巡回の途中で、
ふと視界の端に、何かが“ずれて”いるような気がした。
気のせいかもしれないし、
本当に何かがずれていたのかもしれない。
立ち止まって確認しようとしたが、
その瞬間、別のことが頭に浮かんで、
足が止まらなかった。
後で見ればいいと思った。
でも、後で見たときには、
その“ずれ”がどこにあったのか分からなくなっていた。
そもそも、本当にずれていたのか。
自分の感覚がそう言っただけなのか。
何かを見間違えたのか。
それとも、気づいた瞬間に誰かが直したのか。
どれも確かめようがなかった。
ただ、あの一瞬だけ、
「何かが違う」と思った気がする。
その“気がする”という曖昧さだけが、
妙に心に残っている。
もしあれが本当にずれだったなら、
直すべきだったのかもしれない。
でも、もし気のせいだったなら、
立ち止まった意味はなかったのかもしれない。
どちらが正しかったのかは、
今でも分からない。
ただ、
“確かめなかった自分”だけが残っている。
それが後悔なのか、
ただの記憶なのか、
意味のない揺れなのかも分からない。
分からないまま、
時々ふと思い出す。
そしてまた、
その理由が分からない。