アクシバースが創業して4年を迎えた2019年2月、勤務シフト自動作成サービス「Shiftmation」が本格リリースして間もない時期に出資された、ベンチャーキャピタル「Archetype Ventures」のManaging Partnerである福井俊平さん。以来3年間、隔週でアクシバースとのミーティングを開催し、成長を支援いただきました。40社を超えるスタートアップに投資してきた福井さんの眼に、アクシバースはどう映っているのか。事業性や経営者としての能塚社長の評価、今後の期待など、投資家から見た思いをストレートに語っていただきました。
(インタビュアー:斉藤 泰生)
B2Bのテックスタートアップ企業に特化したVC
━━本日はありがとうございます。はじめに福井さんがどんな方か、経歴を教えていただけますか。
新卒で2005年にNTTデータに入社して3年目のときに、仲間と週末起業の形でビジネスを初め、気づいたら起業していたのが2008年です。紆余曲折を経て売却し、それからMBAを取ろうと米国の大学院に留学しました。在学中に、NPO主催のハリウッドでの日本映画祭を立ち上げたり、シリコンバレーのベンチャーキャピタルでインターンをしたりして、2度目の起業をしたころに、大企業の新規事業戦略などを支援しているアーキタイプ代表の中嶋淳氏と知り合い、2013年に中嶋氏とともにArchetype Ventures を立ち上げて今に至ります。
━━Archetype Ventures の投資方針を教えてください。
これは明確で、B2Bでかつテクノロジーをもったアーリーステージのスタートアップに出資するベンチャーキャピタルです。ファンド組成時に明言していますので、創業時からその方針を守っています。
世界観への共感と、人口減少する日本で多様化する働き方にマネジメントで必要なサービス
━━2019年2月にアクシバースへ出資されましたが、きっかけは何でしょうか。
社長の能塚さんと、ある仕事で知り合って、「自分でもこういう会社をやっているんです」という話を聞いたのが最初でした。プロダクトがあって、売り上げがまだない、いわゆるシードとシリーズAの中間の、起業家からすると一番苦しいとき。その時期をお手伝いするのが私たちのコンセプト、コアにしているものです。投資を決めた理由は、成し遂げていこうとする世界観に共感できたことですね。確かにその通りだし、そうなるべきだと思いました。
━━どういうところに共感されたのですか。
人口が減っていく日本では、人が効率的に働けるかどうかというのは大きな問題です。雇用形態も、終身雇用や就社の概念は間違いなく崩れていきます。専門職を中途採用するジョブ型雇用も広がってきて働き方がより多様化していけば、マネジメントをする人たちの課題が必ず顕在化します。人の手や頭だけでの管理に限界がきます。現在は勤務シフトを自動作成するサービスですが、他のいろいろな情報と連携しながらのシフトの最適化ができるようになっていく期待があり、働く側、働いてもらう側両方にとって必要なサービスになるだろうと思いました。
━━隔週のミーティングをこの3年間開催されていると聞きました。アクシバースという会社にはどんな印象をお持ちですか。
能塚さんとコミュニケーションを取ることが多いので、私にとってはアクシバース=能塚さんなんですよ。今年は一気に採用を増やしていくので、組織化が進んでいけば、会社としてのイメージが出来てくると思います。
自分を裏切らない誠実さがある
━━では、能塚社長にはどんな印象をお持ちでしょうか。
堅実、堅調、まじめ。そういう印象です。それはとても大事なことだと思います。スタートアップの起業家と話すときに、自分自身に嘘をつかない人かどうかを見ています。やると言ったのにやらない。人のためにと言いながら自分のために動く。自分が語ったビジョンに、自分で嘘をつく。こういう人は必ずどこかでほころびが出ます。ビジョンや営業力、人を巻き込む力など経営者に必要な要素を言い始めたらきりがないですが、一番大事なのは、自分が語った世界観を自分で裏切らないことです。その誠実さは、能塚さんにはめちゃめちゃあります。
━━そんなにありますか。
基本的にやらないことをやるとは絶対に言わない人なので(笑)。率直に言って投資家というのは、その会社のことをすべて理解しているわけではないので、間違えてアドバイスをするときもあるんです。事業が伸び悩んでいるときは私たちにも焦りがあるから、こうしたらいいんじゃないかと、時に強く起業家に言うことがあります。そのときに、並みの起業家であれば、言われた通りにやればいいかなとか、この場は同意して受け流そうとかするんです。でも能塚さんは、やることはやる、やらないことはやらないとはっきりと言う。やらないもどかしさを感じるときは正直ありますが、やっぱりそれが誠実さなんです。苦しいときほど人は易きに流れます。そういうときにこそ踏ん張れるかどうか。彼はブレない人です。
誰が見ても明らかな成長のフェーズに
━━出資から3年が経ちましたが、この間の変化をどのようにみていますか。
売上のチャートには表れない、読み取れない成長がこれまで続いていましたが、2021年の年末あたりから、誰が見ても明らかな、売上に跳ね返ってくる成長のフェーズに入ってきたと思います。いろいろな会社を見ていますが、その跳ねる瞬間って突然来るんです。お客様に愛されるプロダクトをつくり、それをお客様にどうやって売り込めば良いのかがわかってきて、社員の自信が組織の自信になって、その自信がお客様にも伝わるようになる。するとある時、パカッと成長角度が変わる瞬間が訪れるんです。一度跳ねると会社のフェーズが変わるので、起業家のマインドも視座も一つ上がります。それが昨年末に来た感じがします。そのことは誰よりも能塚さんが一番実感していると思いますよ。
━━ではご本人にも聞いてみましょう。能塚社長は実感されていますか。
能塚 確かに実感しています。Shiftmationのサービス開始からこの3年間、最初はプロダクトを磨き込んでいくことに、次にお客様と接するカスタマーサクセスの成熟度を増すことに力をかけてきました。マーケティングに関しても、どういう人たちのどんな課題をShiftmationなら解決できるか、それが明確に見えてきました。福井さんからみれば、もどかしいところもあったと思いますが、これまでの取り組みがある程度、実ってきたのを感じます。10人ほどの組織を、これからの1年間で3倍くらいに人も増やす予定です。私も視座を一段上げていかなければ、と思っているところです。
人員3倍増を目指す今年、組織づくりに期待
━━福井さんに伺います。これからのアクシバースにどんなことを期待しますか。
組織づくりですね。今年の一番大きなチャレンジになると思います。アクシバース=能塚さんでこれまで来ましたが、今後は組織力でプロダクトをつくり売っていく、そういうフェーズになります。懸命に現場で頑張ってきた起業家にとっては、人に仕事を任せることは結構苦痛なものです。自分でやればできるのにと思ってしまうからです。でも、現場の権限移譲を進めないと、人も組織も育ちません。それを苦手とする起業家はいますが、能塚さんはできると思います。1個1個やるべきことを積み上げていくタイプの経営者ですから、心配はしていません。
━━2022年はかなりの人員増を考えているとのことでした。アクシバースで働きたいと思う方へ福井さんから伝えたいことはありますか。
私はパーティーでいえば、前夜祭が好きなタイプです。一生懸命準備をしてきて、これから祭りが始まるという、夜明け前のようなワクワク感がいい。アクシバースは今、そのタイミングにあると思います。パーティーが始まってから参加して、ワイワイ楽しむのもいいけれど、パーティーを開く前に内側の人間となって、祭りの手ごたえを味わえるのは面白いと思います。やる気のある人が力を発揮できる局面だと思いますよ。
投資家の福井さんが語るアクシバースの評価はいかがでしたか。勤務シフト自動作成サービス「Shiftmation」事業の拡大や、その先の展開を一緒に取り組んでみたいと思われた皆さまのエントリーをお待ちしています。
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