1. セレンディピティとは
セレンディピティとは、ふとした偶然から思いがけない発見や幸運を手にすること、またはその才能を指す言葉です。日本セレンディピティ協会では、偶然に出会った物事の中に新しい価値を見出し、奇跡や幸せを生む力、と定義されています。この言葉の由来は『セレンディプの三人の王子』という童話で、セレンディプとは現在のスリランカを指します。この物語では、三人の王子が旅の途中で偶然目にしたものが、当初の目的とは異なるものの、結果的に幸運をもたらした、というストーリーが描かれているそうです。
セレンディピティは、科学の分野では昔から使われている言葉です。例えば、ノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一氏は、誤って作ったサンプルを「もったいない」と思い実験に使った結果、大発見に至りました。また、青色発光ダイオードの開発によりノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授は、実験用の装置が壊れてしまい予定通りに進められない中、新しい方法を試したことで成功をつかんだとされています。さらに、筑波大学名誉教授の白川英樹氏は、導電性高分子の研究中、触媒量を間違えたことでそれまで得られなかったフィルム上のポリアセチレンを発見し、これがノーベル化学賞の受賞につながったというエピソードも有名です。
これらに共通しているのは、「偶然生まれた現象をそのまま流さず、なぜそれが起きたのかを深く追求した」という点です。セレンディピティは「運任せ」ではなく、行動力や好奇心とも結びついているのです。もちろん運の要素もありますが、その運を生かすには、大発見自体に「気づく力」と、粘り強い探究心が必要不可欠です。
2. 気づく力
我々一般人は、ノーベル賞のように大きな成果につながる発見をすることはないですが、日常生活でも、小さな発見をして、それが人間としての成長につながるという場面はよくあります。
例えば、ジョギングで知らない道を走ってみたり、初めて挑戦する料理が成功したりするような日常の小さな発見は、自分の視野を広げるきっかけとなります。こうした発見を通じて、新たな視点や方法を取り入れることができるのは、成長への第一歩です。
逆に、前を歩いている“歩きスマホ”の人を避けようとしたところ、向かい側から歩いてくる人を避けるためにその“歩きスマホ”の人が急に目の前に移動してきて、それでもう一度避けようとしたものの、再びその人が目の前に現れ、イライラさせられる。しかし、当の“歩きスマホ”の人自身は、後ろにいる人に迷惑をかけていることにまったく気づいていない、ということはよくありますが、これは「気づく力」の対極にあたります。知らないうちに周りの人にストレスを与えると、いずれ自分に返ってくる可能性があります。気をつけましょう。
3. 弊社誕生のきっかけとセレンディピティ
弊社の代表は中小製造業出身で、溶接の現場職から、最後に在籍していた金型の営業職まで、どの会社でもほとんど教育をされたことがなく、また管理職になってからも、部下の指導方法を教えてもらえませんでした。一方で、30歳前後のときに、一から海外進出を立ち上げるというプロジェクトを任され、「仕事が大きすぎる、これは勘と経験だけでは無理だ」と思いました。そんななかで偶然、ある中小企業診断士と出会い、社長自身も中小企業診断士の勉強を始めたときに、「考え方や仕事の進め方、優先順位のつけ方などについては正解がある」ということに気づき、「自分と同じように困っている人がいっぱいいるんじゃないか」と考え、現在の会社を立ち上げたという経緯があります。
この話で言いますと、弊社の社長が中小企業診断士という資格もしくは教材に出会ったことはセレンディピティですが、その後、勉強を続けていろいろなことに気づき、会社を興したところは社長自身の力です。
4. 結局大事なのは運よりも努力
弊社は「日本中の製造業を助けたい」という社長の想いから、中小製造業に特化した人材育成・組織開発の支援を行っています。しかし当然ながら、相手の企業によって、事情も、目指す方向性も、社員の考え方なども全く違うため、支援の方法は一筋縄ではいきません。ですが、その都度、相手の状況に応じた最善の支援策を一生懸命考え、さまざまな形でサポートを行っています。
社長の「日本中の製造業を助けたい」という想いは本気です。社員がどうも生き生きとしていない、社内のコミュニケーションがいまいち、離職が多い、などといった悩みをお抱えの経営者の方や管理職の方、ぜひ一度弊社へご相談ください。御社のお話をお伺いしながら、他社さんでの事例等をご紹介できればと思います。何かしらのメリットをご提供できるはずです。お気軽にどうぞ。