企画書のなかで完璧に見えたコンセプトが、現場に入った瞬間に一度こわれる。
壁のわずかな凹凸、想定より低い天井、想定より明るい非常灯。ディレクターの仕事は、そこから始まります。
空間全体の「体験価値」に責任を持つ
一旗のディレクター職は、空間全体のコンセプトを統括し、体験価値を具現化する役割です。企画立案から演出設計、制作進行、現場でのジャッジまで、プロジェクトを総合的に牽引します。
「映像をつくる人」ではありません。来場者が入口をくぐってから、最後の一室を出るまでの数十分をどう設計するか。どの順番で、どんな明るさで、どんな音で見せるか。その全体像を持ち続けるのがディレクターです。
たとえば同じ映像でも、立って見るのか、座って見るのか、天井を見上げるのかで、必要な明るさも音量も変わります。順路の途中に一度立ち止まれる場所を置くかどうかで、後半の集中力も変わる。図面の上では見えないこうした要素を、ひとつずつ決めていきます。
一旗の場合、企画から運営まで社内にある
一旗は、企画・演出・制作・運営・効果検証までをワンストップで担っています。映像制作だけでなく、投影設計、機材手配、現場オペレーション、運営、広報まで社内で完結する体制です。
これはディレクターにとって、逃げ場がないと同時に、他社ではなかなか得られない環境でもあります。「演出上こうしたい」と「技術的にここまでしかできない」と「予算的にここが限界」を、別々の会社の担当者に伝言するのではなく、同じ部屋で同時に握れる。だから判断が速く、最後の最後まで粘れます。
もうひとつ大きいのは、運営まで自社で見ていることです。会期が始まったあと、どこで人が滞留するのか、どのシーンで足が止まるのか、アンケートに何が書かれるのか。その情報が、翌週の調整や次の都市の設計にそのまま返ってきます。つくって終わりにならない構造が、判断の精度を上げてくれます。
決めることが、いちばん多い仕事
国宝や重要文化財、世界遺産を舞台にすることも少なくありません。建造物には触れられない、投影できる面は限られる、光量にも制約がある。制約を並べていくと「できないこと」ばかりが増えていきますが、その制約こそが、その場所でしか成立しない演出を決めていきます。
正解のない問いに対して、期限までに決める。決めたことに責任を持ち、必要ならもう一度こわして組み直す。それを面白いと思える人にとって、これ以上ない仕事だと思っています。
判断の材料がそろうことは、ほとんどありません。仕込みの最終日に、想定より壁の反射が強いとわかる。監修の先生から、その表現は史実と違うと指摘が入る。天候で初日の演出が一部使えなくなる。そのたびに、何を守って何を諦めるかを決め直します。
言葉にできないものを、言葉にする
ディレクターの仕事の半分は、伝えることだと思っています。
頭の中にある完成イメージは、そのままでは誰にも見えません。デザイナーにも、エンジニアにも、現場のスタッフにも、協賛社にも、それぞれの言葉で説明し直す必要があります。
「もう少し幻想的に」では誰も動けません。「この壁は照度を半分に落として、音は波の音だけ残す」まで具体にして、はじめてチームが同じものを見られる。抽象と具体を行き来する力が、いちばん問われるところです。
こんな方と働きたい
・複雑な課題を、感覚ではなく論理で紐解ける方
・歴史や文化への敬意を持ちながら、新しい表現を構想できる方
・品質のために、細部まで妥協せずやりきれる方
一旗では、職種の境界をあまり固定していません。入社1年目から大型プロジェクトの重要な業務を任される代わりに、業務範囲は広く、自律的な判断が求められます。「決める側」に回りたい方を、お待ちしています。
まずは一度、実際のプロジェクトの話を聞きに来てください。どんな順番で何を決めているのか、どこで迷っているのか、具体的にお話しします。