——「好き」は才能よりも体験から始まる
皆さんは、「好きなことを仕事にしよう」と言われたとき、素直に「これが好きだ!」と言い切れますか?
中には、「正直、自分の“好きなこと”がわからない」と感じている人も多いかもしれません。特に就職活動の場では、「やりたいこと」「志望動機」「将来の夢」など、“自分の軸”を求められることが多く、戸惑う学生がたくさんいます。
でも、ここでひとつ考えてみてほしいことがあります。
「好き」は最初からわかっているものではなく、
『できた』『わかった』の積み重ねで育つものなのではないか、ということです。
「好き」は、才能ではなく経験から生まれる
「好きなことをやろう」と言われると、多くの人は“情熱”や“センス”のような、持って生まれたものをイメージしてしまいがちです。でも実際には、好きという感情は後天的なものです。
例えば、最初は苦手だった数学が、ある日「解けた!」という成功体験をきっかけに楽しく感じられるようになったり、最初は緊張していたアルバイトの接客が、回数を重ねるうちに「人と話すのが楽しい」と思えるようになったり。
「好き」は“できる”から始まります。
「できる」は“わかる”から始まります。
この小さな好循環が回り始めると、人は自然とその分野に引き込まれていきます。
「わかる」は脳に快感をもたらす
脳科学の観点でも、「わかる」「できる」と感じたとき、脳内ではドーパミンという快感物質が分泌されます。これは、ゲームでレベルアップしたり、クイズに正解したときの「やった!」という感情と同じものです。
この快感は人間にとって非常に中毒性が高く、
「もっとやってみたい」「次も挑戦してみよう」と思わせる原動力になります。
つまり、「できた・わかった」という体験が増えれば増えるほど、「それ自体が楽しい」と感じられるようになり、「好き」が芽生えるわけです。
最初から「好き」を探さなくていい
就活でも人生でも、「自分の好きなことがわからない」と悩んで立ち止まる人は多いです。でも、これは決して悪いことではありません。
大切なのは、“好き”を見つけようとするよりも、“できること”を増やしていくこと。
「この作業、意外と苦じゃないな」
「この役割、まわりよりスムーズにできるかも」
「やっていて気づいたら時間が経っていた」
そういった“できる実感”を積み重ねることで、やがて「これが好きかも」という感覚が芽生えていきます。
「才能があるから好きになる」ではない
ここで強調したいのは、
「才能があるから好きになる」のではなく、
**「小さなできたが増えるから、好きになっていく」**という視点です。
最初から何でもできる人はいません。
むしろ、「できない」からこそ、「できた!」の喜びが大きくなるのです。
だからこそ、どんなに小さな成功体験でも見逃さないことが大切です。
そしてその“できた”を、誰かに言語化して伝えることで、「自分って、こんなこともできたんだ」と実感が深まっていきます。
まとめ:まずは「できた!」を探すことから
好きなことが見つからないなら、まずは「できた!」を探してみてください。
「できた」は「わかる」に繋がり、「わかる」は「楽しい」、そして「好き」に変わっていきます。
“好き”は、探すものではなく、つくるものです。
あなたの中にも、まだ気づいていない「好き」の種が、いくつも眠っています。
それを目覚めさせるカギは、今日感じた「ちょっとできたかも」という小さな手応えかもしれません。