こんにちは。佐藤carboと申します。
皆さんは、新しい役割を任されたとき、どんな気持ちになりますか?
ワクワクする反面、不安を感じることもあるでしょう。この連載では、2024年でRPA(※)歴7年を迎える私が1年目から現在に至るまでの成長や失敗の経験を振り返りながら、皆さんにお伝えしています。
今回は、3年目を迎えた私が、新たに増えたチームメンバーとの協力や、教育担当として取り組んだ課題、そして仲間との別れを経験したエピソードを振り返ります。
(※RPA:「Robotic Process Automation」の略語。パソコンで行っている様々な作業を自動化できるソフトウェアロボット技術)
チームの急拡大:8人の仲間と共に
3年目を迎えた私たちのチームは、これまでの2人から一気に8人へと急増しました。チームとも呼べない規模から始まったこのプロジェクトも、堂々とチームと言えるようになったことに非常に感慨深いものがありました。
参画した新たなメンバーは、それぞれ異なるバックグラウンドを持ち、経験豊富なエンジニアもいれば、RPAを初めて触る未経験者もいました。このように多様なメンバーが揃ったことで、チーム全体の活気が増した反面、意思疎通や業務の進め方の違いから、課題も浮き彫りになってきました。
特に、新規参画者にとっては、私たちが開発してきたロボットの仕様やプロセスを理解することが大きなハードルとなっていました。既存メンバーにとっては当たり前だった部分が、新しい視点から見るとわかりにくい箇所も多く、手探りの状態が続きました。
教育担当としての挑戦:教育資料と標準化
このような状況を受け、私は教育担当として新たな役割を任されることになりました。新規メンバーに効率よく業務を教えるためには、単に説明を繰り返すだけでは不十分です。
そこで私は、以下の2つの取り組みを進めました。
- 分かりやすい資料の作成
新規参画者が迷わず開発を進められるように、ロボットの設計書や操作マニュアルを一新しました。具体的には、画面のスクリーンショットを多用し、手順を一つ一つ図解することで視覚的に理解しやすい資料を作成しました。またRPA経験の浅いメンバーに向けては、RPA開発の基本的な概念やよく使う機能がまとめられたBizRobo!(※)入門ガイドを使い、短期間で基礎から現場での応用のしかたを理解できる資料や実践的な練習問題も作成しました。これは現在でも新しいメンバーが入ったときに使用しているもので、大いに役に立っています。(※BizRobo!:私たちが使用しているRPAツール。集中管理による大規模運用などが特徴) - ロボットの標準化
この頃からチーム全体が同じ基準で開発を進められるように、ロボットの設計や命名規則、ログの出力形式を改めて統一しました。この標準化により、説明する側としても論理的な説明ができ、新たに参加したメンバーも既存のロボットを理解しやすくなり、エラーが発生した際のトラブルシューティングもスムーズに行えるようになりました。
これらの取り組みは、当初の手間はかかるものの、後々の効率化につながり、チーム全体の生産性を大幅に向上させる結果となりました。
仲間との別れ:揺れる感情と新たな学び
8人体制となったチームでしたが、その間に最初期から一緒にやってきたメンバーがプロジェクトを離れることになりました。
そのメンバーは、全てが手探りの状態から苦楽をともにしてきた存在で、現場のロボット開発の基礎を共に築いてきた仲間でもありました。彼が去ると聞いたとき、私は寂しさと同時に、これからは最古参になる自分がよりリーダーシップを発揮しなければならないという責任感を強く感じました。
社会人である以上、会社や個々人の事情もあり、別れは避けられないものです。別れは悲しいものでしたが、彼が残してくれた知識や経験はチームにとって大きな財産となり、私自身も「一人ひとりがチームの力を引き出す存在である」ことを再認識しました。
挑戦の先に見えた未来
悲しい別れはありましたが、8名までパワーアップしたチームのおかげで今年は32案件のロボットを作成することができました。初年度に3案件しか作成できなかったことが非常に懐かしく思えます。はじめは2人で押した車輪の1回転が、徐々に人が増え、加速がつき、いよいよスピードに乗ってきた、そんな感じがしました。
この3年目を通じて、私は「個人の力」だけではなく、「チームの力」を最大化するために何が必要なのかを学びました。教育担当としての役割は、新しい仲間が成長する姿を間近で見られる喜びがありましたし、標準化によって開発効率が劇的に向上したことで、チーム全体の力を底上げすることができました。
また、別れを通じて、メンバー一人ひとりの価値を改めて実感しました。この経験は、単なる開発スキルの向上だけでなく、私自身の人間的な成長にもつながったと感じています。
次回:「変化と試練──新型コロナウイルスの襲来」
2020年、新型コロナウイルスの影響で私たちの働き方は劇的に変化しました。リモートワークへの移行、オンラインでのチーム運営、そして新たに直面した課題──次回は、この未曾有の状況において、私たちがどのように対応してきたのかお話しします。
では、また4年目のエピソードでお会いしましょう。