100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスの山崎レモンサワーです。
今日も複業メディア「ウィズパラ」で扱った「Web業界で見てきた全ての業界の利益を貪る「広告屋」の闇」(元記事:https://wizpara.com/2146/)というテーマで話をしていきます。
じぶんがフリーランスとして13年以上、Web業界に身を置く中で、検索エンジン上での露出を高める事に特化した広告屋・広告代理店がビジネスの世界で独占的な大きな力を持ちはじめており、あらゆる業態のお客さんから暴利を貪っている様を数多く目撃してきました。大儲けをすること自体が闇であるとは言いませんが、独占的な立場がもたらす弊害で一般消費者への悪影響も生じ始めています。
今日は暴利を貪る広告屋の闇というテーマで話していきたいと思います。
今日の話は、フリーランスや複業などの働き方からは、はずれるのですが、インターネットの神的存在であるGoogleの検索エンジンがもつ勝者総取りの性質が社会にもたらしている影響を感じていただけ、その気づきがフリーランスとして活動していく中で、いずれ役に立つ事につながると思います。
皆さんはトイレが詰まった時、葬儀の相談弾をする時、玄関のカギを無くし家に入れない時、法律相談をしたい時など、依頼・相談する業者はどのように見つけますか?
今だと、まずはインターネットで依頼先を探すのが第一選択肢になっているのではないでしょうか?
トイレのトラブルであれば、検索エンジンで「トイレ つまり 業者」や「トイレ トラブル 東京」などのキーワードで検索し、検索エンジンに表示される検索結果の上位に表示されている業者のホームページを見て、依頼するという流れが一般的なのではないでしょうか?
今ではタウンページを開くより、スマホで検索する方がはるかに早く情報にアクセスできますから、ネット経由の依頼が大半になる理由もうなずけます。
それに伴い、ネット(検索エンジン)上で検索順位の上位に表示させることができるかできないかが、商売が成り立つか成り立たないかの分水嶺となっており、
SEO施策やリスティング広告運用を上手く講じられるかどうかが、これらのサービス業にとって死活問題となってきています。
ちなみにサービス業だけではなく、小売業にとっても、インターネットは最大の販路になってきており、今までは地の利で一定の売上をキープできてきた地域の小売店も、Amazonを代表するインターネット大型小売店の登場で、全てのリアル店舗があおりをうけています。
サービス業・小売業だけでなく全ての業種での集客にインターネットでの露出が必要不可欠になってきたわけですが、逆に言うと、インターネット(検索エンジン)上での露出を高めるスキルを獲得したWeb系広告代理店は、あらゆる業種から依頼が殺到しており、これらの一部広告屋が利益を独占する構図が進んできています。
そしてこれら広告屋が、あらゆる業種の事業者への依頼を取り次ぐことによる社会への弊害、闇の一面がとりざたされてきています。
インターネット上の神・Googleと、神の使い・Web広告屋
インターネットが浸透することで、ビジネスシーンで進んでいるのが、勝者総取りのバイアスです。
インターネット上で勝ち組負け組が明確に判断できるようになったことで、この傾向が進んでいるとみられます。
確かに自らのサービス・店舗のプロモーションサイトが、検索エンジン上で上位の検索順位を獲得できなければ、ほとんど集客が見込めないのですが、上位表示できるサイト・ページの数には限りがあります。
SISTRIX社の調査によると、検索順位の上位のCTR(クリック率・・・クリック数÷表示回数)は、1位~3位トータルで55%以上になります。
1ページ目で90%、わずか2ページ目以降は10%程度になります。
検索順位クリック率(CTR)128.5%215.7%311.0%48.0%57.2%65.1%74.0%83.2%92.8%102.5%
引用:https://www.sistrix.com/blog/why-almost-everything-you-knew-about-google-ctr-is-no-longer-valid/
何が言いたいのかというと、検索エンジン上位に表示できる力のあるサイトがアクセス(集客)の大半を集め、利益を独占するということです。
Google(検索エンジン)は、インターネットで集客を試みる全ての事業者にとっては、もはや神であり、その神が提供するプラットフォーム上で、露出を高める方法を獲得し、それらを提供する広告屋は、さしづめ神の使いといったところでしょうか。
神の使いと化した広告屋の闇の深さ
例えば全国各地ををカバーする葬儀サービスの事業者がプロモーションサイトを制作して、「葬儀」や「葬儀社」で、検索順位1位を獲得できたとすると、全国各地で葬儀を依頼しようとする何万という依頼者からの依頼が一挙に舞い込むことになります。
そして広告屋は、それら依頼を現地の葬儀社に、依頼を取り次ぐことで葬儀費用の20~40%のような中間マージンを得て多くの利益を上げています。
何も大儲けをすること自体に闇が深いという訳ではありませんが・・
依頼を一挙に受けられ、多くのお金が舞い込むことを知ると、広告屋は検索順位上位をキープするために、実際のサービス実態とかけ離れた内容、要は誇大であったり虚偽であったりする広告内容を、掲載しだすようになります。
また検索順位上位を独占するようになると、その独占的立場を利用して、際限なく利益を追求するため、依頼を取り次ぐ末端のサービス事業者の利益を際限なく圧迫しだすようになります。
広告屋がサービス提供者の体でサイトを運営する闇
広告屋が持ち前のSEOのノウハウを駆使し、自らがサービス事業者の体でサイトを持ち始めています。
ときに葬儀社サービス事業者のサイトであったり、水のトラブル解決事業者であったり、害虫駆除の事業者であったり、業種・業態問わず、今では無限に横展開しています。
特徴なのは、実際にサービス提供をする体制を社内に抱えておらず、殺到する依頼は、全国各地の契約しているサービス提供事業者に、取り次ぎます。
もちろん多くの仲介料を引いたうえでです。なかには料金の半分近くを仲介料として設定する広告屋もあります。
他に依頼を獲得(集客)する術を持たないサービス事業者はこの手の広告屋にすがらざるを得ない状況ともいえます。
そして、広告屋と実際にサービスを提供する事業者がまったく関係が無い事で、一般の消費者が不利益を被っている状況が生じています。
ようは広告屋が公開しているこれらのWebサイトの内容と、実際にサービスを提供している事業者のサービスに乖離が起きてきているのです。
サービス内容であったり、到着時間であったり、料金であったり、オプションであったり、サイトに掲載してある内容と全然違うというクレームが増えています。
逆に実際にサービスを提供する事業者も、依頼を獲得するに至った広告屋のプロモーションサイトに、どのような広告文句が掲載されているか把握していない事も多いのです。
先日、東京都下水道局の公式Twitterから、一般消費者に向けて注意喚起の投稿が発信されました。
これはまさに、広告屋の闇の片鱗といえるケースです。
検索順位上位に表示されているイコール信頼できるという誤解
Googleは日進月歩の検索アルゴリズムアップデートを繰り返し、検索のクォリティは昔よりもはるかに高精度で、検索キーワードに対して最適解を返してくれるようになってきました。
とくに最近ではGoogleはE-A-Tと呼ばれる評価基準を重視する方針で、それぞれ
Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)
を担保できたサイト群が検索順位の上位を占めるようになってきました。
そんなこともあり、一般消費者である検索ユーザは、検索エンジンの最上位に表示されているサービス事業者のサイトが、もっとも大手で、もっとも良いサービスを提供してくれる事業者であると、判断しがちです。
そこに大きな誤解があります。
Googleのアルゴリズムの進化には恐れ入るのですが、もっとも上位に表示されるサービス事業者がもっとも大手でもっとも優良なサービスを提供するというのは間違いです。
もしかしたらGoogleはさらなる進歩でサービスのクォリティも検索順位に反映するようになってくるかもしれませんが・・・・
少なくとも現時点では、あくまで検索アルゴリズムを攻略・適応した、多くの広告屋のプロモーションサイトが席巻しています。
サービスを依頼する一般の消費者も、検索エンジン上位に表示された事業者が信頼にたる事業者かを見極める目が必要になってきます。
虚偽・誇大な広告表現の横行
広告屋には検索順位をより上位にするためのSEO施策と、アクセスしてくれたユーザをいかに注文・依頼に結びつけるかというコンバージョン率の向上に毎日取り組んでいます。
健全な手法であればいいのですが、グレーやブラックな手法が横行してしまっているのが実情です。
あてにならない料金提示
よく、
「トイレのつまり修繕 ○○円~」 とか
「カギ交換 ○○円~」 という
金額表記をサイトで見かけると思いますが、この「~(から)」というのが曲者です。
例えば、トイレがつまってしまって慌てた若者が
ネットで解決してくれる業者を探し、
「2,980円~」
とサイトに書いてあったので、依頼したところ、最終的に請求された金額が10万円を超えたなどという報告も散見されています。
ハッキリ言って、ぼったくりキャバクラと大差ないですよね。
「~(から)」という表記はまず、あてにならないものと意識する必要があります。
最終的にいくらになるかを、予め提示してもらうようにする必要があります。
広告屋にしてみれば、総額表記よりも「~(から)」を使っていかにも安い印象を与える方が断然注文が多くなるわけです。
闇が深いですが、消費者庁の指針や、Googleアルゴリズムの指針、法律の施行などで、このような表現が禁止され、総額表記のみ表記可にしてもらいたいものですね。
一般消費者にも、ネット上のプロモーションの誇大広告、虚偽報告がありうることを知っておく、ようは、この手のリテラシーが必要という事ですね。
満足度業界No.1?、それ誰が決めたの?
リピート率No.1
業界満足度No.1
作業員の技術力No.1
などなど、サイトに記載があるのを見たことがあるのでしょうか。
これって誰が決めたのか、と率直に疑問に思いますよね。
少し前まで言ったもの勝ちのこの手の広告文句を記載したい放題でした。
さすがにこの手の広告文句は、客観的・社会的に認められた評価機関で受けたステータス以外は勝手に記載することはNGになってきましたが、広告上に虚偽や誇大な表現があることは、常に気に留めておく必要があると言えそうですね。
クチコミの大半はライターに書かせたサクラクチコミ
これも、多くの広告屋のサイト制作シーンを目撃してきて思った感想です。
ぶっちゃけ、クチコミコンテンツの多くは、ライターに依頼して書かせたサクラ記事です。
流石のGoogleさまのアルゴリズムでも、掲載されているクチコミが、リアルなクチコミかライターに書かせたサクラクチコミなのかを判別することは出来ないようです。
Googleマイビジネスなどのプラットフォームに投稿されているクチコミは、リアルなクチコミですが、個別のプロモーションサイト内に掲載されているクチコミや事例紹介などは、ライターに書かせた捏造コンテンツである可能性があることを意識する必要がありますね。
まとめ:検索エンジンの性質を知ることは今の世の中で必須のリテラシー
今はテレビCMやタウンページよりも、スマホで(検索エンジンで検索して)サービス事業者を調べるというのが第一選択肢の世の中であると言えます。
そして検索エンジン上で露出を高められる広告屋が多くの利益を独占する状況になっていて、儲けを独占するだけならまだしも、虚偽・誇大な広告文言で一般消費者からクレームが生じたり、広告屋に集客を依頼するしかない立場の弱いサービス提供者のサービス低下やサービス価格への転嫁などの弊害が起きてきています。
現時点で、これら広告屋に集客を依頼するしかない中小のサービス事業者は、検索エンジンを使った集客以外のパイプ・チャンネルで依頼を獲得できるよう創意工夫の努力をすべきですし、サービス事業者を探す、一般消費者も、インターネットないし検索エンジンの性質に関するリテラシーを身につけておく必要がありそうです。
個人的にも、近くの歯科医や整体ほか、クリニックを探したり、水回りのトラブル、税務、法律相談、などでサービス事業者を探すわけですが、これらのことを知った上で注意しているにもかかわらず、信頼のおけるサービス事業者を見極めるのは大変です。
できるならば検索エンジンプラットフォーム側で、事業者の評価・信用を計測できる仕組みを導入して、虚偽・誇大広告を打ったり、依頼をただ取り次ぐだけの事業者サイトにフィルタをかけてほしいものです。
いずれ、実現される事を願っております。
Web制作者目線で言えば、勝者総取りというインターネット・検索エンジンの性質に着目すれば、大きなビッグチャンスをものにできる可能性が出てきます。
Webマーケターであるかフリーランスであるかを問わず、これからも検索エンジンのアルゴリズムの動向についてはアンテナをはっておきたいですね。