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PHR全体のハブになってほしい。ーアンバサダーからのメッセージー

2回の大震災の経験から、医療情報の管理のあり方に問題意識を持つようになり、PHRの重要性に気付いたという宮川先生。医療現場でのPHRへの独自の取り組みや、QOLMSへの期待などについてお話を伺いました。


一番最初のきっかけは、1995年の阪神淡路大震災ですね。まだ医者になって間もなかった頃で、特に何をするというわけではなかったんですが、医療情報も一瞬で消えてしまうという現実があることを知りました。

その後、2001年に、当時勤めていた病院で電子カルテを入れましょうということになったのですが、当時は「病院にある情報は医者のもの・病院のもの」というのが基本認識で、病院と病院の「病病連」や、周りの診療所とつなげる「病診連携」がやっと始まった頃でした。

でも私は、患者さんの情報は患者さんのものなので、患者さんに渡すべきべきじゃないか…という風に考えてしまったんですね。そんな時に、電子カルテの導入でQOLMS代表理事の大沼氏と出会って、無理を言って病院と患者さんを繋ぐ病患連携の仕組みを作ってもらいました。

---開業によって、PHRへの意識には変化がありましたか?

はい。2007年に開業するんですけども、さらにPHRの重要性を感じました。患者さんはお薬手帳を持ってこないし、「飲んだ薬は何?」と聞いても、「白くて丸くてちっちゃいの」というよくわからない答しか返ってこないし…。しかも、医療を受けているのではなく、「受けさせられている」という意識がとても強い。どこどこの病院でもらった薬を飲んだというのではなく、「薬を飲まされた」と思ってるんですね。

これはよくない、医療者側にも問題があると思いました。我々がちゃんと説明できてないから患者さんが納得できてない。だから、何をどうしたら良いかわからない。そんな状況を変えていくために、我々もできるだけ詳しく説明をするなど、もうちょっとちゃんと向き合って治療していかなければ…と、痛感しました。

そんな時にやってきたのが、2011年3月の大震災です。若い頃、神戸で大きな震災があった時には、何の手伝いも見向きもしなかった自分がいたよね…と思うと、もう居ても立ってもいられず、診療所を閉鎖して、宮城県や岩手県の方に行って震災の援助をしました。

---被災地での援助活動には、多くの困難があったのでしょうね。医療の状況はどんな感じだったのでしょう?

はい、大変でしたね。例えば、今までは病院でもらっていた薬が切れたので欲しいと言って、人がくるんです。でも、聞いても今まで飲んでたお薬がわからない。お薬手帳も家と一緒に流れてしまっているし、血液検査もできない。薬はヘリコプターでバンバン送られてくるようになってダンボールが山ほどあるのに、渡してあげることができないんですよ。

そんな状況の中で、医療情報や健康情報は、ただ単に我々医療者側が持っていればいいというものではないということを、あらためて痛感しました。本人が持っているべきだと…。当時は概念的にもあまり公になっていなかったPHR(パーソナルヘルスレコード)が、今後すごく大事になるはずだと確信しましたね。

それをなんとかしていこうとずっと考え続けながら、援助活動を行いました。そして、東北から戻ってきてからは、医療の中で患者も医療者も変わらなくちゃいけない、特に医療者を変えようと思って、医療情報をわかりやすく伝えるための事業を行う会社を作りました。2つの震災体験も含めた長い歴史を経て、ここに来てやっと、いろいろなことが形になったという感じですね。

それをなんとかしていこうとずっと考え続けながら、援助活動を行いました。そして、東北から戻ってきてからは、医療の中で患者も医療者も変わらなくちゃいけない、特に医療者を変えようと思って、医療情報をわかりやすく伝えるための事業を行う会社を作りました。2つの震災体験も含めた長い歴史を経て、ここに来てやっと、いろいろなことが形になったという感じですね。

---QOLMSについて少し聞かせてください。今後への要望や、期待することなどありますか?

患者さんが自分の情報をどんどん書き込んでいって情報をストックできる。そして、本当に必要な時に、必要な情報を引き出して閲覧したり活用したりできるようにする。それがPHRなんですけど、QOLMSはまさにPHRそのものであると、以前は考えていました。

ただ、今はスマホが発達して、世の中にいろんなPHRが存在しています。例えば血圧手帳みたいなアプリがあったり、体重測ると自動で連動するダイエットアプリがあったり。お薬手帳も、徐々に電子化されています。自分で必要な情報を必要なところに貯めているわけですから、これらもある種、PHRなんです。

時代はどんどん変化していって、いろんな形のPHRが存在している。今後のQOLMSは、そういったバラバラになっている情報を集めてまとめていくもの、つまりPHRのハブのような存在になってくれたらいいなと、そんなふうに思ってます。

---QOLMSがハブのような存在になるためには、どんなことが必要でしょうか?

行政と同じで、医療機関も縦割りなところがあって、ひとつの病院にある情報はその病院のもの、ひとつの診療所にあるのはその診療所のもの、患者が持っている情報は患者のもの、企業が持っているものは企業のもの…、そんな現状があります。

病病連携や病診連携の動きはありますが、病院と病院が繋がったところで、二つの大きな病院に通っている患者さんは、そんなに多くないはず。普段は診療所に行って、難しい症状が出た時だけ特定の病院に行って、また診療所に戻ってくる…。そんなかたちが基本だと思うので、病病連携も大事なんですけど、病診連携の方がより大事で、さらに患者さんが繋がる「病診患連携」ができないといけない。

そんな形を実現するためにも、QOLMSには、マルチデバイスに対応したオープンプラットフォームになってほしいですね。スマホだったりタブレットだったりPCだったり…と、デバイスにとらわれないで使えるように。

血圧計でも、どこのメーカーはつながるけど、どこは繋がらないなどということがないように、できるだけ多くの機種が繋がって、しかもそれをオープンプラットフォームにしていく…。そして必要に応じて、個人情報をきちんとマスキングした上で企業に提供できるようにすることなども、今後の医療の発展にとっては大事なことかなと思っています。

---最後に、宮川先生がこれから目指して行きたいことは何ですか?

そうですね。ちょっと大きな話に聞こえるかもしれませんが、目指すところは、全体の最適化ですね。

医療費は年々増えています。また、医療費だけではなく、介護費や年金の問題なども出ていますよね。そういった多くの社会保障費が、今はいろんな形で分散していますが、それら社会保障全体を最適化することによって、できるだけその費用を抑えて、今いる若者や今後生まれてくる子供達にかかる負担が少しでも減ってくれればいいな…と、そんな風に思っています。

宮川一郎先生
習志野台整形外科内科院長
https://narashinodai.jp/
メディカクラウド株式会社代表取締役
https://www.medicacloud.jp

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