こんにちは。株式会社リアルアキバ・コミュニケーションズの倉光です。
今回は、企画やプロジェクトに関わる中で感じている、「アイデアを出す力」と「やり切る力」について書いてみようと思います。
エンタメの仕事をしていると、
「こんなイベントをやったら面白そう」
「この人とコラボしたら面白いんじゃないか」
「こういうコンテンツがあったら絶対見たい」
というアイデアが日々たくさん出てきます。
もちろん、アイデアは大切です。
面白い企画のスタートには、必ず誰かの「これ、やったら面白くない?」があります。
ただ、いろいろなプロジェクトを経験してきて、最近はそれ以上に思うことがあります。
いいアイデアを出せる人より、最後までやり切れる人のほうが、実はずっと貴重なんじゃないか。
ということです。
アイデアを出した瞬間が、一番楽しい
企画を考えている時間は楽しいです。
まだ何も決まっていないので、自由に考えられます。
「こんな人を呼びたい」「こんな会場でやりたい」
「こういう演出を入れたら絶対面白い」
可能性はいくらでも広がります。
でも、企画が実際に動き始めると、急に現実がやってきます。
予算はいくらなのか。スケジュールは合うのか。
権利的に実現できるのか。誰が制作するのか。
誰が確認するのか。どこで売るのか。
どう告知するのか。そして、
「そもそも本当に実現できるのか」
を一つずつ詰めていくことになります。
ここから先は、アイデアを出したときほど華やかではありません。
むしろ、地味な仕事の連続です。
企画は「思いついた人」のものではない
仕事をしていると、
「それ、自分も前に考えていました」
という話を聞くことがあります。
それ自体は悪いことではありません。
同じ課題を考えていれば、似たアイデアが出ることもあります。
ただ、仕事として大切なのは、
「誰が最初に思いついたか」より、「誰が実現したか」
だと思っています。
アイデアは、頭の中にあるだけではまだ価値になりません。
企画書にする。社内で提案する。
関係者に相談する。予算をつくる。
スケジュールを引く。必要な人を集める。
そして、実際に世の中へ出す。そこまでやって初めて、そのアイデアは誰かに届きます。
エンタメの仕事では、特にこの「形にするところ」までが仕事です。
企画が決まってからのほうが長い
例えば、イベントをやるとします。
「この企画でいこう」と決まった瞬間は、まだスタート地点です。
そこから、会場を押さえる。出演者を調整する。
契約を進める。チケットを準備する。
告知素材をつくる。台本をつくる。
香盤をつくる。物販を準備する。
スタッフを手配する。当日の導線を考える。
事故が起きた場合の対応を考える。
そして本番を迎える。
本番が終わったら、精算や振り返りもあります。
企画を思いつくまでが1だとしたら、実現するまでにはその何倍もの仕事があります。
だから私は、
「企画を考える人」だけではなく、「企画を最後まで持っていける人」
をすごく大切にしています。
やり切る人は、問題が起きない人ではない
「最後までやり切る」と聞くと、
何でも完璧にこなせる人をイメージするかもしれません。
私はそうではないと思っています。
どんなプロジェクトでも、途中で何かしら問題は起きます。
予定していた人が出られなくなる。
制作物が間に合わない。予算が想定より高くなる。
クライアントから修正が入る。直前で仕様が変わる。
イベントなら、本番当日に想定外のことが起こる場合もあります。
大切なのは、問題が起きないことではありません。
問題が起きたときに、そこで仕事を手放さないことです。
「無理でした」で終わるのではなく、
「では、どうすればできるか」を考える。
自分で解決できなければ相談する。
必要なら人を巻き込む。方法を変える。
それでも最後までゴールを目指す。
そういう人がいるプロジェクトは強いです。
途中から地味になったときに、その人の強さが出る
企画の最初には、人が集まりやすいです。
新しいことを始めるときは楽しいからです。
でも、プロジェクトが進んでくると、
確認。修正。
連絡。資料作成。
スケジュール調整。
発注。チェック。
といった地味な作業が増えてきます。
そして本番が近づくほど、やることは細かくなります。
私は、このあたりからが本当の勝負だと思っています。
面白い部分だけ参加するのではなく、
面倒なところまで自分の仕事として拾える人。
こういう人には、次も仕事をお願いしたくなります。
「自分の担当は終わりました」で終わらない
前回までのコラムでも書いてきましたが、プロジェクトは一人では動きません。
自分の担当作業が終わっても、プロジェクト全体としては終わっていないことがあります。
例えば資料を作った。
そこで、
「資料作りました。以上です」
で終わるのか。
それとも、
「資料を作りました。次は○○さんの確認が必要なので共有しました。○日までに確認いただければ、その後クライアントへ提出できます」
まで考えるのか。
この違いは大きいです。
後者の人には安心して仕事を任せられます。
なぜなら、自分の作業ではなく、プロジェクトのゴールを見ているからです。
やり切ることと、抱え込むことは違う
ここは誤解してほしくないところです。
最後までやり切るというのは、
「全部自分一人でやる」ことではありません。
むしろ、やり切れる人ほど周りを頼るのが上手だと思います。
自分ではできないことを早めに相談する。
専門的なことは詳しい人に聞く。
間に合わないなら、間に合わなくなる前に共有する。
必要なら仕事を分担する。
プロジェクトのゴールに到達するために、人の力を借りる。
これも立派な「やり切る力」です。
一人で抱えて、締切直前に「できませんでした」となるより、ずっといい。
責任を持つことと、一人で抱えることは違います。
「最後までやる人」には、次のチャンスが来る
仕事を任せる側になると、これはかなり実感します。
次に大きな仕事を誰に任せようか。
新しい企画を誰に担当してもらおうか。
そう考えたとき、思い浮かぶのは、
一番アイデアを出した人とは限りません。
前のプロジェクトで、
問題が起きても逃げなかった。
必要な確認を最後までしていた。
周りを巻き込みながら完成させた。
終わったあとまできちんと対応していた。
そういう人です。
一度「この人なら最後まで持っていってくれる」と思われると、任される仕事は自然と大きくなっていきます。
逆に、アイデアはたくさん出すけれど、実行する段階になるといなくなってしまう人には、大きな仕事はなかなか任せづらい。
これは能力の問題というより、信頼の問題だと思っています。
アイデアを「現実」にできる人と働きたい
エンタメ業界には、面白いアイデアを持っている人がたくさんいます。
それは、この業界のすごく良いところです。
でも、そのアイデアを実際にファンへ届けるためには、
企画する人。制作する人。
調整する人。確認する人。
営業する人。運営する人。
本当に多くの人の仕事が必要です。
だから私は、
「いいアイデアを思いつける人」だけでなく、「そのアイデアを最後まで現実にできる人」と仕事がしたい。
と思っています。派手な仕事だけではありません。
むしろ途中には、地味で面倒な仕事のほうが多いかもしれません。
それでも、一つずつ終わらせていく。
問題が起きたら解決する。必要なら周りを頼る。そして最後に、「できました」
と言えるところまで持っていく。その積み重ねが、信頼になります。
そして、その信頼が次の仕事につながります。
・アイデアを出す力は、スタートする力。
・最後までやり切る力は、世の中に届ける力。
エンタメの仕事では、どちらも必要です。でも、どちらか一つを選ぶなら。
私は、最後までやり切れる人と一緒に仕事をしたいと思っています。