってみるとどんな期でしたか?

言葉を選ばずに言うと、第5期は正直失敗したなと思います。

僕はどんな時も、“あの時はあの選択しかできなかった”と思うタイプなので、普段あまり後悔することはないし、「10年前に戻ったらどうしたいですか?」って聞かれても、そもそも戻ってやり直したいとあんまり思わないんですよ。

あの時はあの時で、その瞬間のベストを尽くしていたはずだから、前に進んできて良かったなと思えることがほとんどです。

しかし、この第5期に関してはベストを尽くして良かったなというよりかは、もっと早くに手をつけられたら良かった課題があったと、振り返ってものすごく思っています。

ただ、後悔はありつつも今はそれを解決できる枠組みに向かっているし、ほとんど解決できているので結果的には良かったんですが、もう少し早く決断できるとより良かったなという反省をしています。

だから、第5期は失敗と反省。80&Companyは人と事業のポテンシャルを発揮するということをビジョンに掲げているのですが、世の中を変えるために、まず自分たちが変わらなければいけないと感じました。

具体的には、機能別組織から事業部制組織に移行し、経営体制もアップデートしました

ーー具体的にはどのような反省があるのでしょうか?

組織運営の仕組み・枠組みにおいて、先人の知恵や教えをもっと取り入れるべきであったと思います

今までは「高い能力を持った良いメンバーが揃っているから一人ひとりが各々の形で努力し、ビジョンに向かって進むことで望ましい結果が得られるだろう」と楽観的に考えていました。

しかし、もしこのアプローチが本当に正しいのであれば、その組織にはマネジメントやリーダーシップは必要ないはずです。

個々に任せるなら、それぞれに思惑や企みを持たせて導いていく必要があります。

でも、組織全体や、一つ一つの事業を堀池一人で見なければいけない状況でありながら、すでに自分の能力の限界を超えていて、それぞれにフォーカスできていなかったし、他の人たちに任せているようで任せ切れていないところもありました。

皆がポテンシャルを持っている一方で、適切な指針が不足していたと認識しています

ーー指針が不足していたとは、具体的にどんな状態でしょうか?

数学に例えると、公式や他の事例のように、今の自分が取り組んでることに対して役に立つ定石がどこにあるかを教えてあげれば、自分自身も皆も、もっと高いパフォーマンスを発揮できたのではないかと思います。

最初に抑えるべき基本の型を徹底していなかったことを後悔しています。ただそれは、組織の中に全ての答えがあるものでもないので、書籍だったり他の経験豊富な人たちだったり、その時々で適切な解決策を既に知ってる人たちに協力してもらうという意味での巻き込みが足りていなかったなと感じます

新規事業を進める中では、あらゆる側面で仮説を検証し続けることが事業を成功させる鍵の一つのため、決まった型がほぼ通用しないことが多いです。

その一方組織作りに関しては、自分たちが直面している課題に対して、既に実践されてきた事例が存在し、成功や失敗の教訓が増えています。それにも関わらず、「こういう場合はこうすべき」や「この方向を目指すんだったらこれが必要」といった定石をしっかり把握できていなかったことが今までの課題でした。

ーーだから、経営体制・組織体制を一新したんですね。

そうですね。経営陣がゴールを提示し、1つ1つの事業部がゴールに至るためのあらゆることをサポートする“サーバントリーダーシップ”を発揮する体制に変えました。

その他、「メンバーに何をやってもらいたいと考えているのか?」を明確にすることも、新たな組織体制を構築した理由の1つです。これは、各メンバーの役割や評価基準を明確に定義することを意味しています

これまでは、「何でもやって良いよ」という環境でしたが、その一方で権限が与えられていなかったり、ルールが不明確であったため、結局は言った者勝ちや、やった者勝ちの構造に陥っていました。

このような状況では、活躍できる人の範囲が制限されてしまいがちなので、明確な役割を与えて評価する仕組みが必要だと感じ、新しい形に変革しました。

もう一つの重要な変更点は役割の明確化と近い概念です。今までのような何でもやっていい状態ではすべてをこなさなければならず、結局は中途半端に終わることもあったため、一人ひとりが業界やプロダクトに対する経験・知見を積み上げていける体制が必要であると考えました。

これを解決するために、ビジネスドメイン毎に事業部を分け、メンバーが各事業に特化した経験を積み上げていける仕組みを作りました。

以前は機能別に組織されていたため、とある人はマーケティングに専念するなど、特定のスキルに特化した形でした。しかし、その場合では担当する事業領域が多岐にわたってしまいます。特定のスキルを伸ばしたい場合はそれでも問題ありませんが、80&Companyは一気通貫の事業共創をしているので、その事業におけるビジネスの流れを把握する必要があります。

これを改善するために、事業部制を導入し、事業ごとに組織を分けました。

そうすることで、例えばプロジェクトの中でマーケターが担当する仕事はマーケティングだけではなく事業づくりにあたって必要となる全てのことが対象になります。事業部制を導入することで、特定のビジネスドメインの中で事業開発の知見や経験を積み上げていけるようになりました。

最終的に、会社はその中で働く人々で成り立っています。各メンバーが最大限にパフォーマンスを発揮できることが、パートナーに真の価値を提供できる基盤です。

この新しい組織体制により、お客様にとっても価値提供がしやすい環境が整ったと感じています。

新しい組織の枠組みにおいて、これまで以上に効果的なサービスやプロダクトを提供できる可能性が高まると信じています。

ーー第6期はどのような1年になりそうですか??

第6期は(現時点で)最適化された組織構造で進めているため、80&Companyがポジショニングしている市場やマーケットの中で企業価値を提供できるかどうかという点が、本質的に問われると思っています。

80&Companyは、「他の誰も手をつけていないが、誰かが取り組むべき重要な課題」に取り組んでいるため、一貫して右肩上がりの業績を目指せる組織だと考えています。取り組むべき課題は膨大にあって、今はまだその一部しか着手できてないので、今後も必然的に事業の規模を拡大する必要があります。

ただ、これまで我々は仮説の検証に十分な焦点を当てていませんでした。具体的には、我々が行おうとしていることが市場で需要があると感じていたにも関わらず、それを実現できていなかった上に、実現した先の事業の展望がどうかを確認する段階に至っていませんでした。

第6期ではここにしっかりと取り組みます。これまでのように顧客の事業を0→1で築いていく積み重ねではなく、ある程度の規模でビジネスを試行し、その結果をこの1年で評価していく方針です。

したがって、今期において新しい方向性を感じた場合、事業内容が大きく変わる可能性もあると思います。この検証は既に少しずつ進展している段階で、研修と事業開発の組み合わせや、オープンイノベーションを推進するパートナーシップ構築など、発展可能なモデルを模索しています。

総括すると、第6期は真の意味での仮説検証、価値の実証、80&Companyの存在意義、そしてこの企業が本当に必要な存在であるかどうかの評価が行われる1年になると思います。

ーー80&Companyはどんな価値を持っていて、誰に届いて欲しいと思っていますか?

いくつかパターンがあるので、どんな価値があるかというのは一旦置いておきます。というのも、80&Companyが行っていることは、ポテンシャルを秘めた企業の潜在能力を最大限に引き出すことであり、そのために提供すべき価値は顧客によって大きく変わります。

なので価値を一言で表すのは難しいですが、「誰に」という点に焦点を当てると、ポテンシャルはあるけれどもそれを上手く発揮できていない状況の人や企業だと思います。

我々が関わることで価値を十分発揮させられそうな企業がある一方で、そうではない企業ももちろんあります。その場合、価値を発揮させることができそうな企業にだけ関われば良いわけではないです。

もしかしたら後者の方がポテンシャルがたくさんあって、そのポテンシャルが発揮されたときに、世の中に対して与えるプラスの影響が大きそうな場合、80&Companyとして価値を引き出していく必要があります。自分たちの持ってる武器に固執すると、本来の目的を見失うことがあります。

つまり「この人たちの価値は自分たちには創出できないからやらない」というのは良くなくて、我々はポテンシャルを持っている事業者のポテンシャルを引き出すことが目的なので、ポテンシャルを発掘できるように抗わないといけません。

80&Companyがポテンシャルを引き出せなくても、「できない」と判断した時点で、どういう人や企業だったらできるのかを考えなくてはならない

80&Companyに加えて「どんな要素を持ったステークホルダーがいればこの企業のポテンシャルを発揮することができるのだろうか」と考え、探して、その方々を含めた事業開発をすべきだと思います。

今までは、ポテンシャルを発揮できそうな企業はもちろん、80&Companyだけでは難しそうな企業も頑張って支援しようとしてきました。しかし、価値を創造するということを目的に置いてるのであれば、他の動き方もあったはずです。自分たちが頑張れば成し遂げられると思いすぎていたので、もっとベストな方法を模索すれば良かったなと思っています。

これからは、我々だけではポテンシャルを発揮させることが難しそうな企業に対して、我々と別の要素を持っている企業を引き合わせていくことが、80&Companyのコアな存在価値になると思っています。もちろん片方の企業だけが良い思いをするような構造は望んでいないので、両社にとって良い価値が生まれるような、相乗効果のある状態に持っていくことを前提としています。

また、これは80&Companyがいるからこそできることです。本来だと、どの企業もそれぞれの目的があって別々にそこに向かっていくはずですが、80&Companyが仲介することで、第3のゴールのように、両方が目指せる共通のゴールを掲げて一緒に向かうことができます。

大義を掲げて同じ方向を目指し、一つの大きな取り組みとして考えていく。我々だけではポテンシャルを発揮させることができない企業を見つけて、オープンイノベーションによって事業の価値を引き出していくことが80&Companyの存在価値だと思います。

ーー今後、80&Companyをどんな人たちが集まる会社にしていきたいですか?

私たちが求めるのは、人を動かす力を持つ人々です。先ほども述べたように、大義を掲げ、複数のステークホルダーを巻き込んで共通の目標に向かって進むためには、人を動かすスキルが不可欠だと考えています。

このスキルにはテクニックも当然必要ですが、同様に人間性も極めて重要です。なぜなら、人を動かすためには、その人が人間としての価値観を理解し、誠実であることが不可欠だからです。

ただし、お金だけで人を動かす状況に陥ると、本質的な課題に対処することが難しくなります。全ての意思決定が経済的合理性に基づいていることが重要ですが、目の前の短期的な利益だけを追求する場合、課題解決の本質を見失う可能性があります。

例えば、長期的にはメリットがありそうだけど、短期的にはメリットが見えない時に、目の前の人々を同じ方向に進ませたい場合は、短期的な利益を提示できたら楽ですよね。「これをやってもらうだけで儲かるんで」と言ったらそれで済むので。でも、そういうことだけじゃないんです。長期的にはメリットがあるということを数字や定量的にも説明するべきです。

世の中の偉人たちって、皆合理的なメリットを提示して多くの人々を動かしてきたわけじゃないんです。実際に人を動かす人というのは、共感される人、熱意がある人、応援される人、だと思っています。80&Companyのメンバーに求めるのも、人を感動させる魅力や熱意を持つことです。それがないと、パートナーとのプロジェクトで役割を果たすことが難しくなってくるでしょう。

また、メンバーには、その人の一言や一日の行いで世の中が本当に変わるかもしれないという使命感を持ってほしいですね。

80&Companyは他の企業をリードする立場にあるため、個々の言動や行動はこの会社の価値や未来に大きな影響を与えます。ただし、その責任を全て一人が負う必要はありません。各事業部には代表がいますし、プロジェクトにおいても責任は分散されるべきです。それぞれが役割分担し、自らの範囲内で責任を果たすことが求められますが、その取り組みが素晴らしいものになるか、または破綻するかは、個々の行動次第です。

自分が今からどのように動くかによって、世の中が大きく変わる可能性があることを認識して、全力を尽くしてもらいたいです。

目の前の企業に利益をもたらすことだけが存在意義ではありません。その人の成長や貢献も重要ですが、社会の一員として、80&Companyという大きな役割を担う組織の一員として、自らがどれだけ大きな使命を果たしているかを認識し、行動して欲しいと考えています。

そのためには、自らにどんなミッションを与えるかが重要で、そのミッションが大きければ大きいほど結果もそれに見合ったものになると思うので、より大きなミッションを背負って欲しいなと思います。

ーーターゲットとする市場や業界についてはどう考えていますか?

戦っているマーケットにお客様がいない状況では、どれだけ頑張っても売り上げに結びつくことが少なく、結局マーケットがすべてだということを第5期に痛感しました。

80&Companyでも、事業を立ち上げる際はきちんとペルソナを置いていますが、どんなに素晴らしい事業を作っても、お客様がいなければ収益に繋がらないので、やはりマーケット志向を持つ必要があります。お金を稼ぐ人というのは、努力した人はもちろんのこと、それに加えてマーケットが存在する場所で地位を築いた人だと思います。

最近、仕事でよく地方に行くんですが、その土地のものをそこだけで売ろうとしても限界があると気付きました。東京や大阪などの都会に比べると地方はマーケットが小さいので、その地域だけではなく日本全国や世界に向けて発信していかないといけない。

そうすると、その地域の企業が付き合うべき企業は、日本全国や世界にマーケットを持っている、もしくはマーケットを作れる企業になってくるんですが、ほとんどの地方にはそういった企業はいないんです。

だからその間に立つ価値が出てくると思いますし、そういう存在になっていく必要があると思っています。ポテンシャルがある人たちをマーケットに連れていく、つまりお客さんがいっぱいいるところに連れていく。それは物理的にだけじゃなくて、事業展開もそうです。

また、新規事業においては、これからどんどん大きくなっていくようなところや、今はないけどこれからできていく潜在的なマーケットもあると思います。そういうところに単独ではアクセスできない事業者はたくさんいるので、それを事業連携や企業間連携で達成していくのが我々の存在価値です。

ーーこれから特に力を入れていきたい事業領域はありますか?

事業部化しているDX、教育、Web3領域は全て力を入れていきたいです。また、そこに加えてinnovation事業部もありますが、これは新しいタネ、可能性を見つけて育てていく事業部なのでこれからどんどんやるべき領域は増えていくと思います。

重要度に加えて市場があるかどうかを考慮しても、なお重要だと思えるもの、自分たちの強みが生かせられると思っているものを事業部として置いています。

会社として注力していくのは、新しいマーケットを作っていったり、新しいマーケットにアクセスできるようにしていく部分です。今までIT関連のプロジェクトが多かったんですが、世の中の困りごとが全てITで解決できるわけではないので、IT以外も支援できるような枠組みを作っていくことが注力すべき点だと思います。

まだまだ第6期は始まったばかりですが、80&Companyがこれからどんな方向に進むのか見届けていてください。






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