大事なのはコードじゃない──技術よりも「人」を見る、Connect Design式「伴走型」エンジニア
大事なのはコードじゃない──技術よりも「人」を見る、Connect Design式「伴走型」エンジニア
「プログラミングが得意ではなくても、エンジニアとして活躍できる道はないだろうか」──Connect Designの創業メンバー大槻真一さんは、文系出身でSIerに17年勤めた経験の中で、そんな思いを抱いていました。
大槻さんが気づいたのは「技術だけがエンジニアの価値ではない」ということ。お客様の業務を深く理解し、課題解決のために寄り添う。時には「システム化しない方がいい」と提案することも大切だと実感したのです。
「システムを納品して終わり」ではなく、実際に活用され課題が解決されるまで伴走する。そんな関わり方を求め、大槻さんはConnect Designの創業に参画しました。
コーディングに自信がなくても、「人を大切にする」という思いがあれば活躍できる新しいエンジニア像。その可能性と挑戦についてご紹介します。
17年勤めた会社よりも「Connect Design」
──まずは、大槻さんがこれまでどのようなキャリアを歩まれてきたのか教えていただけますか。
高校までは野球少年でスポーツ一筋でした。正直、ITのことは全然分からず、「ITって儲かるんじゃないかな」くらいの軽い気持ちで専門学校に進みました。パソコンも特に好きではなかったんです(笑)。
卒業後は地元のシステム開発会社に就職し、SIer(エスアイヤー)として17年間勤めました。そこでシステム開発の基礎を築き、プログラマーからシステムエンジニアになり、グループウェアの導入やレクチャーの仕事も多く経験しました。
転機となったのは代表・小谷との出会いです。小谷は経営コンサルティングの経験を持ち、私はシステム開発の経験があるという異なるバックグラウンドを持っていました。彼と一緒に仕事をする中で、特に印象に残っているのが、会社内では珍しい「活用支援案件」です。
──「活用支援案件」とはどういったものなのでしょうか。
通常、システム開発会社は開発したシステムを導入するところまでの契約が多いのですが、この案件はシステムを導入した後のサポートを行うものでした。お客様から「システムを導入したけど、使い切りたいのにどうしたらいいか分からない」という相談を受けて、小谷と二人で提案して受注しました。
こうした経験から、導入した後で困っているお客様が多いことに気づいたんです。システムを入れるだけでは課題解決の入り口に立っただけで、実際に使ってこそ初めて課題解決につながります。でも、会社では「導入の見積もりを出して、提案段階で活用までを提案に含めない」が通常のフローでした。
その後、小谷が独立すると聞いた時、正直悩みました。「彼がいなくなったら、この会社での仕事はどれくらい面白いだろう?」と。ようやく自分のやりたいことが見えてきた時に、一緒に働くパートナーがいなくなるのは寂しいと思ったんです。結局、「導入したシステムを使い切って効果を感じていただきたい」という思いを実現するため、17年勤めた会社を辞め、小谷と一緒にConnect Designを創業しました。
──安定した会社を辞めるのは大きな決断だったと思います。
そうですね。周囲からは「アホじゃないの」と散々言われました。「昇進できたかもしれないのに」「17年もいてもったいない」「住宅ローンも組んでるのに、なぜそんなチャレンジをするの?」と。でも、やりたいという思いが消えず、思い切って飛び込むことにしたんです。
ITコンサルティングをベースに、お客様の課題解決に寄り添う
──Connect Designではエンジニアとしてどのような仕事をされているのですか。
私たちConnect Designの特徴は、ITを扱っていても単なるシステム開発会社ではないということです。ベースはITコンサルティングであり、「伴走支援」という形でお客様の課題解決を第一に考えています。
具体的な業務は、営業活動とシステム構築の二つに分かれます。営業ではお客様先でのデモやヒアリングを行い、システム構築では「伴走支援」というプロジェクト形式での支援、システム開発、サポート業務を行っています。
最も重要な業務のひとつが「設計業務」です。これは単にシステムの仕様を決めるだけではなく、まずお客様の業務を深く理解することから始まります。お客様の業務の流れを「誰が」「いつ」「何を使って」「どのような作業をするか」という形で業務フロー図にまとめ、課題を特定します。そして解決後の理想的な業務の姿を設計し、それを実現するためのシステム機能を考えていくのです。
──つまり、プログラミングスキルよりも業務理解が重要なのでしょうか。
その通りです。高い技術力も大切ですが、それ以上に重要なのは、お客様の業務にフィットするシステムを提案・構築できるかどうかです。どんなに素晴らしいシステムでも、使えなければただの自己満足になってしまいます。
私たちが目指しているのは、課題解決の方法としてシステム開発があるという立ち位置です。その一環として、ノーコードツールも活用しています。これは視覚的な操作でアプリケーションを開発できる技術で、お客様との対話を繰り返しながら素早く形にできるのが利点です。70%程度の完成度で形にして見せ、フィードバックをもらいながら改良していきます。
このような開発スタイルでは、お客様の言葉を鵜呑みにせず、本当の課題を考える力が必要です。時には「システム化しない方がいいんじゃないですか」「Excelで十分ではないですか」と提案することもあります。
Connect Designのエンジニアには、コードを書く能力よりも、お客様の業務を理解し最適な解決策を提案できる能力が求められます。システム構築が目的ではなく、お客様の課題解決が本当の目的なのです。
「人」を大切にする。課題解決のための真のエンジニアリングとは
──ここまで前職とConnect Designの違いについてお話しいただきましたが、大槻さん自身が大切にされている価値観は何でしょうか。
私の価値観を一言でいえば「人」です。システム開発の世界でも、最終的には人と人とのつながりが全ての基盤になると思っています。
具体的には、相手の話を先入観なく聞くことを大切にしています。すぐに判断や提案をせず、まず相手の言葉をそのまま受け止め、十分に理解してから反応する。外からは「受け身体質」と見られることもありますが、目的を持って意識的に行っています。
多くの人がすぐに解決策を提示したがる中で、あえて深く聞く姿勢を取ることで、本当の課題が見えてくるんです。どんなに優れた技術やシステムも、人の真のニーズに応えてこそ意味があります。
システム開発という技術的な仕事の中でも、根底にあるのは「人を大事にする」という価値観だと思います。
──そうした価値観は、小谷さんとの仕事を通じて影響を受けた部分もありますか。
はい、大きく影響されています。小谷は顧客からの信頼度がとても高く、常に不思議に思っていました。観察していると、彼は相手をよく見て、その人に合った提案ができるんです。一方的に「こうすべき」と押し付けるのではなく、相手の状況を汲み取った上で最適な提案をしていく。その姿勢が深い信頼関係を築いているんですね。
その姿を見て、私も「良いシステムを作る」「最新技術を使う」ということ以上に、目の前の「人」を大切にすることが重要だと気づきました。Connect Designでも、その考え方が根付いていると思います。
▼代表・小谷のインタビュー記事はこちら
言葉を形に。地方×デジタルで課題をビジネスに変える伴走型デジタル化企業 Connect Design
印象的な事例として、あるお客様へのGoogle Workspace導入があります。コスト面から「幹部だけでいい」と考える経営者が多い中、私たちは「DXを進めるなら全員導入が必要」と粘り強く提案し続けました。初めは信用してもらえませんでしたが、最終的に全員導入していただき「やっぱり全員に入れてよかった」と言ってもらえたんです。
Connect Designでは、導入という入口から、導入後の効果まで見届けられる。これこそが私が最もやりたかったことであり、最も嬉しい瞬間です。
「コーディングの美しさ」より大切なものがある。未経験者でも挑戦できるエンジニアの道
──「エンジニア」というと技術力が求められるイメージがありますが、大槻さんご自身はその点についてどう感じてきましたか。
私のキャリアを振り返ると、実はコーディングスキルには常に葛藤がありました。前職では「コーディングの美しさを追求して、四六時中それを考えられるようになれば、もっと頼られる存在になれるのでは」と悩んでいた時期もあります。
しかし何度勉強しても、自分の目指す「理想のエンジニア像」には届かず、ふと「コーディングの美しさって何だろう?」「地方のSIerにいる私にそれが本当に必要なのか?」と考えるようになりました。
私は文系出身で理系的思考が得意ではありません。プログラミングの技術面で頂点を目指すより、お客様の話を聞いて課題を理解し解決策を考えることこそが自分の強みだと気づいたんです。
──そうした経験から、未経験の方やプログラミングに自信がない方でもエンジニアとして活躍できる可能性はあるとお考えですか。
はい、十分あると思います。特に地方企業の課題解決では、コーディングスキル以上に、業務理解力や問題解決力が重要です。私たちが活用しているノーコードツールを使えば、プログラミング言語を習得していなくても課題解決に貢献できます。
Connect Designが求めているのは「お客様の課題解決に対する情熱」です。技術は習得できますが、「人の役に立ちたい」「課題を解決したい」という思いこそが原動力になります。未経験でもこの思いがあれば成長できる環境があります。
もう一つ大切なのは「好奇心」です。ITの世界は常に進化していますから、新しいものに興味を持ち学ぶ姿勢があれば、技術的なハードルは少しずつ越えていけると思います。
──Connect Designの社内文化や働く環境についても教えてください。
私たちは業務委託含め8名で動いており、マーケティングや財務など、それぞれが異なる得意分野を持つメンバーが集まっています。
特徴的なのは「飲み会が全くない」こと。形式的な交流よりも、仕事の中での濃密なコミュニケーションを重視しています。リモートや対面での会議では「これについてどう思う?」といった相談ベースの対話が活発で、遠慮なく意見を交わすことができます。素直に受け止め、建設的に議論できる風通しの良さが私たちの文化です。
地域課題を解決し伸びゆく会社。一緒に取り組む仲間を求む
──今後の展望についてお聞かせください。
ありがたいことに、お客様からのご相談やご紹介の数は年々増えています。特に地方企業のデジタル化やDX推進に関するニーズが高まっていることを実感しています。
ただ、増え続けるご依頼に質の高いサービスを提供し続けるには、人材の拡充が必要です。
現在の課題は、代表の小谷のヒアリングスキルや私の設計経験など、個人の経験に依存している点です。そこで、ノウハウをパッケージ化することで、新しいメンバーも成長できる環境を作りたいと考えています。
──最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
Connect Designのエンジニアは、コードを書くだけでなく、お客様の課題を見つけ一緒に解決する「伴走型」のエンジニアです。「人を大切にする」「課題に寄り添う」姿勢を持った方と働きたいと思っています。
コーディングに自信がなくても、好奇心があり、人の役に立ちたいという思いがある方なら、きっと活躍できます。ぜひ一度お話ししませんか。