今年から大学に入学した1年目の講師。最初は少し緊張気味で、教室に馴染めるかどうか心配だった。授業の準備にも時間がかかり、生徒と話すときも表情が固く、声も小さめ。初めての社会経験としては不安のほうが大きかったと思う。
最初に担当してもらったのは、愛想のよい生徒。返事もしっかり返ってくるので、安心して授業を進めやすい。そこから少しずつ授業に慣れていき、自信を持てるようになってきた。
3か月ほど経った頃、休み時間に生徒たちと笑いながら会話をしている様子を見かけた。女子生徒とも男子生徒とも気楽に話せるようになり、教室に自然に溶け込んでいる姿に成長を感じた。
大学1年生にとって、この講師の仕事は初めて「社会と関わる」経験でもある。生徒に知識を伝えることを通じて、自分自身も人との接し方や責任感を身につけていく。その姿をそばで見守れることは、教室長としても大きな喜びだ。
こうして振り返ると、教室は生徒にとってだけでなく、講師にとってもまた成長の場なのだと改めて思う。
私たちは、新人の成長を「数字」ではなく「瞬間」でどれだけ捉えられているだろう。