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Vol.1 新しい生活様式を提案する、SANU創業の思い

Text by 本間貴裕 , SANU Founder / Brand Director

一人で下を向き、思わず笑顔になってしまう瞬間がある。早朝、誰もいない海。オレンジや紫、赤といった無数の色を湛えた朝焼けに染まる海面を、穏やかな波と共に滑る時。雪の降る白銀の冬山。仲間との距離がひらき視界から人が消え、ふと静寂が訪れた時。

30歳になった頃、私の人生は有限であり、かつ、自然は圧倒的に美しいことに気がついた。この時に何か特別なことがあったわけではない。しかし、20代を終え、肉体的にはこれから衰退していくんだな、なんて考えていた思考の先に行き着いた感覚。ちょっと待てよ、こんなに海も山も楽しいのに、自分が思いっきり身体を動かしてダイナミックに地球と遊べるのは、多く見積もってもあと40年しかないじゃないか。

日本の自然は美しい。切り立った山々と、そこに美しく流れる清流、力強い海。どこを訪れても心惹かれる景色がある。この小さな島国でさえそうなのに、世界は?広大な緑が広がるパタゴニアを歩いてみたい。青い雪が一面を埋めるアラスカの山々を滑ってみたい。力強く波が打ち寄せるハワイの海にだって入りたい。時間に余裕はない。

自然を仕事にしようと思った。都会の生活に疲れたタイミングで時々行く癒しや楽しみとしてではなく、生活の一部として自然と共に生きていこうと決めた。都市には娯楽がある。しかし、自然にはそれ以上の感動があった。

その時節、友人の結婚式で出会ったのが後にSANUを共に興しCEOとなる福島弦である。彼は北海道の大自然の中で育ち、その当時はマッキンゼーで活躍していた。共に自然が好きなこともあり、山に海に通うようになる。

左:SANU Founder / Brand Director 本間貴裕、右:SANU CEO 福島弦

「一緒に仕事をしよう。」

仕事ができるだけでなく、人が良い。そして全力で、社会のために出来ることをしようと努力している。この人と一緒に仕事がしたいと強く思い、誘い続け、2人で会社を作ることに決めた。

しかし、そこで私たちは立ち止まってしまった。ビジネスを興すことは、人が活発に活動することは、本当に地球のためになるのだろうか。田畑を耕し、旅行をせず、静かに暮らしていくほうが良いんじゃないか?人が動けば動くほど、Co2は排出され、開発は進み、地球は廃れていくのではないか?自然を仕事にすると決めたからこそ、自分たちがやる事業が海や山を壊す結果に繋がることだけは絶対に避けたかった。我々は何をすべきなのか。はたまた、何をすべきでないのか。そんな話を約1年間2人で続けた。

そんなある日、写真家であり登山家でもある石川直樹さんの言葉に出会う。

「ニュージーランドの鬱蒼とした原生林は人間から隔絶されたために美しい姿を保っているのではない。マオリというよき理解者が畏怖の念をもって森とつきあってきたからこそ、今の状態を保っていられるのだ。自然と共生するというのは、“人間が自然を守る”ことではなく、人間と自然が対等な関係を結ぶことではなかったか。」

日本には里山という考え方がある。人が立ち入り、人が作用することで健全に保たれる山。昔の人々は自分たちの糧となる食事を調達する山が、川が、動植物たちが豊かなままに生きていけるよう考えながら活動していた。ミツバチがはちみつを受けとる際に花々の受粉を手伝うように、自然での活動には循環がある。当時、ハチと同じように人間も、山に必要とされていた。

だとしたら。昔の人がそうだったのであれば、きっと今を生きる私たちもそうなれるはずである。そしてそれは、集団であっても、法人であっても同じく可能なはず。私たちが存在することで山が豊かに、海が綺麗になる会社を作ろう。

こうして生まれたのがサンスクリット語で「山の頂上、太陽、思慮深い人」という3つの意味を持つ「SANU」を冠した私たちである。SANUは、新しい生活様式を社会に提案する。人が活動すればするほど自然が豊かになっていく衣食住を、根本から考え直し、発信していく。

しかも、北風ではなく「太陽」として。環境危機に警笛を鳴らすことも必要だろう。しかし私たちは、その前に自然を「好きになる」ことが更に重要だと考える。海と山の美しさを知り、その地に通い、好きになること。そうしたらきっと、人は自然とその地を大切にしようと考えるはずだ。

そのための仕掛けの一つ目が、今私たちが事業化しているSANU 2ndHomeである。「自然の中にあるもう一つの家」というコンセプトを持つこのサービスは、月額5.5万円で山の中、海の隣に文字通りもう一つの家を持つことができる。

初期投資も要らず、インターネットや水道の申し込みももちろん必要ない。ウェブで2、3分で済むメンバーシップ登録を済ませたら、その日から自然の中にある生活を、都市生活を捨てることなく始めることができる。長野の白樺湖、山梨の八ヶ岳南麓の2拠点でSANU 2nd Homeはサービスを開始し、山中湖が3拠点目として先日オープンした。これから軽井沢、河口湖、伊豆、館山とどんどん拠点を増やしていく。

想像して欲しい。遠くない未来。SANU 2nd Homeの扉を開けるとそこに広がるのは知床の流氷が浮かぶ海であり、雄大な屋久島の木々であるかもしれない。はたまたそこは、人知れず良い波が立つトルコの海岸であり、さまざまな生き物が息づくアマゾンの熱帯雨林かもしれない。

2nd Homeが世界中に広がる時、地球全体が私たちの住処となる。そして私たちは目の前に広がる様々な自然に感動し、保全・共存していこうと具体的な方法をあらゆる方向から考えるようになる。世界が、自分ごとになっていく。

私たちSANUが掲げる理念は「Live with nature. / 自然と共に生きる」である。これは石油由来のプラスチックを減らし、事業と生活におけるCo2排出を最小限に抑え、認証を受けた木材を使用し、フェアトレードのコーヒーを飲むことである。そして同時に、木々の間から漏れる光に目を凝らし、湖畔に吹く静かな風に肌を当て、野に咲く一輪の花に心踊らせることでもある。

「SANUが来てくれてから、この山は豊かになったんだ。私たちの海は、あの時より少しずつ綺麗になっているね。」

こんな風に言われながら、Power of Communityを武器に、自然と遊ぶことを楽しみに、胸を張ってSANUを広げていきたい。

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