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2023年、29歳の12月。
身体に腫瘍が見つかり、私は緊急手術を受けました。
手術は、無事成功。
しかし、良性なのか悪性なのかの判断は、年明けの病理診断を待つことに。
もし悪性だったら、
生存率はどれくらいなんだろうか…
家族はどうなってしまうのか…
今この瞬間もがんは進行しているのではないか…
言いようのない不安と恐怖。味わったことのない絶望感。
励まそうとしてくれる人にまで苛立ってしまう自責の念。
絶望感で世界から彩りは失われ、時空が歪んでいるような感覚でした。
病理診断の結果は、残念ながら悪性腫瘍。
ただ、不幸中の幸いだったことは、
転移等は見られず、手術ですべて取り切れたという説明でした。
捨てる神あれば、拾う神あり。
拾った命、ここから新しい人生を始めよう。
そう思い立ち、転職活動を始めた2ヵ月後…転移が見つかりました。
しかも今度は大血管の横で、外科的手術ができない場所。
人生は再び暗転。そして、それから3ヵ月は、抗がん剤を使用した闘病生活。
それはもう筆舌に尽くしがたいほど過酷なものでした。
それでも、闘い抜けたのは、ひとえに家族の存在のおかげです。
がんの前後で、世界の見え方が大きく変わりました。
なんで自分なんだ、何がいけなかったんだと、
変えられない過去を恨めしく、怒りに支配された日々。
ただ、その絶望の縁で気がついたのは、
家族のかけがえのなさ、時間の有限さ、そして世界の美しさでした。
そんな自分の心の支えになってくれた3人の子どもたちから、
いつまでも自慢される父親でありたいという想い。
そして、もっと今を味わい、生を豊かにしたいという渇望感。
今、私は味わい深いキャリアを、このニフジで刻めていると感じています。
高校は、大学付属の高校に進学しました。
バスケットボールに勤しむ、ごく普通の高校生。
そのまま大学に内部進学するのが、既定路線。
私の人生の最初のターニングポイントは、
大学に内部進学せず、高卒でスーパーマーケットに就職したことです。
きっかけは、家庭の事情であったものの、
今振り返れば、やや自暴自棄な社会人生活の始まり方でした。
周囲が華やかな大学生活を送るのを横目に、毎日店頭で働く自分。
自分のキャリアはここから始まっているんだという現実の許容に、
恥ずかしながら、実に3年の月日を要しました。
しかし3年も経つと、いくら仕事観が未熟とはいえ、
相対的な経験の長さから、部下を持つことになります。
与えられた機会ではありましたが、これによって私の意識は徐々に変わっていきました。
自分のためではなく、メンバーやお客様のために働く。
不満を垂れるのではなく、改善を試みる。
今振り返れば、社会人としてごく当たり前のことですが、
心持ち一つで、社会人生活は豊かになることを学びました。
最終的には、100名規模のリーダーとなり、
プライベートでは2人の子宝にも恵まれ、さらに新たな命も授かり、
充実した社会人生活を送っていました。
そして、その日は突然やってきました。
今日という1日が、昨日の延長にあるとは限らない。
唐突でありながら、紛れもないその現実は、私を押し潰しました。
しかし、そんな現実の拒絶と、怒りに支配される日々の先で出会えたものは、
いい意味での諦め、己の病気の受容、変えられることに注力する自分でした。
世界は自分がいなくとも、あたりまえのように回っている。
病床からでは感じられない四季も、着々と進んでいく。
そんな命の儚さと、生の尊さと有り難さに気づいたことで、
私は文字通り「生まれ変わった」と感じています。
もっと、チャレンジングな人生を送りたい、
もっと、自分の人生を味わいたい。
そして、子どもたちが誇れる父親でありたい。
寛解という言葉と同時に、心の底からエネルギーが湧き上がってくるのを感じました。
世界の見え方は変わったものの、世界が変わったわけではありません。
私の想いとは裏腹に、転職活動は困難を極めました。
分かっていたことではありましたが、
高卒、小売業出身は、転職先の選択肢が非常に少なく、多くの企業が書類選考落ちでした。
ニフジとの出会いはエージェントからの紹介。
「世界標準の医薬品を、日本に届けていく」という文字を見た時、
ここかもしれないと縁を感じたことを覚えています。
最終選考では、その想いをまっすぐに伝えました。
結果は、無事内定。
しかし内定直後に、転移が見つかり、私の入社は半年遅れることになりました。
さすがに内定は取り消されるだろう。
そう思い、ダメ元で再度面談に参加しました。
驚くべきことに、ニフジは、私の回復を待っていてくれました。
今は、毎日がチャレンジの連続です。
小売業とは全く違う働き方、売り場もなければ、制服もない。
在庫もなければ、お客様も来ない。
毎日が勉強で、がむしゃらにやっています。
戸惑うことも少なくありませんが、これこそ自分が望んだキャリア。
だから、この決断を正解にしたい。
そして、自分が救われたように、
医薬品で救われる人をひとりでも世界に増やしていきたい。
畑違いの業界からニフジへの転職は、苦労も多いですが、
私にとっては、この仕事は、生を実感できる日々なのです。
いつか、子どもたちが大きくなったら、
パパは医薬品商社でこんな仕事をしてたんだと、
胸を張って語りたいと思っています。