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案件の制作をすべてアウトソースでまわすのはアリかナシか

今日も複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「案件の制作をすべてアウトソースでまわすのはアリかナシか」について話してきます。
(元記事:https://wizpara.com/2373/

最近、超少子高齢化をはじめ日本の行末は実に暗いという様々なデータをつきつけられ、暗い気持ちになってきている人が多いのではないでしょうか。

そこに来てコロナショック・・・3年経った今もぜんぜん収束とはいえない国内の状況に辟易している人も多いでしょう・・・しかも戦争って・・・。
まさに何が起こるかわからない時代・・・じぶんの身はじぶんで守るしかないと一念発起して独立しフリーランスになる人が増えているそうです。

フリーランスと言っても、さまざまなビジネスモデルで収益を立てている人がいます。

自分は過去の記事でスキルはもちろん重要だが、稼ぐのに一番大事なのは「営業力」だと力説してきました。

過去の記事も参考にしてみてください。
「フリーランスは新規のクライアント獲得より既存のクライアントへの営業が大切な理由」
https://wizpara.com/2368/

営業力を存分に発揮し仕事さえ獲ってしまえば、自分自身で制作を行えなくても、外注・アウトソースで回せば良いからです。(なんなら営業代行など仕事の獲得事態アウトソースできてしまう時代です)

しかし、このアウトソース、安易に手を出すのは実はかなり危険・・落とし穴満載なんです。

賢くアウトソースを利用するには、そのための知識やスキル、才覚・適性が必要なんです。

じぶんもフリーランスとして独立した14年前、当時まだ珍しかったWeb系フリーランスを頼って、ありがたいことに多くの依頼が舞い込み、じぶんはいつしか断わるのはもったいないから、制作作業をすべてアウトソースで回せば、制作に労力をかけずお金を稼げるじゃんという方向にシフトした時期があります。

結果は・・・・・・みなさんの想像通り、無惨な結果に陥る結果となりました。

獲得した案件を安易にアウトソースで回し散々な結果に・・・


当時の自分は50万円で受注した案件を、25万円で発注できれば、何のリスクも労力もなく、25万円の利益が出ると単純に考えていました。

何のリスクも労力も無いのであれば、仕事は獲れば獲るだけ利益が青天井に上がる・・・そう考えていたわけです。

クライアントと外注の連絡を転送するだけ・・・悪魔の伝言ゲーム

元請けである自分は初回打ち合わせにて案件を獲得した後は、その後のクライアントからの指示・諸連絡を下請けの外注先に転送するだけ・・・

自分の業務はそれだけで済むと思っていたんです。

今思えば、何やってんだかという感じです。

クライアントから指示や諸連絡の内容をかみ砕いてチェック・整理し、おかしい内容があれば、外注先に回すことなく元請けである自分が対処すべきなのですが・・・。

当時はその必要不可欠な手間を端折り、案件が徐々に炎上していったのを苦々しく思い出します。

工程管理は元請けの仕事であり、クライアントと外注先との橋渡しも結構大変なのです。

外注先が想定通りに対応してくれない

クライアントから案件を直受けし、自分自身が制作する場合と、制作を外注先にまるまるアウトソースするケースでは、後者の方が圧倒的に不安定で想定外の事案が生じやすくリスクが大きいです。

とくにどの程度のスキルを持っているかまだよくわからない、一発目に依頼する外注先などを利用する際は非常に注意が必要です。

信頼関係もまだ構築できていないわけですから、基本的にはまず最初はごくごく小さな案件を任せて、外注先のスキルを把握したり、信頼関係を構築するのが先決です。

そのステップを省略して、大きめの案件をはじめて利用する外注先に発注する事のリスクの大きさと言ったら・・・想像に難くありません。

杓子定規な対応で柔軟に対応してくれなかったり、納期内に対応してくれなかったり、追加の費用を請求してきたり、なかなか連絡を返してくれなかったり、仕様通りに作ってくれなかったり、最悪、飛んだり・・。

案件を条件通りに完遂できず、クライアントに多大な迷惑をかける羽目になります。

クライアントの横暴な指示を外注先に伝える事で関係が破綻

私自身のクライアントは、最近はどのクライアントさんも良い方たちで、とても良好な関係で楽しく仕事をさせてもらってますが、金銭面でのみ仕事を選んでいた昔は、とても理不尽な指示や態度をしめしてくる横暴なクライアントにぶちあたったものです。

そして、理不尽な指示を、自らで受け止めて外注先を守るのが元請けである自分の役目なのに、その無謀で理不尽な指示を外注先にそのまま流していました。

そのことで、外注先には不満やストレスが溜まり、元請けである自分との関係までおかしくなり、継続した信頼関係の構築にはいたらず、その案件こっきりで関係は途絶えてしまいました。

クライアントを吟味しない自分、そして、理不尽な指示を自ら受け止め対処しなかった自分を猛省して今に至ります。

回収不能に陥り外注費分、損失発生

さきほど、金銭面でのみ仕事を選んでいて、信頼関係が構築できるかできないかという点でクライアント(仕事)を選ぶという観点が抜けていた苦い過去を告白しました。

なかには案件の途中(制作工程終盤)でやっぱりいらなくなったのでキャンセルしますなどと言い出す無茶苦茶なクライアントもいました。

たとえば裁判するなりして、正当性が認められれば制作費を回収できたりはするのでしょうが、もろもろの事情を勘案すると泣き寝入りになってしまうケースがほとんどではないでしょうか。

クライアントから報酬が回収できなくなったとはいえ、外注先に報酬が支払ってもらえないので、こちら側も外注先に報酬が支払えないとは言えません。

そんなことをすれば、自分が悪いクライアントと一緒になってしまいます。

結局、外注先に報酬を支払った分がまるまる損失となりました。

自分の人件費分ももちろん損失ではありますが、実際にお金が出て行くのと出て行かないのとでは精神的なダメージに雲泥の差がありますね。

アウトソース回しで散々な目にあった原因を自己分析


・・・と、ここまで過去に自分が遭遇した苦い体験を語ってきました。

ちなみに、これは周囲が悪くて自分は悪くないといっているわけではなく、最終的には全部自分の判断の甘さが引き起こした体験で、自業自得です。

これらの体験から自分が出来る事があるとすれば、これらを教訓として学び、次に同じような事を引き起こさないようにすることです。

ということで、改めて原因を分析してみます。

アウトソースで回すことをなめていた

アウトソースをして回せばいいと、簡単に言う人がいますが、アウトソースで案件を回すのは実は大変な労力と、高度なスキル・ノウハウが必要になります。

労せずして儲けられるじゃんという不純な動機で利用したら、必ず痛い目をみます。

確かに知り合いの経営者で、自らはWeb制作に関するスキルが無く、案件のすべてを協力パートナーや外注のみでまわして大成功されている方がいますが、その方はその方で日々、大変な努力をされていますし、多くの優秀な人を見極め、信頼関係を構築しパートナーネットワークを張り巡らせられる器量や適性を持ち合わせています。

誰もがマネできる事ではありません。

金銭面しか見ておらずクライアントの性質を見極める努力を怠った

これは、外注を使ってアウトソースのみで回す回さない以前の大・大・大前提として「ヤバい」お客さんからの仕事は例え条件がどんなに良くてもひき受けてはならないというものです。

当時の自分は制作自体を自分で行うわけではないから、気が緩んでいたのでしょうか?

招かれざるお客に該当する、理不尽なお客さんの仕事をずいぶんひき受けてしまった気がします。

ちなみに「ヤバいお客さん」「招かれざる客」とは?・・・と思った方は、それらのヤバさについて下記の記事でも紹介しているので良かったらご参照ください。
「こんなクライアントは嫌だ・・・実際にいたモンスタークライアントたち」
https://wizpara.com/2324/

今では初見のお客さんとは打ち合わせ時に徹底的にヒアリングと会話を行うようにして、どのようなクライアントか見極めるようにしています。
また初回にはあまり大きな案件は請けないようにしています。

案件を獲得してから急遽外注先を探したため自分の理想の外注先を見つける時間がなかった

例え「ヤバい」お客さんからではなく、まっとうなお客さんの案件であったとしても、その時点で信頼できる外注先/協力パートナーを確保できていないのであれば外注を利用すべきではありません。

過去の自分の失敗事例では、お客さんから入ったタイミングで、そこから外注先を見つけ急遽、外注先に依頼するという愚行を繰り広げていました。

100%炎上コースですよね。

結局、思った対応をしてくれない外注先に振り回される事が多く、多くの炎上案件となってしまいました。

外注費が発生する事のリスクを甘く見ていた

Web系フリーランスの最大のメリット・・・それは事業に経費がほとんどかからないという事です。

たとえば製造業であれば、初期投資に莫大な資金が必要になりますが、Web系フリーランスは極端なはなしノートパソコンと必要なソフトウェア・通信環境があれば事業を開始できます。

初期投資だけではなく、日々のランディング費用も微々たるものですので、大きな赤字や借金に怯えるというところまでの不安とは無縁でいられます。

ただ、外注のみでほとんどの案件を回すというビジネスモデルに舵をきった瞬間に外注費という経費が膨れ上がります。

案件を上手く完遂させられ、報酬が回収できている間は、なんの問題ありませんが、案件の中には完遂できないこともあれば、報酬を回収できない事もあるのです。

この時に外注を使っていなければ、損失は主に自分の人件費のみになります。

それはそれで痛い損失ではありますが、持ち出しでお金が出て行く事はありません。

外注費の場合は、さらに外注費の分、お金が出て行く事になります。・・・これは痛い。

外注先が急遽対応不能になった時のリスクヘッジができていなかった

フリーランスが外注先として選定する事業者は、自分が見積りした制作費用より安く発注したいので、必然的に大手の制作会社ではなく、自分と同じくフリーランスに発注することが多くなると思います。

個人で活動しているフリーランスなわけですから、当然、突発的な事情で仕事に支障が生じる事があります。

事故や事件、大病・・・その他、原因不明で音信不通なんてことも・・。

最悪、じぶんが巻き取れる内容であれば、あとは自分が対応することで何とか案件を完遂することができるかもしれません。

ただ、技術的にその外注先でしか対応できないような案件の場合、万事休すです。

アウトソースする場合は、そういった状態が生じてもリカバリできるように、万全のリスクヘッジが必要になるという事です。

アウトソースを賢く利用する条件・対策


それでは、最後にそれでも自分はアウトソースを賢く利用するんだという事業者のために、賢くアウトソースを利用する条件・対策を挙げていきます。

ディレクションはただの伝言ゲームではない・・・自らのディレクション能力にチート級のスキル・ノウハウが必要

まず、大前提としてアウトソースは簡単なものではないと自覚する事です。

「アウトソースで回せば楽できるから」・・・こういう発想であれば必ず後で痛い目を見る事になります。

制作を外注先に依頼するにしても、工程管理やクライアントや外注先とのディレクションに、洗練されたスキルとノウハウが必要になります。

ディレクション能力が突出していて、豊富なアウトソースノウハウを蓄積できてはじめて制作をアウトソースで回すというビジネスモデルが選択できるのです。

スキル的に自分が対応できないものはそもそも請けない(アウトソースを利用しない)

非常に重要な条件だと思います。

普通、自分が対応できないからという理由でのみ外注を使うと思われがちですが、それは間違いです。

最悪、自分でも対応できるくらいの制作スキルが無ければ、外注を使うべきではありません。

外注先が何かしらの事情で対応できなくなった時のリカバリが可能ですし、外注先に費用面で吹っ掛けられても巻き取れますし、そもそも提示された費用が妥当であるか判断がつきます。

日ごろから外注先探しを精力的に行い、優秀な外注先と信頼関係を深めておく

アウトソースを避けようと判断した人にとっても、いざっとなったら頼れる外注先、信頼できる協力パートナーがいると非常に安心できるものです。

じぶんも事故や病気などの理由で、仕事がしばらく出来なくなることだってありえますしね。

信頼できる外注先というのは、見つけるのは大変で、見つけた後も付き合いが無ければ関係はすぐに希薄・解消となってしまうものです。

信頼できる外注先/協力パートナーが見つかったのであれば、外注するしないは別にして、日々、継続した付き合いを心掛けていきたいものです。

クライアントを徹底的に見極める

いかに優秀な外注先、信頼できる協力パートナーに囲まれていたとしても、理不尽極まりないクライアントにつかまってしまうと炎上必至です。

炎上しないやりがいのある案件に比べれば、金銭面の条件がいいけどブラックすぎる案件などは下の下・・・絶対に引き受けるべき案件ではありません。

最悪、引き受けてしまったのであれば、その弊害を外注先に回さぬよう、率先して自らがクライアントと相対して解決するようにしましょう。

そもそも外注を使ってまで収益をあげるべきか徹底的に検討する

じぶんは、過去の苦い経験をもとに外注は一切使わないという経営判断にいたっています。

外注を使わないと完遂できなさそうな案件は断わるようにしています。

大規模な案件や、高度な案件は引き受ける事ができない事になりますが、一定以上リスクが高くなるくらいなら請けない、それで全然かまいません。

ちなみに外注やアウトソース自体は悪ではありません、使い方次第で経営を飛躍的に良くしてくれるものです。

フリーランスの方は一経営者としてアウトソースとどう付き合っていくか向き合うと良いでしょう。

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