こんにちは。株式会社リアルアキバ・コミュニケーションズの倉光です。
今回は、仕事をしていて「この人とはまた一緒に仕事をしたい」と感じる人について書いてみようと思います。
仕事をしていると、どうしても「できないこと」にぶつかります。
予算が足りない。
スケジュールが間に合わない。
権利上難しい。
技術的に実現できない。
会場のルール上できない。
必要な人のスケジュールが合わない。
特にエンタメの仕事は、たくさんの会社やクリエイター、タレント、スタッフが関わるので、こちらの希望だけですべてが決まるわけではありません。
だから、「できません」という回答自体が悪いわけではありません。
できないものは、できない。
無理に進めれば、もっと大きなトラブルになることもあります。
ただ、私が一緒に仕事をしたいと思うのは、
「できません」で会話を終わらせない人です。
「できない理由」を説明するだけでは、仕事は前に進まない
例えば、
「このスケジュールではできません」
と言われたとします。
理由を聞けば、確かにその通り。
制作期間が足りない。
人員も足りない。
無理に進めれば品質も下がる。
判断としては正しいと思います。
でも、プロジェクトとしては何も解決していません。
そこで、
「このスケジュールでは難しいですが、内容をここまで絞れば間に合います」
と言ってもらえたらどうでしょう。
あるいは、
「予定していた方法ではできませんが、この方法なら実現できます」
でもいい。
できない理由の先に、できる方法を考える。
この一歩があるだけで、仕事は大きく変わります。
100点が無理なら、80点で実現する方法を考える
企画を考えている段階では、理想があります。
この会場でやりたい。
この人に出演してほしい。
こういう演出を入れたい。
この日に公開したい。
この予算で実現したい。
でも、実際に動き始めると、すべての条件を満たせないことがあります。
そのときに、
「全部できないなら、この企画は無理です」
とするのか。
「何を残せば、この企画の面白さは成立するのか」
と考えるのか。
私は後者を選びたい。
100点の企画をそのまま実現できるのが一番です。
でも、それが難しいなら、
80点でも世の中に出せる方法を探す。
場合によっては、制約があったからこそ、最初の企画より面白い方法が見つかることもあります。
制約は、企画をつまらなくするものとは限らない
エンタメの仕事には制約がたくさんあります。
予算。時間。権利。会場。人員。技術。
こうした制約は、一見すると「やりたいことを邪魔するもの」に見えます。
でも、私は制約があるからこそ生まれるアイデアもあると思っています。
予算が少ない。
だったら、お金をかけずにファンが参加できる仕組みを考える。
会場が小さい。
だったら、その距離感だからこそ成立する企画にする。
出演できる時間が短い。
だったら、その時間に価値を集中させる。
「ないもの」を数えるだけではなく、
「今ある条件で、何ができるか」を考える。
これも企画力の一つです。
「できません」は、ときには必要
一方で、何でも「できます」と言えばいいわけでもありません。
これはすごく大切です。
法律や契約上できないこと。
安全上やるべきではないこと。
タレントやクリエイターを守るために断るべきこと。
品質を大きく損なうこと。
こういうものまで、
「なんとかします」
と言ってしまうのは違います。
以前、契約書もエンタメを守る仕事だという話を書きましたが、仕事には守らなければならないラインがあります。
だから私は、
「できないと言わない人」が欲しいわけではありません。
欲しいのは、
「できないと分かったあとに、次を考えられる人」です。
ここは大きな違いだと思っています。
「できません」ではなく、「Aならできます」
仕事ができる人の返答を見ていると、選択肢を持ってきてくれることが多いです。
例えば、
「その日程では難しいです。ただ、Aなら予定通りできます。Bなら1週間延ばせばできます」
という形です。
これなら、判断する側は選べます。
さらに、
「今回は公開日を優先したいので、私はAがいいと思います」
まで言ってくれたら、もっと判断しやすい。
以前、「仕事ができる人ほど確認が早い」というコラムでも書きましたが、
仕事は、
問題を見つける → 整理する → 選択肢をつくる → 判断する
という流れで進みます。
問題だけを渡すのではなく、次の一手まで考える。
それができる人は、どんな現場でも頼りになります。
「代案を出す」は、相手の仕事まで考えること
代案を出せる人は、自分の担当だけを見ていません。
例えばデザイナーが、
「この仕様では作れません」
と言うだけではなく、
「このサイズなら制作できます」
と提案する。
イベント制作の人が、
「この演出は会場規定でできません」
だけではなく、
「代わりにこの演出なら近い体験を作れます」
と提案する。
営業が、
「先方から断られました」
だけではなく、
「この条件なら再提案できそうです」
と考える。
自分のところでボールを止めず、次の人が動ける状態にして渡す。
これは、これまでのコラムで書いてきた「調整」や「やり切る力」にもつながっています。
できる方法を考える人には、相談が集まる
仕事をしていると、不思議と相談が集まる人がいます。
「あの人に聞けば、何か方法を考えてくれる」
と思われている人です。
必ず答えを持っているわけではありません。
専門外のこともあります。
それでも、
「それは無理ですね」
で終わらせず、
「誰に聞けば分かるだろう」
「別の方法はないだろうか」
「条件を変えたらできないだろうか」
と一緒に考えてくれる。
そういう人には、自然と情報も仕事も集まります。
そして、いろいろな案件に関わるから、さらに経験が増えていきます。
「できる方法を考える」という姿勢そのものが、その人の仕事の幅を広げていく。
私はそう思っています。
相談するときも「できません」で終わらせない
これは若いメンバーにも意識してほしいことです。
上司に、
「できませんでした」
と報告するのではなく、
「この方法では難しいことが分かりました。理由は○○です。代わりにAかBならできそうです」
と相談する。
最初から完璧な代案でなくても構いません。
「自分ではここまで考えたけれど、この先が分からないので相談したい」
でも十分です。
大切なのは、一度自分なりに「どうすればできるか」を考えてみること。
その習慣がつくと、仕事の見え方が変わってきます。
「できない理由を探す人」より「できる条件を探す人」
新しい企画を始めると、できない理由はいくらでも見つかります。
前例がない。
予算がない。
時間がない。
人がいない。
やったことがない。
リスクがある。
もちろん、それらを無視して進めるべきではありません。
でも、できない理由を並べるだけなら、企画は一つも生まれません。
私たちがエンタメの会社としてやりたいのは、
まだないものを、どうすれば実現できるか考えること
です。
だから、
「それはできません」
と言われたときに、
「じゃあ終わりですね」
ではなく、
「では、どうすればできる?」
と考えられるチームでありたいと思っています。
一緒に仕事をしたいのは、「方法」を探せる人
仕事には、できないことがあります。
断るべき仕事もあります。
諦めるべき企画もあります。
だから、何でも無理やり実現することが正しいとは思いません。
ただ、
できないと分かった瞬間に思考を止めるのか。
そこからもう一歩考えるのか。
この差は大きいです。
できません。
だから、Aならどうでしょう。
このままでは難しいです。
でも、条件を変えればできます。
自分だけでは解決できません。
なので、○○さんにも相談させてください。
そんなふうに、次の一手を考えられる人と私は仕事がしたい。
エンタメの仕事には、最初から正解が用意されていません。
だからこそ、
「できるか、できないか」を答える人ではなく、「どうすればできるか」を考えられる人。
そういう人がいるチームから、新しいエンターテインメントが生まれていくのだと思っています。