2025年6月、株式会社ウェルネスは創業7周年を迎えました。これを機に、私たちが掲げてきたミッション――「Wellness for all. すべての人に、豊かな人生を。」について、その意味や背景を改めてお伝えしたいと思います。
「Wellness for all.」は、私たちの“存在意義”そのもの
ミッションは、企業が社会に対して果たすべき約束であり、存在意義そのものだと考えています。私たちウェルネスが掲げる「Wellness for all.」は、私たちのあらゆる判断や行動の中心にある指針です。
私たちにとっての「Wellness for all.」は、組織の中核にある価値観であり、日々の意思決定や行動の基準となるもの。この価値観を起点に行動が変われば、人生の選択が変わり、ひいては社会の在り方そのものも変えていけると信じています。そんな信念を、私たちはこの7年間、実践し続けてきました。この「Wellness for all.」という言葉に込めた3つの想いについて、改めて代表 中田をインタビューしました。
「Wellness」──真の健康とは「病気がないこと」ではない
「Wellness」という言葉に込めた想いの出発点は、医療の本当のゴールとは何か?という問いでした。
私は多くの医療従事者と同じように「人を救いたい」という熱い思いを持って医師になり、医療現場を経験しました。そこで感じたのは、今の医療の多くはどうしても「Health」にゴールが置かれているということ。「Health」はあくまで「病気がない状態」です。「Medical」はツールであって、目的ではありません。医療そのものがゴールではなく、本当に目指すべきは人生の豊かさなのではないか――そんな想いが芽生えていきました。
この考えの根っこには、小児喘息で入院した幼少期の原体験があります。つらい症状を救ってもらった感謝に加え、何より大きかったのは、担当の先生から感じた「安心感」や「つながり」でした。「この人がそばにいてくれる」という感覚。医師という存在に強く惹かれた原点です。
逆に、たとえ症状が治っても医療が冷たくて不安を与えるようなものだったら、私は医師を目指していなかったかもしれません。「医療には、病気がないこと以上に大切なものがある」と信じ、私たちは、「ヘルス」ではなく「ウェルネス」という言葉を選びました。
病気をなくすだけではなく、安心して、後悔なく、豊かに生きられることをゴールに置きたい。そしてその実現のためには、治療中心の医療では限界があります。未病のうちに手を打ち、人生に先回りして伴走する「予防中心の医療」へ社会全体をシフトさせていく。これが、私たちウェルネスが目指す社会変革です。
「for all」── 患者も医師も。持続可能な医療のために
2つ目は、「for all」=すべての人が対象であること。「for all.」という言葉には、“誰ひとり取り残さない”という決意があります。
いまの日本の医療制度は「一部の人の無理によって支えられている」側面があります。私自身、かつて71時間連続で働いたことがありました。仕事→当直→オペ→外来→急患が入って急きょ24時間オペなど、極限の働き方で、とても持続可能とは言えない構造。医者が倒れるまで働き続けることでしか成り立たないようなモデルは、そろそろ変えていく必要があると強く感じています。
財政面でも持続不可能です。医療費が膨らみ続けているにもかかわらず「今なんとか回っているから」と先送りされてきました。患者さんの健康がなんとか守られる一方で、医療者の健康や寿命は削られていく。このままでは誰もが不幸になるモデルだと、私は思っています。
患者さんの健康を守るためには、提供する医療従事者側も「豊かに健康である」ことが不可欠なんです。そのために私たちは「予防医療」というテーマで医療費の削減に貢献するとともに、「パーソナルドクター」という働き方をとおして、医師の多様な生き方・働き方を提供できる仕組みをつくりたいと考えています。
受け手・提供者側・社会の仕組みそのもの、すべてがWellnessである世界を目指したいという思いを込めて「for all.」を掲げています。
「誰ひとり置き去りにしない」──すべての人に後悔のない人生を
「for all」は、この価値を限られた人だけのものにしないという意思表示でもあります。
現在「Wellness Membership」はエグゼクティブや経営者層を中心として、健康に投資する価値を感じてくださる方々に提供している予防医療サービスです。しかしこれはあくまで「最初の一歩」。最終的には職業・年齢・経済状況を問わず、すべての人が自分の健康と豊かに向き合える社会をつくることが、私たちのゴールです。「for all」は「私たちは誰ひとり置き去りにしません」という明確な意思表示を込めています。
将来的には、すべての人が自分の人生にパーソナルドクターを持ち、健康に向き合える社会を実現したい。この想いを体現する言葉が、「Wellness for all.」です。
「最期に“最高の人生だった”と言えるかどうか」
これが、私たちが最終的に届けたい未来です。
現代の日本では「病気になったら病院へ」という考え方がいまだ主流ですが、本当に大切なのは“その前”の選択。予防医療とは「いかに自分らしく生き切るか」に向き合うことでもあります。
人は自分の命が有限であると知ったとき、「いま何をすべきか」「どんな体験をしたいか」を本気で考えるようになり、それが人生を変える第一歩になります。私たちは「治療」ではなく「人生の伴走」にフォーカスしたい。それこそが、予防医療の本質であり、「Wellness for all.」というミッションの核心です。そしてそれは、“一人ひとりの人生に寄り添い、後悔のない最期をともにつくる”という、私たちの覚悟の言葉でもあります。