100の生業を持つ現代版百姓を目指す、破天荒フリーランスのざき山です。
今日も複業メディア「ウィズパラ」で取り扱ったテーマ「AIでやれることが増えたWeb制作の現場・・・フリーランスのWeb制作ビジネスはどう変化していくか?」について紹介してきます。(元記事:https://wizpara.com/3128/)
Web制作の仕事を長年やってきた人間からすると、ここ数年のAIの進化は、かなり衝撃的です。
以前なら「これは人間じゃないと無理だろう」と思っていた作業まで、AIに相談しながら進められるようになってきました。
・文章を書く
・デザインを考える
・HTMLやCSSを書く
・JavaScriptを書く
・PHPなどのプログラムを書く
・SEOについて考える
・画像を作る
・動画を作る
そして、それぞれを別々の専門家に頼まなくても、ひとつのAIに相談しながらかなりのところまで進められてしまう。
もちろん、現時点では「AIに全部任せれば完成」というところまでは来ていません。
しかし重要なのは、AIがWeb制作の仕事を完全に代替できるかどうかではなく、Web制作者が以前よりはるかに少ない時間で、以前と同じ、あるいはそれ以上の成果物を作れるようになってしまったことです。
これはWeb制作を仕事にしている人間にとって、かなり大きな変化です。
もうWeb制作フリーランスいらなくね?それくらい今のAIは何でもできる
少し極端な言い方をすれば、「もうWeb制作フリーランス、いらなくね?」と思ってしまうくらい、AIができることは増えています。最近はフリーランスが早々に見切りをつけ、サラリーマンに回帰しているというニュースを頻繁に見かけます。
もちろん実際にはそんな単純な話ではありません。
ただ、これまでWeb制作者が「技術」として提供していたものの多くが、AIによって簡単に生成できるようになってきているのは事実です。
Webサイトのデザイン・ランディングページのデザイン
以前は、Webサイトのデザインを作るためには、PhotoshopやIllustrator、あるいはFigmaなどを使いこなす必要がありました。
もちろん今でもそうしたスキルは重要です。
しかし、「こういう雰囲気のWebサイトを作りたい」「30代女性向けの美容商品のLPを作りたい」「高級感のある士業事務所のサイトを作りたい」とAIに伝えるだけで、それなりのデザイン案を出してくれるようになりました。
しかも、一案作って終わりではありません。
「もっと高級感を出して」
「もう少し若者向けに」
「この部分を赤にして」
「競合サイトとの差別化を考えて」
といった具合に、会話しながら修正できます。
以前ならデザイナーが何時間もかけていた「最初のたたき台を作る」という作業が、ものすごい勢いで圧縮されています。
体感ですが、1か月の期間で20万円程度でデザイナーにお願いしていた作業が、AIで無料、しかも一瞬で出てくる感覚です。
マークアップ(HTML・CSS)
HTMLやCSSについても同様です。
「このデザインをHTMLとCSSにしてください」
「スマートフォンではこう表示してください」
「この部分をレスポンシブ対応してください」
と指示すれば、かなり実用的なコードが生成されます。
しかも、エラーが出た場合には、そのエラーをAIに渡して、「原因を調べて修正して」と頼むこともできます。
昔は「HTMLを書ける」「CSSを書ける」ということ自体がWeb制作者の重要なスキルでした。
しかし、今後はコードをゼロから書ける能力そのものの希少性は、確実に下がっていくでしょう。
Javascript、インタラクティブな動的なしかけ
JavaScriptも例外ではありません。
メニューの開閉、モーダルウィンドウ、スライダー、アニメーション、フォームの制御など、以前なら「JavaScriptが分からないと作れない」と考えられていたものも、AIに具体的な動作を説明すればコードを生成してくれます。
もちろん複雑な処理になればなるほど、人間による確認や修正は必要になります。
しかし、ここでも重要なのは、「JavaScriptを書ける人」と「JavaScriptを書けない人」の差が縮まっているということです。
以前は「コードを書けること」が参入障壁でした。
AIは、その参入障壁をものすごい勢いで低くしています。
PHP、Perl、Javaほかサーバーサイドでの処理の制作
サーバーサイドのプログラムも同じです。
PHPなどのコードを書かせたり、既存プログラムのエラー原因を調べさせたり、データベースとの連携方法を相談したり。
昔なら何時間もGoogle検索をして、海外の技術系サイトやStack Overflowなどを読み漁っていたようなことを、AIとの会話だけでかなり効率的に進められるようになりました。
もちろん、本番環境で動くシステムをAIの出力そのまま投入するのは危険です。
セキュリティや保守性、既存システムとの整合性など、人間が判断しなければならない部分はまだまだあります。
それでも、プログラマーの「調べる」「書く」「直す」という時間が大幅に削減されていることは間違いありません。
マーケティング、SEO的なアドバイスや具体的施策の案内
さらに厄介なのが、AIは「制作」だけではなく「考えること」まで手伝ってくれることです。
例えば、
「この会社のWebサイトを改善するとしたら何をすればいい?」
「このサービスのターゲットは誰?」
「SEOで狙うべきキーワードを考えて」
「このページのコンバージョン率を上げるには?」
などと質問すれば、かなり具体的な回答が返ってきます。
もちろんAIの回答をそのまま信じていいわけではありません。
しかし、少なくとも「何を考えればいいのか分からない」という状態から抜け出すための壁打ち相手としては、ものすごく優秀です。
サイト内で使用するイラスト・写真・動画などの生成
画像生成AIの進化も、Web制作業界には大きなインパクトがあります。
以前なら、「このWebサイトに合う写真が欲しい」となれば、ストックフォトサイトから写真を探す必要がありました。
オリジナルのイラストが必要なら、イラストレーターに依頼する必要もありました。
動画なら動画制作会社です。
ところが現在は、AIによって画像やイラスト、さらには動画まで生成できます。
「こういう人物が、こういう場所で、こういうことをしている写真風の画像」
といった曖昧な注文でも、かなり具体的なビジュアルを作れるようになっています。
Web制作者が「素材を探す」という仕事そのものが、少しずつ変質しています。
ディレクションの簡略化・・・AIに質問をぶつけてもらうことでクライアントの要望を可視化しやすい
個人的には、ここもかなり大きな変化だと思っています。
Web制作で意外と時間がかかるのが、制作そのものではありません。
「結局、このクライアントは何を作りたいのか?」を明確にすることです。
「かっこいいサイトにしてください」
「若い人にウケる感じで」
「競合よりいい感じに」
……この「いい感じ」を具体化する作業です。
ここにAIを使うことができます。
クライアントにAIとの対話をしてもらい、
「誰に見てもらいたいですか?」
「その人にサイトを見たあと何をしてほしいですか?」
「競合と比較して自社の強みは何ですか?」
「絶対に入れたい情報は何ですか?」
などと質問を繰り返してもらう。
すると、クライアント自身も気づいていなかった要望が言語化されていきます。
これはWebディレクターにとってかなり強力な補助ツールになるでしょう。
その他
このほかにも、文章作成、キャッチコピー、構成案、メール、議事録、アクセシビリティチェック、コードレビュー、競合調査、翻訳など、Web制作に付随する仕事は次々とAIで効率化できます。
つまり、Web制作という仕事を細かく分解していくと、「これ、AIでかなりできるじゃん」という作業が大量に存在しているのです。
じゃぁ、もうWeb系フリーランスは廃業?AI時代のWeb系フリーランスはどうすりゃいいんだ
ここまで読むと、「じゃあWeb制作者はもう廃業するしかないのでは?」と思うかもしれません。
私ざき山自身、Web制作を長くやってきた人間として、この問題はかなり真剣に考えています。
そして結論から言うと、「Web制作の仕事は減る。しかし、Web制作者そのものが不要になるわけではない」と考えています。
大前提として人(Web系フリーランス)の手は必要になり続ける
まず、AIがどれだけ進化しても、人間の手が必要な仕事は残ります。
企業がWebサイトを作るということは、単にHTMLファイルを作ることではありません。
「何のために作るのか」
「誰に見せるのか」
「何を成果とするのか」
「公開後にどう運用するのか」
といった意思決定が必要です。
AIは非常に優秀な道具ですが、最終的に「これで行こう」と決めるのは人間です。
責任を取る人が必要だから
そして、かなり現実的な話として、「何かあったときに責任を取る人」が必要です。
AIに、「このサイトを作ってください」と頼んでサイトが完成したとしても、企業側からすると、
「じゃあ、誰に責任を持ってもらえばいいの?」という話になります。
・情報が間違っていた。
・フォームが動かなかった。
・個人情報が漏れた。
・サイトを更新したら壊れた。
・検索順位が落ちた。
こうした問題が起きたときに、「AIがそう答えたので……」では仕事になりません。
AI時代になるほど、むしろ人間側の判断と責任の価値が上がる可能性があります。
AIで全てを完結するまでに至っていない
そして、現実問題として、AIはまだ万能ではありません。
AIが生成したコードがそのまま完璧に動くとは限りません。
もっともらしい嘘をつくこともあります。
複雑な既存システムとの連携では、前提条件を把握できていないこともあります。
つまり、「AIに作らせる能力」と「AIが作ったものを評価する能力」の両方が必要なのです。
むしろ後者の重要性は今後さらに高くなるでしょう。
AIを嫌悪する/AIに疎いクライアントが一定数存在する
もうひとつ、非常に現実的な問題があります。
世の中の人間が全員AIを使っているわけではありません。
「AIなんて信用できない」
「自分ではよく分からない」
「そもそもChatGPTを使ったことがない」
という人も当然います。
そして企業の意思決定者がそういう人であるケースもあります。
そうしたクライアントに対して、「AIに聞けばできますよ」では仕事になりません。
「こちらでAIを活用して、あなたの代わりに実現します」という人間が必要になります。
AIが生成したものへの飽きがでてきている
そして、もうひとつ面白い現象があります。
AIが何でも作れるようになると、逆にAIっぽいものに飽きる可能性があります。
どこかで見たような文章。
どこかで見たようなデザイン。
どこかで見たようなAI画像。
AIが生成したものをAIが生成する。
そんな世界になればなるほど、「誰が作ったのか」「なぜこうしたのか」という人間側の文脈が価値を持つ可能性があります。
ただし、ここはまだ確定的なことは言えません。
AI生成物への飽きが本当に大きな市場トレンドになるのか、それとも人々が気にしなくなるのか。
これは今後を見ていく必要があります。
人によってはまだAIをリードしている領域もある
そして、忘れてはいけないのが、AIが人間を完全に上回っているわけではないということです。
・特定の業界についての深い知識
・現場での経験
・顧客との関係
・地域事情
・独特の業界慣習
・長年培ってきたデザインセンス
こうしたものは、単純にAIに質問しただけでは手に入りません。
AIは一般化された知識を大量に扱うことに非常に強い。
一方で、実際の現場には「その会社だからこそ分かること」「その地域だからこそ分かること」があります。
ここは人間の強みとして残るでしょう。
Web制作作業の価値は下がる。AIを駆使するフリーランスが浮いたリソースを何に注入するかが運命の分かれ道
ここが、これからのWeb制作者にとって一番重要なところだと思います。
AIによって制作時間が10時間から3時間になったとします。
そこで、「やった!7時間自由になった!」で終わるのか。
それとも、「この7時間を別のことに使おう」と考えるのか。
ここで差がつきます。
Web制作作業の価値は下がる・・・が
おそらく、Web制作の「作業そのもの」の価値は下がっていきます。
・HTMLを書ける
・CSSを書ける
・簡単なJavaScriptを書ける
・WordPressを設置できる
こうしたスキルだけで高い報酬を得ることは、以前より難しくなるでしょう。
これはかなり厳しい話ですが、私はそう考えています。
しかし、作業の価値が下がることと、Web制作者の価値が下がることは同じではありません。
ここを混同してはいけません。
ただ、Web制作者の生産性も爆上がりする
AIによって制作時間が半分、あるいはそれ以下になれば、Web制作者は同じ時間でより多くの仕事ができます。
一人でデザイン、コーディング、文章、画像制作までこなすことも可能になります。
つまりAIは、「仕事を奪う道具」であると同時に、「一人の人間を小さな制作会社にしてしまう道具」でもあります。
これはフリーランスにとって、とてつもなく大きな武器です。
AIには到達できない・・・神は細部へのこだわりに宿る
AIに何でも作らせられるようになると、逆説的に「細部」が重要になるかもしれません。
・文字間
・余白
・写真の選び方
・ボタンの位置
・文章のリズム
・スマートフォンでスクロールしたときの感覚
・「なんとなく気持ちいい」という感覚
こうしたものは、単純にAIに「いい感じにしてください」と言っても、なかなか人間の意図通りにはなりません。
もちろんAIもどんどん進化するでしょう。
したがって「細部なら永遠に人間の仕事」と断言するつもりはありません。
それでも、最終的な品質を決めるのが細部であることは変わらないでしょう。
AIにできないことを追求するのもアリだが・・・素直にAIに精通する方が強い
「AIにできないことを極めよう」という考え方もあります。
これは一理あります。
ただ、私はそれだけを目指すのは少し危険だと思います。
なぜなら、AIにできないことは、明日にはできるようになるかもしれないからです。
昨日まで「AIには無理」と言われていたことが、数カ月後には普通にできるようになる。
そんなことが珍しくなくなっています。
だから、「AIにできない仕事を探す」よりも、「AIが進化するたびに、自分も進化する」ほうが強い。
Web制作者にとっては、AIを敵だと考えるより、徹底的に使い倒すほうが合理的でしょう。
急激に変わり続けるからこそ、チャンスはつきないし、安定も得られない
AI時代の面白いところは、変化が激しいことです。
これは恐ろしいことでもあります。
今まで通用していた技術が、突然価値を失う可能性があります。
しかし逆に言えば、新しいチャンスが次々に生まれるということでもあります。
今までWeb制作をしていなかった人がAIを使ってWebサービスを作る。
今まで一人ではできなかったことを、一人でできるようになる。
小さな会社でも大企業並みのWebマーケティングを行えるようになる。
こうした変化は、フリーランスにとってチャンスでもあります。
ただし、その代わり「安定」はどんどん難しくなるでしょう。
結局、AIでいくら生産性を上げられるとしても・・・受託案件を取るのは結局営業力
そして、非常に身も蓋もない結論があります。
AIを使えば、Webサイトを3時間で作れるようになった。
では、仕事が3倍増えるのか?
そんなことはありません。
仕事を取ってこなければ、売上はゼロです。
AIによって制作能力の差が縮まれば縮まるほど、案件獲得の重要性はむしろ高まります。
「何を作れるか」だけではなく、
「誰から仕事をもらえるか」
「どんな課題を解決できるか」
「どうやって信頼してもらうか」
が重要になる。
極端な話、AIを使って1時間でサイトを作れる人より、AIを使って10時間でサイトを作っていても毎月仕事が来る人のほうが強い。
Web制作フリーランスにとって、これは昔から変わらない真理なのかもしれません。
クライアントがAIを使ってWebサイトを作るサポート側に回る
そして、今後Web制作者が取れるポジションとして、個人的に面白いと思っているのがこれです。
「Webサイトを作ってあげる」のではなく、
「クライアント自身がAIを使ってWebサイトを作るのをサポートする」という仕事です。
例えば、「ChatGPTへの指示文を一緒に作る」
「AIが生成したコードをチェックする」
「この文章は企業サイトとして問題ないか確認する」
「AIが作ったサイトをプロの目で改善する」
といった仕事です。
これまでのWeb制作者が「制作代行業」だったとすれば、これからは「AIを使ったWeb活用の伴走者」という立場も成立するでしょう。
これはWeb制作者にとって、かなり大きなパラダイムシフトだと思います。
まとめ・・・Web制作ビジネスは斜陽であることは間違いないが・・
ここまで書いてきましたが、私はWeb制作という仕事について、かなり悲観的な部分があります。
少なくとも、
「HTMLとCSSを書けます」
「WordPressでサイトを作れます」
「Photoshopでデザインできます」
といった制作技術そのものの価値は、今後さらに下がっていくと思っています。
これは「Web制作は終わる」という意味ではありません。
むしろ、Web制作という行為そのものが民主化されていくのだと思います。
昔は専門家しかできなかったことが、誰でもAIを使ってできるようになる。
これはある意味で、とても健全なことです。
一方で、その結果として「Web制作をするだけ」で食べていくことは難しくなる。
では、Web制作者はどうするのか。
AIと競争するのではなく、AIを使って自分の生産性を上げる。
そして、そこで生まれた時間を、営業に使うのか。
顧客との関係構築に使うのか。
マーケティングに使うのか。
別の事業を始めるのか。
趣味に使うのか。
あるいは、さっさと仕事を減らして遊ぶのか。
ここから先は、人によって答えが変わってくるでしょう。
そしてじぶんは、最後の選択肢も案外悪くないと思っています。
AIによって「人間が働かなければならない時間」が減るのであれば、それは本来、悲劇ではありません。
むしろ、「人間が仕事以外のことをする時間が増える」という話でもあるからです。
Web制作者にとってAIは、仕事を奪う敵なのか。
それとも、仕事から解放してくれる道具なのか。
おそらく、その答えはAIそのものではなく、AIによって生まれた余白を、その人が何に使うかによって決まるのではないでしょうか。