1
/
5

自分の「武器」を決めつけない。まずはやってみることの大切さ

インフォバーンで働く社員へのインタビュー企画。今回は2019年に新卒として入社し現在6年目、コミュニケーションデザイン第2事業部でコンテンツディレクターを務める李泰炅(り・てぎょん)さんに、李さんと同じ案件にて絶賛奮闘中の新卒1年目・殿村がお話をうかがいました。

“修行”と捉えて交換留学に挑んだ学生時代や、編集者の道を目指し2度経験した就職活動、はじめは興味のなかった分野の案件にアサインされて学んだ、仕事を「好き」になる秘訣……などなど、李さんの変化と成長の軌跡に迫ります。

“根無し草”だった大学生活。修行の一環で交換留学へ!?

ーー本日はよろしくお願いします。ところで、李さんは日本のロックバンドがお好きだとか。

そうなんです! 「BUMP OF CHICKEN」や「People In The Box」、「ELLEGARDEN」など色々なバンドが好きで、最近はあまり行けていないんですが、中高生の頃は毎月何かしらのライブに行ってましたね。

バンド好きが転じて、高校では軽音部、大学ではバンドサークルに入っていました。サークルは1年で辞めてしまったので、あんまり「サークルにいた」感はないんですが。

ーーそうなんですね! ちなみにバンドのご担当は?

大体ボーカルで、まれにキーボードを担当していました。私の声が比較的高めなので、「チャットモンチー」とか、女性アーティストのカバーが多かったですね。男声で泥臭くかっこよく歌える人が羨ましかったです(笑)。

ーー李さんの歌声、ぜひいつか聴いてみたい……! 大学時代は、バンドサークルに入っていたというお話もありましたが、どんな学生生活を送っていたのでしょう?

社会学を専攻して、特にナショナリズムやエスニックマイノリティについて学んでいました。交換留学に行ったり、大学のボランティアセンターのプロジェクトに参加したりしていましたね。プロジェクトの内容は、北朝鮮と韓国の軍事境界線にある村に、韓国の大学生と一緒にボランティアに行くというものでした。私は在日コリアンなんですけど、日本生まれ日本育ちで朝鮮半島のことは何もわからなかったので。

▲ボランティアのプロジェクト期間中に「お世話になった」という、38度線付近にある村の様子

▲村に泊まっている間、食事は日韓の学生たちで自炊していたそう

あとは編集者に憧れていたので、出版社のインターンに参加したり、編集塾に通って勉強したり……。一言でいえば“根無し草”みたいな大学生活を送っていました(笑)。無理やり共通項を持たせるとしたら「音楽・韓国・編集」になるかな。

ーー“根無し草”だなんてとんでもない。 たくさんのことをやられていたんですね。交換留学はどこに行かれたんですか?

韓国……と思いきや、アメリカなんですよ。

留学自体は、高校生の時から「大学生になったらしよう」と決めていたんです。当時は韓国に留学する気で、「自分のルーツがある国のことを理解するには住むのがいちばん」と思ってました。あと、自分はあんまり根性がなかったので、どこかで一度もみくちゃにされる必要があるなとずっと感じていて。

だから、留学といってもあまりワクワクした感じではなくて「修行するぞ」って気持ちで行きました。最終的にアメリカを選んだのは、日韓関係や韓国についてだけじゃなくて、移民やエスニックマイノリティ全体について知りたくなったからですね。

▲「アメリカ人の友達の実家にお邪魔した時にご馳走してもらった」という“ガチ”クリスマスディナー

▲勉強疲れを癒やしにきてくれたのか、なんと大学の図書館にセラピードッグがやってきたことがあったそう

――「語学留学」ではなく「交換留学」に行かれたのも目的が“修行”だから?

そうそう。「現地の学生と同じ授業を取って、自分の語学力に絶望する」方が、より“修行レベル”が高いじゃないですか。

――自らを“修行”に追い込むそのマインド、すごいですね……。

2度の就活を経験。インフォバーンの印象は「変わってる会社だなあ」

――李さんは2回就活を経験されたとうかがいました。1回目の就活では、どのような会社を受けていたんですか?

小説の編集者になりたくて、1回目は出版社を中心に受けていました。大学時代に学んでいたエスニックマイノリティをテーマにした小説をつくりたくて。そうした問題は、事実をノンフィクションでバッと伝えるよりも、フィクションというフィルターを通した方が、お説教くさくなく伝えられると考えていました。

実際に、外国にルーツをもつ人物を作品に登場させる作家さんが増えていますよね。私もそういう作品を世に出していきたい、世界をもうちょっと優しくしたいと思っていたんです。

でも、結局どの会社の選考も通りませんでした。出版社の方からすれば、私がやりたいことの幅が狭すぎて、動機は立派でも、採用したい人材かと言われるとそうではなかったのかなと、今振り返れば思いますね。

――そこから、2回目の就活はどうされたのでしょう?

1回目の就活で、出版業界がいかに狭き門かということを痛感する一方で、編集系の仕事を諦めきることはできなくて。それで、出版社でインターンをしたり、編集の塾に通ったりしていました。

そんなときに、1回目の就活で一緒に出版業界を目指していた大学の友達が、「Web中心だけど、編集の仕事ができる会社に知り合いがいるよ?」と田汲洋さん(インフォバーンの人事担当)を紹介してくれたんです。2回目の就活では、出版業界にしぼらずにWeb編集の領域も見てみようという思いもあったので、田汲さんにコンタクトを取ってみました。

――インフォバーンの第一印象はいかがでしたか?

「変わってる会社だなあ」と思いました。「変わってる」っていうのは悪い意味ではなくて、「しっかり話を聞いてくれる」ところが他と違うなと。

例えば、入社前に田汲さんが、居酒屋で社員さんとお話しする“超カジュアル面談”をセッティングしてくださったんですよ。そのときに、社員さんが「何に興味があるの?」「どうして出版社に入ろうと思ったの?」と色々聞いてくれて。それに対して「コンテンツを通してマイノリティが抱える悩みを伝えたい」といったことを話したら、「具体的にどういう悩みがあるの?」「こういうふうな発信ができるんじゃない?」ってすごく真剣にアドバイスをくれたんですよね。

選考に進んでからも、「話を聞いてくれる会社」というイメージは変わらなかったです。私は大学の卒論を「在日コリアンの若者のアイデンティティタイプ類型」というテーマで書いていて、面接でその話をしたんですけど、ものすごく興味をもって聞いてくれたんです。こんなに卒論の話を聞いてくれた会社はインフォバーンだけだったなって。

「採用に関係あるのかな」というところまで、真剣に話を聞いてくれる。そういうところが「変わってるな」と思いました。

――「使えるか、使えないか」という軸で人をみているわけじゃなかったんですね。

そう思いました。それまで面接を受けていた会社は、「留学をしていた」というと、すぐ「英語話せるの?」「外資系企業は受けないの?」という反応が返ってくることが多かったんですよね。その点、インフォバーンは、その人の哲学じゃないですけど「根っこにあるものは何か」っていうのを知ろうとしてくれていた気がします。

「この記事、本当に読者に『読みたい』って思ってもらえると思う?」

――インフォバーンに入社した当初はどんなお仕事をやっていらっしゃったんですか?

最初はBtoCのメディアで、記事の企画・取材などを担当していました。取材対象は、技術やサービスで社会課題を解決したり、世の中にイノベーションを起こすことを目指している方々、例えばスタートアップの創業者や大学の先生が多かったですね。

――1年目の段階から、早速企画や取材も任されていたんですね。

わりと早い段階で任せてもらいましたが、出来るようになるまでは先輩がそばで見ていてくれて、じっくり育てていただきました。初めて自分一人で現場を取り仕切ったのは1年目の冬ごろからだったと思います。

それからは、引き続き複数のオウンドメディアの記事の企画・制作をしたり、クライアントの社内向けメディアの案件を担当したりもしました。ほかにも、業務委託の編集者さんの進行管理をしたり、見積もり作成やクライアントからの相談を受けるなどのプロジェクトマネジメント業務を担当をしたりと、やることの範囲が広がっていきました。

――コンテンツディレクターは業務内容がかなり多岐に渡りますよね。その中でも、李さんが一番心踊る仕事はなんですか?

一番好きなのは取材ですね。

取材相手の魅力的な言葉や、熱い想い、キラーフレーズに出会うと、「この言葉を世の中に広めたい!」「絶対に届けたい!」という思いに駆られます。そういう部分にやりがいを見出していますね。

――コンテンツディレクターの仕事において、李さんが特に大切にしていることはなんですか?

読者への思いやり、寄り添いですかね。

そのことを学んだ出来事があって。保険のオウンドメディアの案件を担当したとき、はじめ私は「とにかく事実さえ合っていれば良い」と考えて記事の編集をしていたんです。そうしたら先輩から「この記事、本当に読者に『読みたい』って思ってもらえると思う?」と指摘を受けたんですよね。同時に「どういう人が読む記事なのか、どんな目的の記事なのか、先輩たちともっとディスカッションして深めてくれていいんだよ」というアドバイスも受けました。

それ以来、「これ、読者は本当に読みたいかな」「有用かつ面白い記事になっているかな」というところは、ずっと意識し続けていますね。

――たしかに、インフォバーンでは「読者目線」を大切にしている人が多い印象があります。

「読者に寄り添うこと」は当たり前に求められることではあるのですが、納期が迫っていたり、ターゲットの世代が自分と違ってその気持ちが想像しづらかったりすると、どうしても見失いがちになるんですよね。

そういう私自身、6年目になった今でも読者の気持ちを読み違えることはあるんですけど、それでもやっぱり「読者にとってどうなのか」「気持ちに寄り添えているのか」を考え続けることは、どんなコンテンツ制作においても、ものすごく大切なことだと思っています。

「触れるからこそ好きになれる」――全く興味のなかった分野の案件にアサインされて学んだこと

――印象に残っているお仕事は何かありますか?

気持ちの変化の意味で、食のオウンドメディアの案件が印象深いです。当時、その食のメディアでは、端的にいうと「“ウケる”記事を作って、たくさんブックマークしてもらうこと」が大きな指標だったんですね。

ただ実は、私は食に興味があるタイプではなかったんです。自炊もパスタ茹でるくらいしかしないし(笑)。だから、最初は良い企画が思いつかないし、“ウケる記事”も作れなくて。

だけどある時、先輩から「ブックマークの獲得数ごとに記事を分類して、それぞれどんな傾向があるのかをリサーチしてみよう」と提案があり、記事ごとの分析を始めたんです。そうすると、例えば「『余った調味料の活用法』について書かれた記事は、大体これくらいブックマークを獲得している」とか「レシピ記事は多くブックマークされる」とか、なんとなくの傾向が見えてくるんですよ。

そうやって傾向がつかめると「こういうレシピ記事なら、ウケるんじゃないか」と仮説が立てられますよね。さらに、その仮説を元にしたアイデアを発想して、先輩に壁打ち相手になってもらって……とやっていくうちに、どんどん企画が立てられるようになって、たまにヒット記事も作れるようになりました。

そうなると、だんだん仕事が面白くなってくるんですよね。最初は興味がなかった「レシピ記事を作る」という行為も、少しずつ好きになっていきました。

――最初は興味がなかったけれど、いざやってみたらモチベーションに変化が起きたんですね。

そうなんです。だから何が言いたいかというと、はじめは「好き」という気持ちがなかったとしても、ちょっと出来るようになると「好き」になれるんですよ。仕事ってやりようで、最初からモチベーションがなくても、頑張ればのめり込めるようになります。

――そういえば李さんは、保険のオウンドメディアの案件をきっかけにファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取得されたとお聞きしたのですが……。

案件理解の一環として取りましたね。

もともと私自身、保険のことをほとんど知らなかったんです。でも、先ほどの「できるから好きになる」じゃないですけど、そんな私でもFPさんに取材して取材してお話を聞いているうちに影響されて「備えるって本当に大事なんだな」と思うようになったし、実際に自分がFPの資格を取ってからは「これFPの教科書で見たやつだ!」みたいに、得た知識が企画制作の助けになってもいます。

そうやって、勉強の効果を実感できるとモチベーションも高まる。やっぱり「触れたからこそ好きになれる」のだと思いますね。

自分の“武器”に囚われない。働くことは「新しい自分に出会えるチャンス」

――就活生の時は「マイノリティのことをコンテンツを通じて伝えたい」という熱い思いがあったけれど、実際入社してからは、方向性としては少し異なる仕事をしていますよね。今やっていることが当初抱いていた思いとは異なりながらも、そのギャップを乗り越えて仕事を続けていられるのはどうしてなんですかね。

私は「在日コリアンである」という自分のバックグラウンドを、他の人にはないある種の強みだと思って生きてきたんですよね。逆に言えば、就活のときがまさにそうでしたが、自分の“武器”はそれしかないと思っていた節もあって。

そして、それしかないと思っているからこそ、本当は自信がないんです。自信がないから、社会に出てからものすごく頑張ろう、モチベーションを保ちながら長い社会人人生、身を粉にして働こうって思っていたんです。

でも、インフォバーンで働き始めてから、自分で自分のことを縛りすぎていることに気がつきました。自分のバックグラウンドどうこう以前に、そもそも私には一人の生き物としてもっと好奇心や可能性があるはずなんだと。

――自分の“武器”に囚われて、それ以外の自分の可能性が見えなくなっていたと。

インフォバーンに入ったら、色んな壁にもぶち当たりながら、ビジネスや編集において大切なことを色々教わりました。逆に自分ができないことも知ったことで、新たに「ここを伸ばしたい」「できるようになりたい」とも思えるようになって。

そこからは、いったん“武器”は置いといて、まずは目の前の課題を乗り越えてみようかなって思うようになりました。私は最初から自分の強みを決めつけすぎていたんですよね。仕事を通して色々な経験を積んだことで自分の道を広げられたし、だからこそ就活をしていた時にやりたいと思っていた仕事とは違っても、頑張ってこられたんだと思っています。

――できないかどうかって、やってみないとわからないですもんね。

そうなんですよ。「自分、働けるのかな?」って不安な学生さんは、たくさんいると思うんですけど、本当にやってみないとわからない。

私も相変わらず自分に自信はないけど、色々なことをやってみるうちに、徐々に「マネジメントができるようになったぞ」とか「この領域に限っては自信が持てるぞ」って言えるようになりました。自信がなくても実績はできる。会社に入ったら、また違う新しい自分に出会えると思いますよ。

Invitation from INFOBAHN/Mediagene
If this story triggered your interest, have a chat with the team?
INFOBAHN/Mediagene's job postings
5 Likes
5 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like 採用 担当's Story
Let 採用 担当's company know you're interested in their content