昔、誰かに言われた言葉があった。
その時の自分には、どうしても受け入れられなかった言葉。
「焦らなくていい」
「今は見えなくても、そのうちわかる」
「遠回りに見える道が、あとで効いてくる」
正直、全部きれいごとに聞こえていた。
そんな余裕なんてなかったし、
“今すぐ”結果がほしかった。
“今すぐ”認められたかった。
“今すぐ”前に進みたかった。
だから、ゆっくりなんてしていられなかった。
あの頃の自分は、
“早く進むこと”が正しいと思っていた。
立ち止まることは負けだと思っていた。
遠回りは無駄だと思っていた。
でも、時間が経って、
いろんな経験をして、
思い通りにいかない日も重ねて、
ふと立ち止まった瞬間に気づいた。
あの時の言葉は、
未来の自分に向けられていたんだと。
焦っていた理由も、
うまくいかなかった原因も、
あの頃の自分が見えていなかっただけだった。
思い返すと、
あの時は“理解する準備”ができていなかったんだと思う。
人は、自分の中に余白がないと、
大事な言葉も、優しさも、忠告も、
全部跳ね返してしまう。
でも今なら、
あの言葉の意味が、すっと胸に落ちる。
焦らなくていいと言われたのは、
“今の自分を否定しないため”だった。
続ければ見えると言われたのは、
“未来の自分を信じるため”だった。
遠回りが近道だと言われたのは、
“経験が自分を強くする”と知っていたからだ。
確かにそう思う。
今ならわかる気がする。
あの頃の自分には届かなかった言葉が、
今の自分には静かに響く。
理解するのに時間がかかったけれど、
遅かったわけじゃない。
気づけた今が、きっとちょうどいい。