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こんにちは。YOUTRUSTでマーケティングをしています、大前@kohsuke0817と申します。2021年4月に入社エントリを書いて以来約5ヶ月ぶりに筆を執っています。
突然ですが、私たちYOUTRUSTは2021年8月30日にシリーズBの資金調達をいたしました。
調達リリースの前後から複数のリリースを重ね、8月末から9月前半はたくさんの反響がありました。想定以上のグロース成果につながり、代表の岩崎もSlackで思わず本音が漏れこぼれてしまうほどでした。
これらの過程や意思決定プロセスについて、有難いことに質問をいただくことも多かったので自分の脳内整理も兼ねてnoteに記そうと思います。
乱文で恐縮ですが、読んでもらえるとうれしいです。
成果サマリ
色々な指標にポジティブな変化があったのですが、わかりやすいところでいくと資金調達リリース以降2週間経過後の実績は以下です。
新規登録者数
- 前月同期間比較 380%
CPA(広告費用 ÷ 新規登録者数)
- 前月同期間比較 105%
CPAはほぼ横ばいで、新規登録者数を大幅に増加させられました。
デジタル広告しかやってなかった期間との比較・かつ製作費なども含めてのこの結果なので、非常にポジティブだと捉えています。
プロジェクトのはじまり
「アプリリリースのとき以上に、資金調達を盛り上げたい」
岩崎のその一言から、プロジェクトは始まりました。
2021年4月にYOUTRUSTはiOS版のアプリをリリースしたのですが、その際にも大変な反響をいただいた成功体験があります。
・新規登録者数は過去ギネス
・「日本のキャリアSNS」がTwitterトレンド入り
・翌日にapp storeで特集いただく
という大盛況っぷりでした。
実はこの時の盛り上がりは私たちも目を疑うほどのものだったのですが、アプリリリースのタイミングに全精力を注ぎ込んだこともあり、日を追うごとに収束していくトレンドに対する打ち手がほとんどなく。
ゴールデンウィークを境に、波が過ぎ去ってしまう「流行」の怖さも知りました。(完全に自身の準備不足であり、反省です)
この時の経験から私たちが得たものは大きく2つです。
1. 声を上げてくれるファンの存在こそが、YOUTRUSTの強み
2. トレンドの賞味期限は、短い
今回の一連のリリースは、この学びをベースに設計をして行きました。
サウナ式 プロジェクト設計
突然ですが、これは実際に社内でプロジェクト説明をする際に使ったスライドです。大きく3つの役割を意識して設計していくことを、みんなが大好きなサウナのステップに乗せて伝えました。
もう少し情報を足すと、こんな感じです。
・熱源:話題の起点となる施策
・熱波師:話題を広げてくれる人たちの巻き込み
・水風呂:盛り上がりを数字に直結させる、各組織のパフォーマンス
この3つの役割とそれに紐づく施策を、2ヶ月前から全社に繰り返し伝えていきました。
特に「水風呂」を作る意識を全員で持てたことが重要だったように思います。
マーケやPRだけが盛り上がって終わるプロジェクトではなく、「全社の成長機会」と認識してそれぞれが自分の持ち場で最高の準備をする。
プロダクト、セールス/CS、HR、みんなが同じテンションと責任感でその日を迎えられるようアナウンスをしました。
「熱源」「熱波師」について、以下でもう少し詳細に記載していきます。
連続的な「熱源」
冒頭に記載した通り、アプリリリース時にトレンドを即下降させてしまった反省を踏まえて、今回は持続性をとにかく意識しました。
社内では、こんなスライドで話をしていました。(実際にはリリース順序が少し変わっています)
熱源をつくるために本当にたくさんの仕込みを行いました。
・ユートラ編集部設立
・資金調達リリース
・ユートライブ(南場さんに質問ができるオンラインライブ)
・OOH(屋外広告)
・すごい研修(絶賛募集中です!)
・ユートラジャーナル
などなど(細かい施策はもっとあります)
詳細は各施策オーナーからまたどこかのタイミングで話してもらうとして、ここでは主にマーケティングチームがリードしたOOHの実行背景と企画意図についてお話したいと思います。色々な施策がある中でOOHは意思決定しづらい領域なので、誰かの参考になると嬉しいです。
Who (ターゲットは誰か)
結論からお伝えすると、今回はYOUTRUSTの認知未利用層をターゲットに据えました。
【背景】
数ヶ月前に定量調査をした結果、我々がベンチマークに置いている複数の他サービスとの認知差分が想定よりも小さかったことが判明しました。
一方、利用者数は桁が違う。リリースからの年月の影響はもちろんありますが、このようなことが起きている要因は2つだと考えました。
・昨年から「すごい副業」などの打ち出しが奏功して、認知獲得は進んでいた。
・一方、サービスの認知のされ方が「副業のサービス」になっており副業ニーズのない方に登録する理由がなかった。
この認知と利用のギャップを埋めるために、認知未利用層にとってのYOUTRUST認識を改め、利用意向をあげること。それだけでも十分な余白がありそうでした。
未認知層に認知を広げることよりも、まずそれこそが最優先の課題と設定しました。
What(何を伝えるか)
上記にも記載したとおり、認知未利用者の新規登録ブロッカーを取り除くことが最優先でした。
具体的には「YOUTRUSTは、副業や転職を探してる人以外も使えるキャリアSNSである」ことを伝えたいと考えました。
【そのためにやったこと】
コアターゲット層にインタビューすると、「転職活動をしてるように見られるのが懸念だ」「友達と繋がるのも、少し怖い」という心理的ブロッカーが存在していました。
このブロッカーを取り除くために以下2点を伝えるべきと考え、クリエイティブに落とし込みました。
・YOUTRUSTにはすでに多くの人が登録していること
・YOUTRUSTは、新しい仕事以外の、情報にも出会える場所であること
【どうクリエイティブ開発をしたか】
シンプルに、ユーザーさんの実際の投稿と、YOUTRUSTロゴを印象的に残していきたいと当初から考えていました。
非常にシンプルなのですが、それだけでは表現としてはまだ弱い。
もう一工夫、今のYOUTRUSTの価値を伝えられる強い言葉の開発が必要でした。そこで考えたのが「すごい人は、ここにいる。」というコピーです。
YOUTRUSTはユーザー数ではまだ小規模なSNSです。でもだからこそ、心理的安全性高く、有益な情報や考えをポストしてくれる方々がたくさんいました。
そして、その人たちは単にフォロワーを稼ぐためでもなく、過激なことを言って目立とうとするでもなく、自分と周りの人たちのためにYOUTRUSTで発信をしてくれている方々でした。
そういう方々がいる唯一無二のSNSであると伝えるために、生み出した言葉です。
一方で、間違った方向に一人歩きする可能性もある強い言葉だとも感じていました。インフルエンサーの知名度に乗っかるだけの、排他的で上辺だけのコミュニケーションになってしまわないか。
そうならないためにも、過去半年程度の投稿を掘り返して、Twitterのフォロワーや知名度だけではない、日々の思考や周りからの信頼が染み出す人選を心がけました。
これらをクリエイティブに組み込む上で、副業アートディレクターが即座にアイディア化して、シンプルで力強い表現を組み上げてくれました。スタートアップのインハウスマーケティングチームでありながら、副業という形でプロフェッショナルと力を合わせられる素晴らしい時代だと思います。
何より、投稿を活用させていただいた皆さん。ご快諾いただき、ありがとうございました!
How(どう伝えるか)
「投稿を活用させていただく方々と、その周りの人たちが話題にしてくれる露出方法」を軸に考えました。候補としては当然ながらデジタル広告やタクシー広告なども上がっていましたが、それぞれ以下の理由で今回は選定しませんでした。
デジタル広告:過去に同様のクリエイティブをテストして拡散効果は見込めなかった。また、話題感の醸成をデジタル広告で行うのは経験上メディアコストがかなりかかる。
タクシー広告:ターゲットへの確実なリーチという観点では魅力的だが、効果を出すためのクリエイティブフォーマットが一定決まっている。かつ、直近はその質も活用するタレントのレベルも上がっている。今のYOUTRUSTが低コストでそこから逸脱するものを実施するのは、悪目立ちリスクが高い。(いつかやりたい・・・笑)
これらの手段と比較してOOHは、直接リーチ数を稼ぐことにはつながらないことは自明でした。また、効果も可視化しづらい。
一方で、メディア費用は比較的安価で、クリエイティブの工夫次第でSNSへのシェアは狙えそうです。また、公共交通機関での展開は信頼感を醸成することにもなりtoB観点の貢献も大きそう。
これらの点から、正しくワークすると判断しました。
【シェアを狙うためにどんな工夫をしたか】
ターゲットが、同時に多方向からの情報を受け取るよう設計しました。
シェアは総量よりも密度が重要だと考えてます。
1人がシェアしてでも気にならないが、2〜3人が同じ情報をシェアしてると気になった経験があるはずです。
具体的には
・勤務先がかぶっている方を同時に巻き込むこと
・掲載させていただく方の勤務地や生活エリア近くに枠を抑えること
・掲載日に運営が写真を撮影して、掲載写真をお送りすること
を実行しました。
これは奏功して、多くの方がYOUTRUST運営と一緒に今回のコミュニケーションを盛り上げてくれました。
【コストの妥当性】
結果は前述の通り、期待した以上の成果が得られました。
今回は、以下のように判断しています。
①媒体費をコンテンツ制作費として換算
直接リーチ価値のみではなく、「SNSでシェアされて、かつ伝えたいことが盛り込めるコンテンツをいくらで作れるか?」という基準で考えてみました。
web動画を作ってコンテンツでバズらせる?キャスティングでバズらせる?そもそも単純にバズるものが、広告として有効か?
ざっくりそれらの手段と比較すると、今回のOOHは費用は安価にトライできそうでした。かつ、シェアされるであろう写真には我々が伝えたいメッセージが必ず入っている。
これは、広告としての価値も高そうです。
コンテンツ制作費として媒体費を見てみると、他にも意外と工夫の余地は今後もありそうです。
②SNSを主戦場としたので、コストを抑制できた
OOHに直接リーチの役割を担わせる場合、出期間を長くして1日あたり単価を抑制することや掲出回数を多くすることが重要になります。
一方今回のコミュニケーションの肝は、ものすごく雑に言うと「シェアしたくなる写真の撮れ高」です。なので期間や掲出回数をミニマムにして、コストの絶対額を抑えることにしました。
この点は今回メディアプランニングに尽力してくれた弊社の副業マーケターと、bizpaの加藤さんの貢献が大きいです。
多数の事例を頭に入れて我々の企画意図にあう枠を選定いただきました。
僕自身デジタル畑が長く正直肌感がなかったのですが、他媒体と比較するとOOHの総額的な取り組み易さは段違いです。このnoteを見て少しでも気になった方は、ぜひ加藤さんに相談してみてください。
③とはいえ、のリーチ価値換算
リーチ観点で、とはいえどのくらいの価値を生むのかは自分の中で算出してみました。
投資の大きい枠は見に行って、実際に3分あたりどのくらいの人が前を通って目を止めてくれるのか・それはどんな属性の人なのかを見てみました。
すると、同じ駅の一見コスパの良さそうな枠でも全然異なる媒体であることがわかりました。(当然ですね)
答えはいつだって現場に落ちています。
「熱波師」化する組織
「熱源」パートがすっかり長くなってしまったのですが、「熱波師」についても触れていきます。
ここでいう「熱波師」は、まぎれもなく社内メンバーです。
「熱源があればYOUTRUSTには強力な熱波師たちがたくさんいる」という感覚を信じれたからこそ、大胆な攻めができたと思ってます。
手法的な話からお伝えすると
・社内にわかりやすくプロジェクト目標を言語化する
・リリース直前にテンションが最高潮になるように場を設定する
・任意で拡散してほしいコンテンツは、カレンダーやSlackでアナウンスを徹底する
などを頼もしい広報責任者である緒方が推進してくれました。
これらを実行に移せるかどうかは別の要素が必要だと思っていて、それは組織の熱量です
一言で「社内メンバー」といってもYOUTRUSTは特殊で、正社員20名程度、副業メンバーは60名強います。
また、副業メンバーはYOUTRUSTの中と外を繋ぐ窓口です。両方を見れる人たちなので、YOUTRUSTメンバーが中と外で全然違うことを言っていたりすると、すぐにメッキが剥がれます。まさに「インナーブランディングこそブランド作りの第一歩である」ということを実感します。
YOUTRUSTの場合はしかも、副業メンバーがサービスのユーザーでもあるわけです。クライアントになるときだってあります。あらゆる利害関係が溶け合う環境下なので、「外だけに見せる姿」というのは存在しないに等しい。
なので、組織の中にいる人たちが他の誰よりもYOUTRUSTに熱狂してサービスを愛せていることが大事なのですが、こればっかりは創業者の岩崎や過去からこれまで携わってきたメンバーが作り上げてきた蓄積が大きいと感じています。
マーケターとして、こんなにも協力的な環境で勝負ができることは大変ありがたいです。
最後に:一緒にグロースチャレンジしてくれる人募集しています!
今回もまた、反省点を多くのこすプロジェクトにはなりました。
表に見えない成功も失敗もたくさんあります。
さて、このnoteを読んでいただいた方で興味を持っていただいた方!
一緒に、その失敗を糧にさらなるグロースにチャレンジしませんか?