「ただ美しいものを作るだけでは、人や社会を本質的には豊かにできないかもしれない」
そんな問いを抱きながら、上流工程から事業や組織のブランディングに深く入り込み、長期的な価値創造を目指す。クリエイティブディレクター・五味春佳さんは、多様なプロジェクトに携わりながら「伴走型」の仕事づくりを実践しています。
本記事では、RASAのリブランディングから新規事業のコンセプト開発まで、多岐にわたる五味さんの仕事観と、今後の展望についてお話を伺いました!
プロフィール
五味 春佳(ごみ はるか)
武蔵野美術大学油絵学科卒業。株式会社CRAZYにて5年間アートディレクターとして150件以上の結婚式やイベントを手がけ、会社全体のリブランディングにも従事。後に独立し、そごう西武の新規事業やUNIQLOなどの商業施設ディスプレイのほか、ブランド立ち上げ時のコンセプトメイキング、ロゴ制作、内装デザイン、プロダクトパッケージなど、多岐にわたりアイデンティティ開発のディレクションに携わる。現在はRASAのクライアント事業部にて、上流工程からのクリエイティブディレクションを行っている。
本日はよろしくお願いします!まずは五味さんの肩書きや、現在の活動について簡単に教えてください。
基本的には肩書きにあまりこだわっていなくて、デザイン・クリエイティブ・ブランディング・コンサルなど、必要に応じて全方位で動きたいと思っています。名刺には「クリエイティブディレクター」と書いています。
いろいろな領域に携わっているうちに、結果的に「クリエイティブディレクター」という肩書きがいちばんわかりやすいかもしれない、とシンプルにまとめました。ブランディングとクリエイティブを行き来する方は世の中にも多いですし、ひとつの役割名に絞るなら、いまはこの形が自分に合っていると思います。
現在は、RASA JAPAN(以下、RASA) のクライアント事業部に関わりながら、企業様のコンセプト開発やブランディング構築をお手伝いしています。たとえば、グランピング施設のブランディングや、RASA自体のリブランディングにも携わりました。
「強い“個”が集まり、大きな群れを作る」RASAリブランディング
RASAのリブランディングに関して、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
RASAのリブランディングは、単にロゴやホームページを作り直すだけではなく、「そもそも組織としてどう在りたいか」という部分から見直すプロジェクトでした。もともと創業期のRASAは“トップダウンの軍隊型”だった側面もあるようですが、今は「強い“個”が集まって、大きな群れを成す」というイメージがコアにあります。私が担当したのは、その新しい組織像をきちんとビジュアルと言葉に落とし込み、メンバーや社外にわかりやすく伝える部分ですね。具体的にはロゴやコンセプト資料をまとめ、みんなが見える形にしていきました。
一方で、他の企業様に対してもコンセプト開発やクリエイティブ面のアドバイスをされていますよね。そこではどんな価値観で関わっているのでしょう?
私自身、「伴走型」での仕事が好きなんです。装飾やデザインを“打ち上げ花火”的に納品するのももちろん面白いのですが、それだとクライアントさんの課題解決や事業成長を深いところまで支えきれない感覚がありました。そこでもっと上流から入り込み、事業や組織と長く付き合いながら新しい価値を生み出したいと思うようになりました。制作物はその一部にすぎなくて、むしろ「この会社が将来、どうなりたいのか?」というビジョンに合わせて、クリエイティブを組み立てるのがやりがいです。
フリーランス時代の葛藤から導かれた、伴走型の仕事への道
五味さんは武蔵野美術大学出身で、卒業後はCRAZYでアートディレクターをされていました。その後フリーランスを経て、今のようなコンサルティングやクリエイティブディレクションを行うようになった経緯を教えてください。
美大では油絵を専攻していて、当時はどちらかというと自分の内面だけに意識が向いており、外の世界をあまり見ていなかったんですよね。制作を続けていくうちに、徐々に「自分は何を伝えたいのか?」「何を感じてもらいたいのか?」といった“外に向ける視点”が大切だと気づきました。
そんなタイミングで出会ったのが、オーダーメイドの結婚式をつくる「株式会社CRAZY」。そこでは5年間、新郎新婦やクリエイター、キャストなど多くの人を巻き込みながら、ひとつの大きな価値を生み出す経験を積ませてもらいました。何か人の心を動かすようなものを作るうえでいちばん重要なのは、関わるすべての人が同じゴールに向かって、純粋に一生懸命に走ることだと学びましたね。
方法はなんだっていいし、どんな機会だってできる。自分のできることでチームにとって強い個でありたいと思い、今のスタイルになっていきました。
制作物の先にある、事業そのものを作るワクワク感
今後、五味さんが挑戦してみたいことや目指すクリエイティブディレクションの形はありますか?
事業や組織そのものを一緒に作っていく形を目指していきたいですね。たとえば最初にコンセプトを決めて、それをどんな施策に落とし込むか、そしてどう収益や組織づくりにつなげるか。そこまで伴走できるのが理想です。いろんなスキルセットを持つ人とコラボして、長期的に価値を生み出していきたい。「クリエイティブディレクター=制作物をデザインする人」にとどまらず、「クリエイティブ×ビジネス×組織づくり」 のような領域で、自分の強みを発揮できたらと思っています。
読者へのメッセージ
最後に、インターンを希望される方や新しく五味さんとお仕事をしたい方へのメッセージをお願いいたします。
インターンを考えている方にまず伝えたいのは、「今自分で認知している強みやスキルにとらわれる事なく、”まっさらな気持ち”で、心から人の言葉に耳を傾けられる状態で挑んでほしい」ということ。自分が何者なのかを確立するのも大切ですが、「もっと強くなるために、今あるこだわりを一度リセットできるか?」が成長の大きなカギになります。
相手の話を自分の偏見なしに“相手の言葉”のまま受け取る姿勢 は、人と仕事をする上でとても大切です。相手としっかり向き合うと、、自然と自分が提供できる価値が見えてくるし、そこに本当の目指す世界や面白くなる鍵が見えてくると思うんですよね。RASAには素直な人が多いです。だからこそ、進化し続け、成長し続けられるのだと思います。頑なに今の自分に固執しているうちに置いてかれるほどのスピード感がここにはあると思ってます。
もしこの記事を読んで「一緒に働いてみたい」「プロジェクトを相談したい」と思っていただけたら、ぜひ声をかけてください。何か新しい可能性を模索したい方と出会えるのを楽しみにしています。
五味さんの言葉からは、ただ「もの」を作るのではなく、人や組織そのものを変えていくクリエイティブに挑戦する姿勢が強く感じられました。上流工程から伴走し、ビジョンを形にしていく――そのプロセスには、幅広い視点と多彩なコラボレーションが欠かせません。
もしこの記事を読んで、「自分もそうした深い領域で人や企業を支えてみたい」「クリエイティブやマーケティングの力をビジネスや社会に還元したい」「自分にどんな可能性があるのか試してみたい」 と思われた方は、ぜひご応募ください。RASAには、インターンでも、職種や経験を問わず、まっさらな気持ちで飛び込んで学べる環境が整っています。
インタビュアー
有清文音(ありきよあやね)IT業界にてプロジェクトマネジメント(PM)を学びながら実務経験を積む。約2年間、PM兼UI/UXディレクターとして幅広いクライアントワークに携わり、顧客課題解決からチームディレクションまでマネジメントスキルを強化。その後、RASAにジョインし、Design Playing Managerとしてプロジェクト推進と組織運営に従事。2024年1月にはGeneral Office Manager(社長室)に就任し、現在は人事も兼任するなど、多面的な役割を担いながら組織の成長に貢献している。
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担当:有清