MEMBER PROFILE
プロデューサー 久井 克也
2008年新卒入社。『サカつく6』『サカつくDS2010』にプランナーとして携わる。『サカつく7』ではディレクターを担当し、最新作『サカつく2026』ではプロデューサーを務める。
ディレクター 船越 雅庸
2024年中途入社。ゲーム業界における複数社での経験を経て、セガに入社。各社で新規ゲームアプリのディレクターを担当し、立ち上げと運営に従事。『サカつく2026』にはマルチプラットフォームディレクターとして参加し、現在は全体を統括するディレクターを務める。
リードプログラマ 菅原 拓海
2018年新卒入社。『リボルバーズエイト』のクライアントプログラマ、セガ運営7タイトルのサーバープログラマなどを経て、『サカつく ROAD TO WORLD』のサブリードクライアントプログラマを担当。『サカつく2026』ではリードプログラマを務める。
デザインリーダー 三浦 有佑
2005年新卒入社。『ガリレオファクトリー3』『SWDC』『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック™ アーケードゲーム』などのデザインリーダーを歴任。『サカつく2026』では背景リーダーとして参加し、現在はデザインリーダーを務める。
『プロサッカークラブをつくろう!』(通称「サカつく」)は、サッカークラブの代表に就任し、クラブ運営や試合采配を行いながら世界最強のサッカークラブを目指す運営シミュレーションゲームだ。
1996年の第1作以降、さまざまなプラットフォームでシリーズ作品が展開されてきた。今回は約8年ぶり新作『サカつく2026』の開発メンバーに話を聞いた。
――久しぶりのナンバリングタイトルはどのような経緯で生まれたのでしょうか。
久井:企画したのは5年ほど前です。当時すでに『サカつく ROAD TO WORLD』というスマートフォンタイトルを運営していたのですが、コンシューマゲームのような体験をもう一度作りたいという思いが自分の中で強くなっていました。開発期間を見積もると3年ほどかかる計算だったので、新作を出すタイミングとしてもちょうど良いと考えたのです。
当時「サカつく」のIPが自分の管轄部門にあったことも、企画を進める後押しになったと思います。企画の時点ではコンシューマゲームの体験とフリー・トゥ・プレイのビジネスモデルを組み合わせるハイブリッドな形を目指してのスタートでした。
チームは元々スマートフォンゲームを開発していたチームをベースに編成しました。最初はスマートフォン向けにリリースしてから、コンシューマハードに展開を広げる構想でしたが、議論を重ねる中で複数プラットフォームを同時に展開する方針に変わりました。ここは技術側がかなり苦労した部分だと思います。そのプラットフォーム展開を見据えて、開発の終盤から船越に加わってもらいました。
船越:自分が入社したのは2024年で、開発としては終盤のタイミングでした。最初はマルチプラットフォームディレクターとして、PlayStationやSteamへの展開をハンドリングする役割で参加しました。マルチプラットフォームディレクターは、ゲームそのものだけでなく、各プラットフォームとの調整など、ゲームに直接関わらない部分の仕様にも普段から考えを巡らせる立場です。前職はスマートフォンゲームが中心で、PlayStation展開は未経験でしたが、「いけるだろう」という気持ちでそうした調整をスピード感を持って進めていました。
そういう立場で動いていたからこそ、もっと良いゲームにできるはずだという声が出てきたタイミングで、他のメンバーとは違う視点から提案ができたのだと思います。そのときの内容を久井に見せたところ、そこからわずか一週間ほどで体制が大きく変わりました。
久井:ここまでのアウトプットで、まだ品質に自信を持てていなかった部分があったのですが、船越の案を見たときに、これならやりきれるかもしれないと感じました。資料の段階でも求めていた体験に大きく変わりそうなことが見えたので、迷わず船越を中心とした体制に切り替えました。入社からそれほど時間が経っていないタイミングでの大きな役割の変更でしたが、それまでの数ヶ月でスピード感やリーダーシップを十分に発揮してくれていたので、自然な流れだったと思います。
――体制変更後、具体的にどのような部分を改善していったのでしょうか。
船越:グラフィックや個々のシステムといったパーツ単体のクオリティは決して低くありませんでした。ただ全体を統合したときのつなぎ方や、ゲームとして成立する流れの作り方にもう一歩踏み込む余地があると感じました。家庭用ゲームらしい体験を大事にしながら、ガチャを含めたゲームデザイン全体のバランスをどう整えるかが大きなテーマでしたね。
具体的な例で言うと「リーグレベル」という概念を新たに加えました。Jリーグだけでチームを育てると、強豪リーグの選手たちにはどうしても見劣りしてしまいます。Jリーグだけで楽しみたい人と強い選手を持つ人のバランスを整えるために、クリア後に強くなっていく仕組みを取り入れたのです。
久井:あとは、「サカつくモード」の変更などもありました。当初は、「サカつくモード」に最低でもガチャで獲得した選手を2人チームに入れる必要がありました。しかし、クローズドβテストで古参のユーザーから「課金前提のような設計は「サカつく」らしくない」という声をいただいて。その意見に共感する部分があったのでチームに入れなくてもいい仕様に変更したのです。昔から続く「サカつく」らしい体験を残しながら運営ゲームとして楽しんでもらえる形をどう作るかは、大きな挑戦でした。
幸いリリース直後は想定を超えるダウンロード数があり、初動としては良いスタートを切れました。コミュニティを巻き込みながら一緒に良い「サカつく」を作っていく取り組みも、これまでセガとしてあまり踏み込めていなかった部分だったので、それが初動につながったと感じています。その後は試行錯誤を重ねながら、今は安定した運営に近づいてきている段階です。2026年は世界的なサッカーの大会もあるため、改めて多くの方に届けられるよう準備を進めています。
――開発のこだわりや苦労を教えてください。
菅原:開発で特に苦労したのは試合シミュレーションの仕組みです。私は2021年冬のプロトタイプ開発の段階から参加していたのですが、「サカつく」の試合エンジンは過去のシリーズから積み重ねられてきたもので、内部構造が見えにくくなっていた部分がありました。今後シリーズを拡張していくにあたって、自分たちがしっかり理解できる形に試合エンジンを作り直すことを最初のミッションとして取り組みました。
また、以前開発に携わっていた『サカつく ROAD TO WORLD』においてはスマートフォンゲームらしいカジュアルさを押し出しながらも、コンシューマのナンバリングタイトルと比べた体験の物足りなさを自分自身も感じていました。そうした経験があったからこそ、『サカつく2026』では本格的なゲーム体験と外出先でも気軽にプレイできる気軽さの両立を目指して、膨大なデータ処理の最適化に注力しました。
さらに、今作ではモバイル・PlayStation・PCをまたいだクロスプラットフォームでのプレイが可能になっています。プラットフォームが増えるとそれぞれに異なるルールが設定されているので、それらを一つのゲームの中で並立させる設計には苦労しました。同じアカウントで外出先はスマートフォン、自宅ではPlayStationといった遊び方もできるようにしているので、データの同期や整合性の担保にも気を配っています。
三浦:デザイン部分でもクロスプラットフォーム対応の苦労は多かったですね。自分が参加した当初はPlayStation対応が決まっていなかったので、モバイル向けに過去のリソースも活用しながらスピードを重視した開発を進めていました。後からPlayStation対応が決まったタイミングでは選手モデルを大きく作り直すことは難しかったので、テクニカルアーティストと相談しながら既存の素材で見栄えを最大限引き上げる工夫をしました。
約8年ぶりの新しい「サカつく」として、シリーズのファンの期待を裏切らないことを意識して取り組みました。
――チームの雰囲気について教えてください。
菅原:プログラマチームはどちらかというと守りの姿勢が強いメンバーが多く、運営タイトルとしての安定運用ではその強みが活かされています。私は前のめりにゲームの改善へ取り組むタイプなので、その分しっかり守ってくれるベテランの存在をとても頼りにしています。他のチームとも論理的に話し合える関係で、リスペクトを持って仕事ができていると感じます。加えて、プログラマチームでは、若手も活躍しています。ベテランと若手の比率はほぼ1対1で、新卒2年目のメンバーも主体的に動いていますし、若手ならではの視点が開発に活かされる場面も少なくありません。
また、セガ全体として部署間の交流を広げる動きがあり、近くの事業部とは勉強会や座談会のような形で交流を強めています。
三浦:デザインチームは、「サカつく」がシミュレーションゲームなので、UI班メンバーが多い体制です。デザイナーメンバーにスポーツ好きなメンバーがいて、自ら提案や資料集めをしています。また、新しい技術を試してみたいという若手の提案を積極的に受け入れる文化がありますね。デザインチームでも1年目の社員が新しいツールの導入を提案し、それが採用された事例があります。背景制作の効率が大きく上がりました。若手の提案を受け入れる柔軟さは、このチームの良いところだと思います。
船越:ディレクターを担当するようになったタイミングで、チームの空気感をかなり意識しました。プログラムの実装は時間がかかるので、見え方が変わるデザイン面の進化を先に見せることで、早い段階で信頼を作っていくことを意識して進めています。
久井:船越がそこを意識しているのは伝わってきましたし、結果としてチームの雰囲気を大きく崩すことなく、みんながしっかりついてきてくれたと感じています。
――これからの開発者に求められる視点はありますか。
久井:面白いものを作ることはもちろん大切ですが、それをどう届けるかという視点が今まで以上に求められています。企画だけでなくデザインやプログラムを担うメンバーも、ユーザーに届けるためにどうするかを一緒に考えていく必要があると思っています。
菅原:開発チームと運営チームの距離を縮めることも意識しています。運営チームが武器にできるものを作ろうという考え方を開発チームに伝えています。
三浦:自分はJリーグファンなので、ファンとして刺さる施策を提案することもあります。デザインメンバーには自分が作ったものが誰かに届いていることを意識してもらいたいと伝えていて、ゲームだけに留まらず、ユニフォームやタオルといったグッズのデザインもメンバーから案を出してもらっています。
――どんな人が活躍できると思いますか。
船越:前のめりに自分のやりたいことを発信し、引っ張っていける人だと思います。サポートしてくれる環境は整っているので、様子を見るよりも先に進めていく姿勢が活かされると感じます。
菅原:大規模なオンラインゲームの開発や運営の経験がある方は力を発揮しやすいと思います。また、マルチプラットフォーム対応のように様々な知識をメンバー間で持ち寄って課題の解決を図る場面も多いので、開発経験の有無に関わらず、自分の強みを理解した上でその強みをどう活かすかを前向きに考えられる人が向いているのではないでしょうか。
三浦:サッカーやスポーツが好きでなくても活躍できます。アニメやゲームなど自分の好きなものを選手の魅せ方に落とし込める人など、誰でも力を発揮できる環境だと思います。
久井:セガが大事にしている「創造は生命」という考え方に共感し、ゲーム体験そのものにこだわれる人と一緒に仕事をしたいですね。
――「サカつく」を今後どうしていきたいですか。
船越:長く遊んでもらえるIPだからこそ、半年ごとの大型アップデートでユーザーの要望を一つずつ形にしていきたいと思っています。過去の家庭用「サカつく」シリーズの要素を一つずつ取り入れていくことで、長く触れてもらえるゲームにしていきたいです。
久井:業界にとってエポックメイキングなものを生み出したいという思いは常にあります。これからもユーザーに届けるための工夫を重ねていきたいですね。