なぜ一次予防がこれからの日本に必要なのか
日本は世界で最も高齢化が進んでいる国の一つです。2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、「超高齢社会」の課題が一層顕著になります。これに伴い、医療・介護の需要が急増し、現行の社会保障制度や地域社会に多大な負担がかかることが予想されています。一方で、健康不安や孤独感といった課題は、高齢者のみならず幅広い世代に広がっています。このような状況において、「一次予防」の重要性が急速に高まっています。
一次予防とは、病気やケガを未然に防ぐための取り組みを指します。具体的には、生活習慣の改善や健康診断、適度な運動、食生活の見直しなどが含まれます。この段階で問題を防げれば、医療機関や介護施設にかかる負担を大幅に減らすことができます。それだけでなく、個々人の生活の質(QOL)を向上させ、より長く健康で充実した人生を送ることが可能になります。
健康不安の解消が必要な理由
健康不安は、病気になる前から人々の生活を制約し、精神的にも大きな影響を及ぼします。「病気になるのではないか」「家族に迷惑をかけるのではないか」という漠然とした不安が、活動意欲の低下や社会的孤立を引き起こします。この結果、実際に体調を崩すリスクが高まるという悪循環に陥りがちです。
この問題を解決するためには、早い段階での介入が欠かせません。たとえば、ウェアラブルデバイスやスマートフォンを活用して日々の健康データを記録し、異常があれば早期に通知する仕組みは、健康不安を軽減する強力なツールとなります。また、専門家やコミュニティによる定期的な健康チェックやアドバイスを受けることで、問題に早く気付き、適切な対策を講じることが可能になります。
孤独の解消が一次予防に果たす役割
孤独感もまた、日本社会において深刻な問題です。高齢化と核家族化が進む中、家族や地域とのつながりを持たずに生活する人が増えています。孤独は、精神的な健康に悪影響を与えるだけでなく、心疾患や認知症、うつ病など、身体的な健康リスクを高めることが分かっています。
ここで一次予防として重要なのが、「つながり」を生み出す取り組みです。地域での交流イベントやボランティア活動への参加、デジタル技術を活用したつながりの実感などは、人々が社会的に孤立するのを防ぎます。
STARTWELLがもたらす未来
一次予防に力を入れることで、医療・介護費用を抑制し、個々人がより健康的で幸福な生活を送れる社会を実現できます。さらに、社会全体として健康寿命が延びることで、労働力不足の緩和や地域の活性化にもつながります。
日本がこれから直面する課題を考えれば、一次予防は「やるべき」ではなく「やらなければならない」取り組みです。超高齢社会というと、どちらかというとネガティヴなワードが聞こえてきますが、私たち一人ひとりが健康を守る意識を持ち、社会全体で予防サービスを推進することで、長寿社会としてのポジティブな未来を切り拓けると信じています。